2010流行語大賞
-今年もまた、流行語大賞やノミネートされた各言葉について考えてみました-
師走に入った1日、「2010 ユーキャン新語・流行語大賞」が発表されました。これはご存知のとおり毎年恒例で、1年間の世相を反映し強いインパクトを与えた言葉に贈られるものです。
今年最終ノミネートに残ったのは、「いい質問ですねえ !」「イクメン」「AKB48」「ゲゲゲの~」「ととのいました」「女子会」「脱小沢」「食べるラー油」「~なう。」「無縁社会」でした。
その中で流行語大賞に選ばれたのは、「ゲゲゲの~」です。これはNHK朝の連続ドラマにもなった、武良布枝さんの著書『ゲゲゲの女房』から取られたものです。
ケチをつけるわけではありませんが(と言いつつケチをつけますが)、今年はどうもいま一つピンとくる言葉が少なかったように思います。そういえば昨年も『今年の流行語大賞に思うこと』記事で、この話題を取り上げました。
1年経ってすっかり忘れていましたが、昨年度の流行語大賞は「政権交代」。これは同記事にも書きましたが、発表される前から『今年は「政権交代」で決まりだろう』と予想がつくくらいガチガチの大本命でした。
その点、今年の大賞の「ゲゲゲの~」のもとになった、ドラマ『ゲゲゲの女房』を私はほとんど観ていません。もっとも同ドラマは、NHK朝ドラでも最悪の部類の視聴率からスタートし、徐々に高視聴率に伸ばしていったドラマであるようです。
この言葉を何年か後に「年度代表語」として振り返った時、果たして「2010年の世相を如実に反映し」「2010年を回顧する際の強いインパクトを持つ」言葉だったと言い得るのでしょうか?少し疑問だと思います。
ただ私は30代から40代前半、学習研究社のオカルト月刊誌『ムー』を欠かさず購読していたくらいですから、『ゲゲゲの鬼太郎』の作者・水木しげるは大いに評価しています。この無味乾燥な“現代砂漠”的世の中に、「水木ワールド」と呼んでもいいような妖怪世界を描き出してくれたことは、大変有意義なことだったと思うのです。
鬼太郎をはじめ、「一反もめん」「ぬらりひょん」「塗り壁」「砂かけ婆」などは、水木しげるならではの特異な妖怪キャラクターです。『機会があれば水木作品をじっくり読んでみたい』と、前々から思っていたのです。
「いい質問ですねえ !」はジャーナリスト・池上彰氏の言葉、「イクメン」はタレント・つるの剛士の子育てを楽しむ男性を表わす、「イケメン」のもじり言葉、「AKB48」(エィケィビーフォーテーエイト)は、かつての“モー娘”の二番煎じ的な人気アイドルグループ。「女子会」は、昨年の「肉食女子」の発展形、一段と逞しさをグレードアップさせた女子だけのグイ飲み会のこと。この辺は何となく分かります。
「~なう。」は、「now」→「ナウ」→「なう」と変換させたツイッターでの表現語であることは、以前の『塀の中に落ちたハマコー』の中で、ハマコーこと浜田幸一元自民党衆院議員の、自身の超人気ツイッターでの使用例をご紹介しました。
「ととのいました」「食べるラー油」に至っては、ここのところとんとテレビを観なくなった当方には、何のことかさっぱり分かりません。
政局騒然となった今年の政界用語からは、「脱小沢」がノミネートされただけでした。
振り返ってみれば今年は、おめでたい元旦早々、PODAM(正力松太郎)というCIAエージェント直伝の読売新聞が、小沢一郎氏の「世田谷土地購入問題」を一面で取り上げたことにより、一連の小沢バッシング報道が火を吹くことになったのでした。
以後、「大鶴基成」検事らによる「国家公務員法守秘義務違反」による「検察リーク」、それを垂れ流すだけの新聞・テレビの「土石流報道」、にも関わらず「東京地検特捜部」の2度の「不起訴処分」。
かと思うと甚だ怪しい「検察審査会」による2度の「起訴相当議決」。また「普天間問題」では、「出来れば国外、最低でも県外」を模索して、米国戦争屋の逆鱗に触れた鳩山前首相ともども、党内の「悪徳ペンタゴン」呼応勢力の策謀によって小沢氏も幹事長職を退くことになったのでした。
「6・2クーデター」という暗いプロセスを経て政権を奪取したのが、菅直人、仙谷由人、前原誠司、岡田克也、枝野幸男、玄葉光一郎といった面々です。特に政界一の腹黒男・仙谷由人の「脱小沢」は徹底したものでした。
しかし唯一“政治の何たるか”を知っている小沢一郎を排除したツケは大きく、今夏の参院選では惨敗、9月に「尖閣諸島」沖で突発した「中国漁船衝突事件」では、船長釈放、衝突ビデオの公開などをめぐって決定的なミスを連発し、遂には非公開としたビデオを「sengoku38」海上保安官によってユーチューブに公開され、赤っ恥をかかされ、野党からは仙谷官房長官らの「問責決議案」を出される不始末です。
以上の「」内の言葉は、皆流行語にノミネートされてしかるべき言葉だったように思います。それらをすべてひっくるめて、「脱小沢」という一語に集約されるのかも知れませんが…。
とにかく今年は、年初から今現在に至るまで「脱小沢」が徹底された年でした。その結果、現菅政権の国内外の政治課題に対する右往左往ぶりに明らかなとおり、今年は「政権交代」ならぬ、とんだ「政権後退」の年になってしまいました。
こんな不毛で大損失の1年にしてしまった、東京地検幹部、大マスコミ、検察審査会、民主党内の反小沢一派の責任は極めて大きいと言わざるを得ません。
最後に地味な言葉ながら、「無縁社会」。私個人としては、今の世相を最もよく表わしているのがこの言葉ではないだろうかと思います。そもそものGHQ(ブラックメーソン)占領政策が着実に実を結び、かつての民族的「共同体の和」はどんどん解体、崩壊し、どこの地縁や組織とも無縁な人々が、都市部を中心に全国各地で大量に生まれつつあるのです。
この状況は殺伐とした「孤立社会」と言うべきです。かく言う私自身この問題とは決して“無縁”ではありませんから、余計切実にこの「無縁社会」には考えさせられるのです。
(大場光太郎・記)
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