黒木昭雄氏死す
-警察ジャーナリスト・黒木昭雄氏は、なぜ死ななければならなかったのか?-
2日午前11時5分頃、千葉県市原市今富の寺の敷地内に停まっていた乗用車内で、ジャーナリスト黒木昭雄さん(52)=同市郡本5丁目=が変死しているのを長男が見つけ、119番通報しました。車が停まっていた寺には、父親の眠る墓もあったそうです。
救急隊員が駆けつけた時には、黒木さんは既に死亡しており、後部座席には練炭を燃やした跡もあり、自宅から大量の睡眠薬を持ち出したとの情報もあるようです。黒木さんは1日、「仕事の打ち合わせがある」と言って外出し、家族に「東京都内に泊まる。墓参りをしてから帰る」などと連絡してました。遺書らしきものも見つかったといいます。
千葉県警市原署は、自殺の可能性が高いと見て調べを進めています。
黒田昭雄氏は元警視庁巡査部長で、警視庁退職後はフリージャーナリストとして警察批判を続けてきた人です。そんな黒田氏の突然の死に、同氏と親交のあったマスコミ関係者は、「常に前向きで思いつめるタイプではない。まさか自殺するとは」と、一様に驚きを隠せないようです。
この数年、黒木氏が“ライフワーク”として取り組んでいたのは、08年7月に岩手県で起きた「17歳少女殺人事件」の取材でした。指名手配された小原勝幸容疑者(30)が行方不明となっている同事件について、「真犯人は別にいる」と指摘し、岩手県警や警察庁の不手際を厳しく批判し続けてきました。
黒木事務所の女性アシスタントは、「2年前に、この事件のリポートを週刊朝日で発表した直後から、正体不明の嫌がらせが繰り返されたのです。今年9月には黒木氏のブログから、この事件にまつわる記載が、何者かの手でゴッソリ削除されてしまった。そんな嫌がらせにもめげず、取材を続けてきたのに…」と語っています。
身銭を切りながらの取材活動は金銭的にも負担だったようです。それでも「たとえカネにならなくても、警察の不正を追及するのが自分の役目」とハラをくくり、ブログやツイッターでリポートを続けたのです。しかし事件の風化と共に「ライフワーク」の成果を発表するメディアは限られていったといいます。(ブログは『黒木昭雄の「たった一人の捜査本部」』)
「どこも相手にしてくれない。誰も耳を傾けてくれない」ー死の直前には、周囲にこんな弱音を漏らしたそうです。
黒木昭雄氏につきましては、昨年11月の『かなえの殺人レシピ(10)』で、大出嘉之さん殺害事件についての、捜査の見通し等の黒田氏のコメントを紹介しました。
そのせいか、ここ2、3日同記事への同氏関係のアクセスが多くなりました。4日の“検索フレーズランキング”でも、1位から3位までを同氏関連が占めています。そこで今回改めて同氏を取り上げさせていただいた次第です。
黒木氏は死の前日(1日)にツイッターで、警察庁が手配中の小原の懸賞金を300万円に増額したことに触れ、下記のような書き込みをしています。死の間際まで「警察追及」の手を緩めなかった同氏の執念を感じます。
「ブログ削除」の件は、おそらく警察上層部の“魔の手”の仕業でしょう。このようなことを知るにつけ、検察審査会の疑惑だらけの「秘密議決」が大っぴらにまかりとおる状況といい、警察も今問題の検察も、本当に戦前からのファシズム的「暗い捜査機関」を今にそのまま引き継いでいるんだなという感をますます深くします。
ブログ削除。これは決して他人事ではなく、今後「お上」にとって都合の悪いブログなどは、片っ端から削除、閉鎖の対象にされてしまうかもしれません。
黒田氏にとって、このつぶやきこそが本当の“ダイイングメッセージ”だったのかもしれません。警察組織という“伏魔殿”に孤独な戦いを挑んで散っていった、黒木昭雄氏のご冥福を心よりお祈り申し上げます。 (参考、引用-2日付「asahi.com」、5日付「日刊ゲンダイ」7面など)
| 固定リンク
「日常」カテゴリの記事
- ソフトバンク「お父さんは犬」CMに物申す(2014.03.25)
- 10・24までにM7.5の地震首都圏襲う?(2013.10.17)
- 夢の話(4)(2013.06.29)
- どうなっちゃったんだ、山形大学(2013.02.24)
- 世界の中で止まっている日本(2013.01.10)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
YouTubeに流出。
日本の尖閣 海上保安庁5
どう見ても海保から当ててますよ。
投稿: masa | 2010年11月 5日 (金) 02時00分
ありがとうございます。警視庁公安部「テロ情報流出」で大騒ぎしていると思ったら、今度は中国漁船衝突事件の海上保安庁のビデオ画像が、YouTubeに流出か?と大騒ぎらしいですね。
この国は今やすっかり、「機密情報流出天国」の様相です。APEC間近だというのに、主催国・日本の信用丸潰れですね。今忙しくて観られませんが、YouTube版衝突画像、そのうちじっくり観てみます。
投稿: 時遊人 | 2010年11月 5日 (金) 02時28分
昔、車でヤクザの「当たり屋」というのがありましたが・・・まさにそれですね。
投稿: masa | 2010年11月 5日 (金) 04時27分
えっ、この場合の「当たり屋」とは、我が国の海上保安庁がということですか?わざと尖閣問題を大ごとにするための、ヤクザまがいの?だとするとこれは、ますますもって日中両国間の大問題に発展しかねないことになりますが…。
私は同画像観ていませんので、何とも判定しかねます。今晩にも問題の「YouTube流出画像」じっくり観てみたいと思います。
投稿: 時遊人 | 2010年11月 5日 (金) 05時30分
黒木昭雄さん もしかしたらポリ公連中に殺されたんじゃねえの?
投稿: 小林芳久 | 2012年3月 9日 (金) 04時19分
小林芳久様
黒木昭雄氏がライフワークとして追及していた「岩手県17歳少女殺人事件」の関係で、おっしゃるとおりの事があったとも考えられそうですね。
投稿: 時遊人 | 2012年3月 9日 (金) 13時30分