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「カンフォート・ゾーン」について

 停滞と無気力は死に至る公式です。 (「アーキエンジェルマイケル・メッセージ」より)

 何ヶ月か前自己啓発関係の本を読んでいて、「カンフォート・ゾーン」という聞きなれない言葉と出会いました。なかなか示唆に富む言葉だと思われますので、今回はこれについて述べてみようと思います。

 「カンフォート・ゾーン」とはどういう意味なのでしょうか?それは「できること/分かっていること/安心できること」という枠(ゾーン)のことをいいます。
 誰が考えても「できること/分かっていること/安心できること」の範囲内は、これほど居心地のいい生活空間はないはずです。そのため人によっては、自らの「心の力」によって形作られてきた、各自のカンフォート・ゾーンからいつまでも離れたくないと思うようになるかもしれません。

 とにかく住み慣れたその枠内で体験することは、「できること」「わかっていること」ばかりなのです。「できないなあ」「分かんないなあ」などと、頭と心を悩ます必要はないのです。またその枠内にいるかぎり「安心できること」ばかり、自分(ありていにいえば「エゴ」)のプライドが傷つけられたり、脅かしたりするものに怯える必要はありません。
 まさにその枠内(環境)に身を置く者にとっては、唯我独尊的に王侯貴族の気分が味わえる環境なのです。

 人によって「カンフォート・ゾーン」はまちまちであることでしょう。ある人にとっては昔の“マイホームパパ”よろしく、家でデンと構えている時が一番。奥様は「あら、お帰りなさいあなた。ご飯それともお風呂、どちらになさいます?」式にかいがいしくかしずいてくれ、子供たちも「いいか、しっかり勉強するんだぞ」と一言言っただけで、「パパ分かった。ボクしっかり勉強して、いい大学に入るからね」とすぐに応える素直さ、賢さ。

 かと思うと、「冗談じゃねえよ。今時そんなもの分かりのいい嫁さんも子供もいやしねえよ。“サラ川の反抗妻”じゃないけど、何かというとすぐ角(つの)立てやがってさ。オレが一言言うと、あっちは五つも十も返してきやがんだよ。たまの休みもオチオチ家になんかいられやしない」「子供は子供で、ちょうど反抗期真っ盛りでさ。知らない間に背が伸びちまって、腕っ節も強くなってよ。もう張り倒すことも出来んしなあ」…。
 こういう向きは、上司の嫌味や部下からの突き上げにもじっと耐えて、会社の決まりきったルーチンワークに精出している時、仕事の後の行きつけの一杯飲み屋、休日のパチンコ店などが、かっこうのカンフォート・ゾーンであることでしょう。

 各自のカンフォート・ゾーンはそれ以外にもさまざまあることでしょう。とにかく人は、この居心地のいい空間をいつまでも維持したいと考えるものです。つまり「現状維持」です。
 しかしカンフォート・ゾーンとはぬるま湯に他なりません。そして重要なことは、こういうぬるま湯の中でばかり生活を続けていると、その人が本来持っているポテンシャル(潜在的可能性)は、間違いなくどんどんしぼんでいくということです。

 確かに今までに経験済みのこと、かねてから気心の知れた知り合い、呑み屋でもパチンコでもいつも行っている場所…。
 一人前の大人である以上、10歳未満児のように出会うもの、見るものすべてが初めてでは、有意義な社会活動は営めません。そこで半ば以上ロボット的に、無意識の自動操縦で自然に体が反応してしまう業務、場面、場所はある程度必要です。

 しかし一面の真理として、このようなところには冒険やチャンレンジがありません。したがって「カンフォート・ゾーン」への依存度が強ければ強いほど、心身がどんどん「衰退」の方向に向かっていってしまうことになります。
 例えば体の筋肉などは、運動したり意識してその部位の筋肉を使うようにしないと、確実にやせ細っていってしまいます。それと同じで、カンフォート・ゾーンに長くとどまればとどまるほど、時間、歳月の経過とともに以前なら出来たことが出来なくなってしまうのです。
 これは明らかに「老化」現象とみなすべきです。30代でも40代でもこのような兆候が現われたなら、それは「心の老化」のサインです。そして心の老化は、時ならずして「体の老化」となって必ず現われます。

 現下の超厳しい経済情勢下、自営業などをしているとそれがヒシヒシと実感されてきます。このような状況下では、現状維持つまり「業務上のカンフォート・ゾーン」に満足していると、顧客は減少し業務収益は確実に下がってしまいます。
 どうしても「カンフォート・ゾーンの枠外」に目を向けざるを得ないのです。

 カンフォート・ゾーンの枠外には何があるのでしょう。その枠外は「できないこと」「知らないこと」「恐ろしいこと」で満ち溢れているのかもしません。時には獰猛な猛獣が潜むジャングルに踏み込んでしまうかもしません。ですから人はついつい枠外に一歩足を踏み入るのを躊躇し、現状で満足しがちです。
 しかし「チャンス」や「新機軸」は、カンフォート・ゾーン内で見つかるものではありません。どうしても枠を出て、外に何歩か踏み込む勇気が必要なのです。

 繰り返しますが枠外の世界は、今の自分には「できないこと」「知らないこと」「恐ろしいこと」がいっぱいあることでしょう。そこに一歩でも足を踏み入れた途端、難題で脳みそがショートするくらい考えさせられたり、手痛い失敗やとんだ赤っ恥をかかされることがあるかもしません。

 かつて「経営の神様」といわれた松下幸之助は、80歳過ぎても松下会長として第一線の指揮を取り続けていました。ある人が松下翁に取材し、「会長、あなたの若さの秘訣は何ですか?」と聞いたそうです。松下翁は「1日最低3回は“おやっ”と驚く(びっくりする)ことだよ」とすかさず答えたそうです。
 この答えから、松下幸之助は80歳過ぎても絶えずカンフォート・ゾーン外へのチャレンジを止めなかったことは明らかです。

 人は誰でも、若いうちは平気でカンフォート・ゾーン枠外を飛び回り、遊び回っています。もしいつまでも「若々しい自分」でありたいのなら、私たちは加齢とともに枠内に閉じこもり縮むのではなく、逆に「出来ること広がれ !」とばかりに枠外に果敢に飛び出して、常に新しい事、新しい環境にチャレンジする心がけが必要なようです。(今回は特に自戒を込めて。)

 (注記)本記事は、『ザ・ラストチャンス』(池松耕次・海堂利巳共著、太陽出版刊)を参考にまとめました。

 (大場光太郎・記)

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