« 晩秋の横浜随想 | トップページ | ドラマ『15歳の志願兵』 »

「sengoku38」の衝撃

 -これほどひどい失態を繰り返しても、また誰も責任を取らないつもりか !?-

 4日深夜から5日未明にかけて、「尖閣衝突ビデオ」が動画サイト「ユーチューブ」(日本版)に流出し大騒動になっています。何しろ菅政権はこれまで「衝突ビデオを公開すべき…81%」という圧倒的な国民世論の声を無視し、1日午前29名限定議員に6分50秒という超ダイジェスト版をしぶしぶ秘密映写しただけでした。
 
 ところが今回のユーチューブ流出によって、あくまで一般国民には秘匿しておきたい菅政権の思惑などあっさり飛び越えて、事実上の一般公開となってしまったのです。しかも議員たちへの6分強というケチ臭い秘密映写などではなく、流出した映像は6本で、ドーンと合計約44分もの長さです。
 国家の最高機密情報が、かくもあっさりネット上で流出してしまったのです。こうなってしまって国民の間から、「何で事件発生の早い段階で全面公開しなかったんだ」と、非難の声が挙るのは当然の話です。

 5日のテレビ各局の報道はこの問題一色だったようです。流出画像の核心部分はやはり何といっても、海上保安庁巡視船「みずき」と「よなくに」の2隻に、中国漁船が衝突したシーンです。このシーンを朝から晩まで繰り返し流し続けました。その画像を観、さらに海事専門家の分析などを聞けば、中国漁船が意図的に衝突しようとしたのは明らかです。
 さらに今回の流出でも公開されていない部分として、中国漁船は衝突後同船に乗り込もうとして誤って海に転落した海保乗組員2名めがけて、船首部分を向けてきている映像まであるといいます。(先日の『“尖閣ビデオ”に何が映っていたのか?』記事でみましたように、石原東京都知事などは「モリで突いていた」と言っていましたが。)

 衝突場面など一部は流出したものの、依然謎の部分は残ります。「原因ありて結果あり」のうち、中国漁船が追突したのは「結果」です。当然それを誘発するに至る「原因」があったはずですが、そのことは依然明らかにされていません。

 『植草一秀の「知られざる真実」』の6日付『尖閣領有問題棚上げ政策についての検証が不可欠』の克明な論証では、2000年6月発効の日中漁業協定により、衝突が起きた尖閣諸島は同漁業協定の対象外海域で、「相手国漁船の問題は外交ルートでの注意喚起を行う」ことになっているのだそうです。なのに今回海保巡視船は追い返そうとして、大騒動の発端となってしまったのです。中国はおそらく、同協定規定外の海上保安庁の行動を問題視しているのではないでしょうか?
 “単細胞”前原誠司のように、「結果ビデオ」だけを見せられて頭に血が上って、何でもかんでも逮捕、拘留すればいいという問題ではないわけです。(だから後の処置に困って、「起訴せず釈放」という“国際的赤っ恥”となったわけです。)

 なお植草一秀氏によれば、今回のビデオ流出事件も含めて一連の尖閣問題で「中国脅威論」を煽ることによって、間近に迫った沖縄県知事選で現仲井真知事を当選させ、ひいては米軍の抑止力を強調して辺野古沖に何が何でも移設したい、米国を中心とした悪徳ペンタゴンの強い意図を感じると繰り返し述べています。

 漏れ聞くところ、事件当日同海域にいた4隻の巡視船がそれぞれ事件前後のようすを撮影しており、総合計数時間にも及ぶそうです。それをすべて観たところで事件の全容が明らかになるかどうかは不明です。しかしかくなる上は政府はもう隠し事はせず、有るだけのビデオ録画全部を、国民の前に包み隠さず公開すべきなのではないでしょうか?

 面白いのはユーチューブ投稿者が、「sengoku(せんごく)38」を名乗っていることです。「せんごく」とは、仙谷官房長官を当てこすったハンドルネームであることは明らかです。
 しからばそれに続く「38」にはどんな意味があるのでしょうか?一応は「意味不明」とされながら、一部では「せんごく3(さん)8(パー)」つまり「仙谷さんパー」と読むんだ、という説がまことしやかに囁かれています。
 
 一時的か永久的かは今後の政局、裁判の行方次第ながら。天敵の小沢一郎元代表を、ありとあらゆる謀略を駆使して失脚に追い込んだ張本人が仙谷由人です。それにより代表選後は特に、「菅内閣の蔭の総理」「赤い後藤田」「オレ様官房長官」などと称され、今や政界に並ぶ者がないほどの権勢を誇っています。
 しかし投稿者(流出犯)は大胆不敵にも、そんな大官房長官に対して最大限のオチョクッた名を使ったのです。投稿者は、「♪はやてのごとく現われて、はやてのごとく去っていく」往年の“月光仮面”的大人気(古いねぇ、私も)。どうやら犯人は石垣保安部の誰からしく、海上保安庁には「犯人を捕まえないで」という嘆願の電話が殺到しているそうです。
 
 日頃「民主党で一番頭がいい」と自認している仙谷は、そこまでコケにされて怒り心頭。会見では「公務員が故意に流出させたという行為があったとすれば、明らかに国家公務員法違反だ」と、顔面を蒼白にしながら語っていました。
 しかし「よく言うよ」ではないでしょうか?思えば今年初、小沢幹事長(当時)の例の世田谷土地問題で、大鶴基成ら検察幹部が「国家公務員法違反」を犯して、“虚々虚々”の捜査情報をマスコミに大量にリークしまくっていた時、仙谷らはただ傍観し、検察やマスコミに『それやれ。もっとやれ』と心の中で声援を送っていたくせして。
 それがイザ自分が都合悪い立場に追い込まれると、今度は「公務員法違反」を持ち出すのです。法律を都合のいいようにもてあそぶ、過去にレッキとした「悪徳弁護士」としての実績を有するらしい仙谷由人ならではと言うべきです。

 仙谷官房長官らがいかに躍起になっても、犯人を特定するのは極めて困難と見られています。登録情報などから投稿者を割り出すには、ユーチューブを傘下に持つ米グーグルの協力が必要です。政府もグーグルへの協力要請を検討中で、同社も「協力するのにやぶさかではない」と一応社交辞令的に言っています。
 しかしグーグルは、徹底的にユーザーのプライバシーを保護することで有名な会社で、諸外国の捜査協力には基本的に応じていないといいます。一国の要請とはいえ、うかつに個人情報を手渡せばユーザー離れを起こしかねず、自らの首をしめることになるからです。

 それにしても、内政に外交に内憂外患の菅政権です。仙谷がいくら切れ者だと言っても、しょせん全共闘上がりの「セクト闘争」、つまりコップの中の権力闘争に少しばかり悪知恵が回るだけ。肝心の内政、外交で仙谷が何か画期的な手腕を発揮したなど、これまでただの一度も聞いたことがありません。
 こんな菅政権、もうお引取り願った方が国益に適うのではないでしょうか?かといって菅直人だけが去り、次は米国のシナリオどおり、前原誠司総理(仙谷は後見人として留任)などとなったら、この国は破滅に一直線。仙谷らによって、小沢一郎が当分表舞台に出られない状況を作られてしまったことは、この国にとって測り知れない損失です。

 (大場光太郎・記)

|

« 晩秋の横浜随想 | トップページ | ドラマ『15歳の志願兵』 »

時事問題」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。