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検察審査会を聖域化するな !

 -与党幹部までもが20代審査員の検審議決をありがたがってどうする !-

 強制起訴を決めた東京第五検察審査会(以下「第5検審」)の議決は「無効」だとして、国を相手に「行政訴訟」を起こした小沢一郎民主党元代表の控訴が、18日東京地裁によって却下されました。
 東京地裁の却下理由は、「検察審は準行政機関であり、行政訴訟にはそぐわない。議決は行政処分には当たらず、行政訴訟の対象とならない。刑事手続きで争うべきだ」というものです。

 小沢氏側が同訴訟を起こしたのは15日のこと、それがわずか3日にして「門前払い」なのです。何事もチンタラの行政、司法当局としては、何というスピード却下かと思ってしまいます。
 こと「小沢関連」となると、なぜか司法当局の動きはいつも異様に迅速なのです。昨年暮れの“変な行政書士ら”による怪しげな市民団体の東京地検への告発、それを即時受け付けての地検特捜部の世田谷土地購入問題への捜査の着手。4月初旬に東京地検が「不起訴処分」を出すと、これまた怪しい在特会代表・桜井誠(仮名)の検察審査会への即時告発、これも即受理。同月中には第5検審が1回目の「起訴相当議決」を出す早業です。

 今回の2回目の第5検審の実質審議が始まったとされる(というのも「密室審議」のため、実際審議されたのかどうなのかも不明だから)のは、9月7日。それが翌週の9月14日にはもう「起訴相当」議決が出されていたのです。
 この日が代表選当日だったこと、同議決が公表されたのは20日も経過してからだったことなど、あまりにも奇妙なことが多すぎる点につきましては、以前の記事でも既に述べたところです。

 例えば1月の『地検特捜部は、こちらも直ちに捜査せよ !』記事で触れた、大阪の正式な市民団体「公金の違法な使用をただす会」による、昨年衆院選後の麻生政権最末期における河村建夫元官房長官の「2.5億円官房機密費持ち逃げ事件」への1月の東京地検への告発は、半年もたなざらし状態。ようやく形ばかりの捜査に着手したのは7月下旬頃で、まだ捜査の決着がついたという報道はありません。
 これは小沢氏の一連のケースのような「限りない冤罪」などではなく、国民の血税の背任、横領 という国家的重大犯罪です。しかし小沢氏のありもしない「政治とカネ」ではあれほど大騒ぎしたマスコミも、なぜか同事件をほとんど取り上げようとはしません。
 
 また昨年4月に出された、森田健作千葉県知事の県知事選にからむ公選法違反容疑(虚偽事項の発表)などに対する、「森田健作を告発する会」の告発に対して、千葉地検がようやく重い腰を上げて形ばかりの捜査をして「不起訴処分」としたのが昨年9月30日。それを不服として、昨年12月16日千葉第二検察審査会に審査申し立て(完全無所属詐称容疑)を起こしたのに対して、同検審の「不起訴相当」議決は今年7月下旬です。

 彼我のスピードの違い、検察の捜査や処分、検審の議決の違いは明らかです。これでは見る人が見れば、うさんくさい市民団体、検察上層部、検察審査会、裁判所がグルになって小沢一郎の政治生命抹殺のための謀略捜査、審査を行ったことは一目瞭然のことでしょう。
 いずれにしても、今回の小沢氏サイドの行政訴訟が「そぐわない」の一言で却下されたのは、官報複合体プラス政(仙谷“菅”邸)による「小沢潰し」の意図が根底にある以上、現状ではどうしようもないことです。

 ただ今回の却下は、小沢氏サイドにとってはある程度織り込み済みだったとみるべきです。同弁護団は「議決は重大な瑕疵(かし)があったのに、起訴前に救済されないのは遺憾である」として、近く即時抗告する構えのようです。
 さらに小沢氏サイドは、“ウルトラC”も検討しているといいます。第5検審に対する「国家賠償」です。すなわち2回目の議決を出した審査員11名を相手に賠償請求を行うというのです。賠償金云々は抜きにして、そうすれば「匿名」の裏に隠れている11名を法廷の場に引っ張り出せる可能性が出てくるのです。

 これについて裁判官出身の弁護士は、「検審の審査員は任期中(8月から10月)は“みなし公務員”ですから、理屈としては個人への賠償請求は可能です。11人は個人の判断で議決しているからです。誤審をした裁判員に対して賠償請求できるのと同じ理屈です」との見解を述べています。
 とにかくこの11名については、一旦平均年齢30.9歳と発表されたのに、一部マスコミから「異常に若すぎる」と批判されると、検審事務局は慌てて「実は33.91歳の誤りでした」と訂正する始末です。裁判員のように記者会見に応じるでもなく、一体どこのどんな連中なのか匿名に隠れて氏素性がまったく分かりません。そしてこの者たちが、政局を大きく左右する重大案件に対してどれだけ慎重審議したのか、これまた皆目不明なのです。

 そこでもし審査員個々への賠償請求訴訟が認められ裁判にでもなれば、「なぜ起訴相当という判断を下したのか」、第5検審は可能な限り明らかにせざるを得なくなります。また11名の審査員を出廷させ、証人として尋問する場面も出てくるかもしれません。
 いくら訂正しても大半が20代の若者だったことに変わりはなく、この11名はかなり乱暴でいい加減な審査をした可能性があります。もし裁判になれば、そんな審査員の実態が国民の前に明らかにできるのです。

 普段はリーガルマインド(法的思考)などあまり持ち合わせていないであろう、アンちゃん・ネエちゃんら素人審査員の「疑問符だらけの議決」が、検察の処分の上位に置かれるのは明らかに異常です。マスコミ、野党のみならず与党内の現幹部連中も、「検察審査会至上主義」とばかりに検審を不可侵の聖域のようにみなしているのは、これまた非常に危険です。

 (大場光太郎・記)

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