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小説には力がある

 -厚木市出身で同市在住の気鋭の作家、太田靖久さんをご紹介します-

 17日第144回芥川賞、直木賞が発表され、7年ぶりの両賞ダブル授賞となりました。芥川賞は朝吹真理子さん(26)の『きことわ』(新潮9月号)と西村賢太さん(43)の『苦役列車』(新潮12月号)と対照的な作品が選ばれ、直木賞は時代小説の木内昇さん(43)の『漂砂(ひょうさ)のうたう』(集英社)と現代物の道尾秀介さん(35)の『月と蟹』(文芸春秋)の両賞が選ばれました。

 中学・高校の頃心のどこかで小説家を夢見ていた私にとって、芥川賞は特に、今回同賞授賞の朝吹さんの授賞会見時の言葉ではないけれど「畏怖」すべき賞なのでした。何せ、昭和の作家の中で最も人気が高いと思われる太宰治でさえ、戦前から狙っていながらとうとう授賞できなかったくらい凄い賞なのです。
 中学で『晩年』、高校で『斜陽』などを読み、太宰の才能に圧倒され「畏怖」を覚えた私には、芥川賞はノーベル文学賞にも匹敵すべき途方もない賞に思われたのでした。
 そんな芥川賞でも直木賞でも、毎年2回「該当作なし」を除いては授賞する、注目すべき新しい才能が出現するわけなのです。

 と、そんな私たち庶民にとって異次元の世界のことはともかく。こちらも異次元ではあるものの、私にとってもう少し身近な「異次元の人」のことをご紹介して見たいと思います。毎月2度ほど当地の各戸に配布される、厚木市報『広報あつぎ』の1月1日号に載っていた人の話です。
 同報の4面、5面は「輝きを増す新星」という特集ですが、4面が「小説には力がある」というタイトルの、厚木市愛甲在住の気鋭の作家・太田靖久(35)さんについての紹介記事なのです。

 太田靖久さんは昨年、文芸の新たな可能性を開く新人作家に与えられる第42回「新潮新人賞」を授賞したのだそうです。歴代の受賞者には、後に川端康成文学賞や三島由紀夫賞を授賞した田中真弥さん、芥川賞を受賞した中村文則さんといった作家が名を連ねるといいます。
 応募数2030作品の中から授賞したのは2作品。太田さんの『ののの』がその一つに選ばれたのです。太田さんは「ほっとしました。もう苦しい思いをしないで済むという、安堵の気持ちでした」と、嬉しさよりもほっとした気持ちだったと感想を話しています。

 授賞作『ののの』は『新潮』11月号に発表され、「主人公が暮らす街に、正体不明の『白い本の山』があり、頂上には『のの』という怪鳥がいつもいる。そして街に流れる川が氾濫するなど、住民たちの生活を脅かしている」といった、非日常を現実にあるかのように描いた作品だそうです。
 東名中学校や玉川など、生まれ育った厚木市内の風景が要所要所に出てくるのも、太田さんの作品の特徴の一つのようです。

 文学界でホームランをかっ飛ばした感のある太田さんですが、初めから小説家を目指したわけではなかったといいます。中学・高校時代はサッカー部所属、大学時代は映画サークルで脚本を書いたこともあるものの、小説を書くまでには至らなかったようです。大学卒業後は、テレビ番組の制作や映画館、ホテルマンなど、小説家とは無縁の職業に就いていました。
 きっかけとなったのは20歳の頃に見た、作家の部屋を紹介するテレビ番組だったといいます。そこで太宰治が山梨県に住んでいた頃の部屋が紹介され、窓から映る富士山を見た時、なぜか不思議に『自分は書ける !』と思ったのだそうです。

 太田さんの物語の作成方法には、特徴があるといいます。考えて作るのではなく、アイディアとアイディアが結びつき、頭の中に場面が浮かんでくるのだそうです。太田さんいわく、「いい場面は音やにおいなど、リアリティがあるのです。その絵を事細かに描写するように書いています」。
 五官を総動員して、脳内に映画を映し出すようにして書いているということでしょうか。今風に言えば、右脳の「イメージ力」が大変優れた人のようです。

 私は小説をというより、本を読むことがめっきり少なくなりました。ここ2年ほどで言えば小説は、碧野圭さんの『雪白の月』、原民喜の短編『夏の花』、太宰治『ヴィヨンの妻』、松本清張『ゼロの焦点』、碧野圭さんの新作『失業パラダイス』くらいなものです。
 碧野圭さん、ごめんなさい。『雪白の月』はおととし春頃読了し、『感想文を当ブログで…』と思っていたのですが、持ち味のストーリー展開も小気味よく感動的だったものの、テーマはアラフォー女性の恋愛、元々「恋愛小説」が苦手な私は『さて、どうまとめようか?』と思案しているうちに、時期を逃してしまいました。『失業パラダイス』は今読み進めているところです。新ジャンルを開かれましたね。非常に面白いです。読了次第、今度こそ当ブログで紹介させていただきます。

 話を戻しますが。この一文の中に、タイトルの「小説には力がある」について、「なぜそうなのか?」は触れられていません。あるいは太田靖久という作家の、芯に持っているポリシーなのかもしれません。しかしこれは興味あるテーマです。いずれ『小説には力があるか?』というような論考を加えてみたいと思います。
 それはそうとして、「本を読まなくなった」のは、明らかに老化の一兆候です。これではいけません。今後は小説でも何でも、なるべく多く「本」を読んでいきたいと思うきょうこの頃です。

 (大場光太郎・記)

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