「sengoku38」問題-責任を取るべきは誰?
-「政治職に責任なし。執行職が責任を取れ」?辞任すべきは仙谷、前原だ !-
尖閣衝突ビデオ流出問題に関して、「私がやりました」と名乗り出た「sengoku38」こと海上保安庁神戸保安部の43歳の海上保安官。警視庁の取調べを受けて2日目になりますが、またも逮捕持ち越しとなりました。
今回ユーチューブにビデオ映像を流出させた海上保安官の取調べは、「国家公務員法違反」容疑によるものです。国家公務員法のどの部分に抵触するかと言えば、同保安官の行為は、同法で定められている国家公務員の「守秘義務」に違反するというものです。
ちなみに同法の該当条文には、
国家公務員法 第100条
第1項 職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはいけない
と定められているのです。同条違反者には、「最高1年の懲役または最高3万円の罰金に処せられる」と規定されています。
これに対して、「おごれる者久しからず」の“今清盛”仙谷由人官房長官は、「sengoku38(仙谷さんパー)」にえらくご立腹で、「これではあまりにも刑が軽すぎる。今後罰則を強化する必要がある」と、かつて暴力団の弁護をしたこともある「悪徳弁護士」の“オレ様”が同法を改正してやるわい、と息巻いています。
それはさておき。法律の専門家の間でも、「今回の流出事件を同法違反として裁くのは無理があるのでは?」という声が挙っています。それは同条の中の「職務上知りえた“秘密”」をめぐる解釈に難しい面があるためです。
もし裁判官が「この事件は誰がどう見ても“秘密”を外部に漏らしたと判断し得る」と確信をもって裁定を下せるのであれば、文句なしに守秘義務違反罪に問うことができます。しかし今回流出させた衝突ビデオが、本当に「秘密」に該当するのかどうかが最大の問題となるのです。
国家公務員の「職務上知りえた秘密」に関して、1977年最高裁は、
1 一般人が知らない(国家機密などに属する)もの
2 保護に値するもの
がそれに該当するとの判例が出されています。法律で定めていない細部については最高裁判例がその後の基準となるのが通例ですから、本件が上記2項に該当するのかどうなのかを照らし合わせてみればいいわけです。
1項に関しては、石垣保安部が那覇地検提出用として44分に編集したビデオ映像は、それから1ヵ月くらいは特に機密指定もなしに、海保職員なら全国どこの保安職員でも自由に見られたといいます。「仙谷さんパー」海上保安官も、それを元に流出させた可能性が高いとみられています。
当人が「海保職員なら誰でも見られた」「特に機密扱いはされてなかった」「国民には知る権利がある」「誰もやらないから私がやった」「国益を損なったとは考えていない」などと言うように、本当に国家機密たり得たのか?疑問符がつくのです。
次に2項に関しては、「もう中国人船長も釈放されており、裁判資料としての価値は失われている」として、「既に保護に値しないのではないか?」とする専門家の見方が多いようです。
以上をある程度見越してか、「仙谷さんパー」本人も、名乗り出る直前のメモの中で「推定無罪?」と書き残しています。
今でも警視庁などには「逮捕しないで」という電話が多くかかってきているといいます。また“街の声”は、流出に賛成、反対それぞれ二分するものの、集計してみれば間違いなく「よくやってくれた」という声の方が多いはずです。
結果的に「仙谷さんパー」が罪に問われるにせよ、問われないにせよ。私はそんな大騒ぎする問題なのだろうか?と思われてなりません。むしろ、テレビ各局がもっけの幸いとばかりに連日連夜衝突場面を何百回となく流し続ける。そこには近々に迫った沖縄県知事選に向けて「中国脅威論」をあおり、やはり米軍沖縄基地は絶対必要。よって“隠れ辺野古沖移設容認派”の現仲井真知事を再選させるべし、との沖縄県民へのマインドコントロールが行われているようで、こちらの方がずっと大問題だと思います。
それより何より許せないのは、仙谷が「執行職の最高職である鈴木長官の責任は国交省の馬渕大臣より重い」としている点です。鈴木海上保安庁長官の首を切って、現閣僚は全員責任回避する姑息な手を打ってきたのです。
対して自民党の谷垣総裁や公明党の山口代表らは、馬渕国交相の辞任を強く求めています。また11日の参院本会議で質問に立った公明党議員が、日中関係に考慮して尖閣ビデオを非公開、すなわち「国家機密化」した仙谷官房長官にそもそもの責任があるとして、仙谷官房長官の辞任要求を突きつけました。
これに対して“苦虫噛み潰し”の悪相・仙谷は、「法制面、システム面を整備して再発防止に努めるのが私の役目」と、しゃあしゃあと答弁しています。野党側は納得せず、参院で馬渕大臣と仙谷官房長官の問責決議案の提出も辞さない構えです。
そもそも事件発端の船長逮捕、拘置延長しなから起訴せず釈放など、最初からこの問題でボタンのかけ違いをして大問題化させてきたのが、仙谷由人と前原誠司の凌雲会コンビです。二人に比して就任して日の浅い馬渕国交相の責任は軽いと言えます。
よって、ここまで悪化した日中関係を改善させ尖閣問題全体の速やかな解決を図るには、仙谷、前原の辞任が不可欠と考えます。
それにしても、菅直人総理の何と影の薄いことよ。
(大場光太郎・記)
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