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“尖閣ビデオ”に何が映っていたのか?

 -先月下旬から驚くべきことが囁かれている。ビデオ全編を国民に公開せよ !-

 尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件のビデオが国会に提出され、1日午前8時から衆参両院予算委員会理事等懇談会(衆議院第一議員会館地下1階の特別室)で公開されました。今回の同会での公開は29名限定。会場の外には何人もの警備員が立ち並ぶものものしさ、会場内での撮影は一切禁止、携帯電話も取り上げられての入室だったようです。
 そのようすを、29名の一人として入室した田中康夫衆院議員(新党日本代表)が、11月2日付「日刊ゲンダイ」2面で『尖閣ビデオを観て…』という緊急寄稿として伝えています。

 海上保安庁の鈴木久泰長官の説明とともに始まり、事件が発生した9月7日午前10時15分からの3分20秒、同10時56分、都合6分50秒の長さだったといいます。
 それを観た感想は各人各様でしょうが、田中康夫氏の感想では「う~む、この程度か」が偽らざる印象だったといいます。同氏によりますと、

 - 前編は巡視船「よなくに」の左船尾に中国漁船の左船首がぶつかった前後。後編は、その約40分後に巡視船「みずき」の右舷中央部に中国漁船の船首がぶつかった前後。が、それを「衝突」「追突」「接触」の何れと捉えるか、批判を恐れずに申し上げれば主観の問題ではないか、と思われる程度の「衝撃」なのです。出席していた複数の議員も、同様の見解を僕に呟きました。
 鈴木長官の説明に拠(よ)れば、2度目の衝突から2時間後の午後零時56分、「領海外」で2隻の巡視船が中国漁船を挟む形で拿捕(だほ)。然(さ)したる抵抗も無く、船長以下の乗組員は任意の事情聴取に応じます。公務執行妨害での逮捕は、その14時間後の8日午前2時3分です。-

 田中康夫議員の言葉を借りれば、「領海侵犯」「違法操業」「入管法違反」という「王道」ではなく、公務執行妨害という「覇道」で逮捕に至った判断ミスを下したのは、当初「逮捕を決めたのは俺だ」と得意げに周囲に語っていた前原誠司国交相(当時)でした。
 しかし船長釈放後は一転、「国交相だった自分に逮捕権はない。逮捕したのは海上保安庁」と、後見人の仙谷官房長官が「釈放を決めたのは那覇地検。何ら政治的圧力はない。政府はその決定を了とする」と、国民の誰一人信じない詭弁を弄したのと同じ言い逃れをする始末です。

 外交交渉能力が欠如したこんな「亡国コンビ」が、菅政権後の「前原総理-仙谷官房長官」政権として引き継ぐのは、アメリカ様お墨付きの規定路線だというのですから恐ろしい話です。(というようなことは、いずれ別の機会に述べることとして。)
 ところで。事件当日海上保安庁が撮り続けたビデオは、都合「2時間40分」にも及ぶといわれています。今回限定議員に公開されたビデオは、仙谷官房長官が「くれぐれも取り扱いは慎重に」ともったいぶった要望をつけて予算委員長に提出したものです。
 前後編合わせてたった「6分50秒」の超ダイジェスト版。それは本当に事件のエッセンスを凝縮したものだったのでしょうか?

 むしろ中国側の反応、我が国国民感情を考慮して、“ヤバイ部分”は予めカットしたものだったのではないでしょうか?
 実は同ビデオをめぐっては、先月下旬頃から、国民が激怒しそうな未確認情報が流されているのです。それは「海上保安庁の巡視船乗組員が海に転落し、それを中国人がモリで突いていた」というものです。今回はもちろんそんなシーンは公開されませんでした。

 これを最初に言い出したのは、嫌中国の最右翼・石原慎太郎東京都知事です。石原都知事は先月24日(日)朝のフジテレビ系『新報道2001』で、
 「政府の関係者から聞いた。日本の巡視船の乗組員が何かの弾みに落ちたのを、中国の漁船(の漁師が)モリで突いてるんだって。それは『仄聞(そくぶん)ですが』と、数人の人から聞いた。ウソか本当か分からないが、その実態を私たちは知る必要があるし、(ビデオ映像を)公開すべきだと思う。それが、この問題に対する日本人の正当な世論を作っていく」と語ったというのです。
 あまりの衝撃的な発言に、司会者は「情報を確認する必要があります」と言い、その話を打ち切りました。しかしこれが放映されるや、ネットなどで一気に広まっていったのです。

 これは石原都知事単独の発言ではなく、例えば海上保安庁の石垣保安部があり、尖閣諸島を行政区とする沖縄県石垣市の関係者も政府への要請で上京した際、「ビデオを観たわけではないが、中国漁師がモリで突いていたという話は、確度の高い情報だと思う。ただ政府や海保に緘口令(かんこうれい)が敷かれているようだ」と語っています。

 こんなシーンがもし2時間40分のビデオの中に映っているとしたら、当然事件直後から、海上保安庁上層部はもとより政府首脳も、そのような情報を把握していたことでしょう。普段からエキセントリックな言動の多い前原誠司ならずとも、中国人船長や漁師らの逮捕、拘束はむしろ必要不可欠の処置だったことになります。
 日本政府は、中国政府からの猛反発が予想されてもビデオをいち早く公開し、逮捕の正当性を、国内はもとより国際的に強くアピールすべきだったのではないでしょうか?

 もしこれが事実なら、中国漁船側の「殺人未遂罪」に等しい暴挙です。なのになぜ早々と漁師らを釈放し、セン船長を起訴もしないで釈放したのでしょうか?
 すべての情報を把握していたはずの、菅政権なかんずくセン船長釈放に全面的責任を負う仙谷官房長官の、“柳腰”などとのらりくらり答弁では済まされない、意味不明の決定的“弱腰”外交だったことは明らかです。

 この件について海保の広報担当者は、「そういう事実はない。巡視船の乗組員は海に転落していないし、誰もケガをしていない」とコメントしています。
 しかし事ここに至って、身内の西岡武夫参院議長も記者会見で、「(全面公開で)明らかにしなければ国民が納得しないのではないか」と語っています。どうやら、ごく一部の議員たちへのダイジェスト版のみでお茶を濁しただけでは済まなくなりつつあるようです。

 (大場光太郎・記)

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