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夜の停電を経験して

   真暗なる家並の上の春の月   (拙句)

 17日夕方福島原発情報を知りたくて、ТBSの報道番組『Nスタ』を観ていました。6時過ぎ、同番組の堀尾正明キャスターと長峰由紀局アナが、当日夜の「大規模停電」の可能性に言及していました。『大規模停電?』。またまた聞き慣れない言葉です。
 海江田万里経済産業相の「やむを得ない措置であり、もしそうなった場合はご協力のほどお願いしたい」旨の記者会見のもようも流されました。

 例の「計画停電」ですら、16日は小田急線が全面ストップでした。何も知らず昼過ぎ小田急に乗るべく本厚木駅に行ってみると、何と同駅構内手前で白い大きなシャッターが降りているではありませんか。その前で制服を着た何人かの小田急社員が、詰めかけた人々への説明で大わらわです。
 平日の昼日中、同駅のシャッターが閉まっているなどこれまでついぞなかった光景です。『これじゃあ、ちょっとした戒厳令だよな』と思ってしまいました。

 『その上さらに大規模停電だ?』。そう思いながら同番組を観ていました。そうこうしていると、テレビ画面がスーッと消えたかと見るや、続いて各部屋の照明がバチッと切れてしまったのです。時刻は確か6時20分頃。この早春の季節、既に外も内も真っ暗です。
 ちなみに当厚木市は、第1グループか第2グループあたりの区分。当居住地で今回の計画停電なるものを経験するのは、その時が初めてでした。

 私は真っ先に、『ははあ、これが今言ってた大規模停電というヤツか。いよいよ来たな』と思ったのです。
 少し前のぞいたネットの某サイトには、「農水省では職員たちに、18日出勤停止命令が出た。これが何を意味するかよく考えろよ」というような書き込みがありました。(後で流言蜚語の類いと判明。)それに17日は昼のニュースで、中国政府やフランス政府などが飛行機をチャーターして、自国人たちを日本から脱出させるようすが報道されていましたし。
 焦眉の急の福島第1原発の3号機か4号機がいよいよどうにもならなくなって、臨界、核爆発でも起こしそうなのか?

 その上さっきのテレビでは、あの仙谷由人が官房副長官として、菅内閣に舞い戻ってくるというじゃないの。この停電を仕掛けたのは希代の策謀家仙谷だな。
 きっとこのまま長期間停電を続けて、首都圏の大勢の市民たちをテレビやネットから遠ざけ、迫り来る福島原発の危機を知らせないつもりなんだろ。
 だとすると、この停電はかなり長いぞ。少なくとも一昼夜ぶっ通しで続くんじゃないか?国民には「寄らしむべし、知らしむべからず」で、今頃官邸では菅や仙谷や枝野らが雁首そろえて、未曾有の危機に対する協議をしてるんだろうよ。

 これまでの計画停電だけで、市民生活はもとより、工場、スーパー、商店なども大打撃だ。こんなのいつまでも続けていれば経済活動は停滞し、海外投資家たちの“日本叩き売り”が加速し、日本は世界中から相手にされなくなっちゃうぞ。
 その上戒厳令的長期停電では、いかなおとなしい国民でも我慢の限界。菅政権の大地震や原発事故への対応のまずさは、もはや周知の事実。一部都民たちが暴徒化して、首相官邸に押しかける事態も有り得るんじゃね?

 真っ暗がりの中、何事も行き当たりばったりの私は(その点菅政権と似たり寄ったり)、どこかにあったはずのローソクを探し回りながら、ついついそんな「闇の思考」を思い巡らせていました。
 愛猫ズンズの死以降、すっかりご主人様(つまり私)の寵愛を取り戻した親猫ミーが、うるさく付きまとい、「こらミーっ。ウロチョロすると踏んづけられるぞ。…弱ったなあ、ホントにローソクどこだよ?」
 15分から20分ほどあちこち探し回り、ようやく見つけ、つましい灯を点(とも)しました。

 この停電いつ復旧するのやら、皆目分かりません。薄暗いローソクの灯では、有意義なことはほとんどできません。そこでヤケクソで早めにフロを沸かして入りました。
 続いて、パック納豆を取り出しさらに生卵まぜまぜご飯という簡単な食事も済ませました。“霊食”ということに思い至らず、「人はパンのみにて生くるものなり」と強固に思い込んでいらっしゃるB層“肉食”主婦たちの、賢明なる買いだめでどこのスーパーも品薄状態。この際、やっと見つけて買ってきておいたライトツナ缶詰も開けました。(この場合の「肉食」は広義で捉えてください。)

 ようやく人心地ついて、無性に一服したくなりました。しかしあいにくタバコを切らしています。100メートルくらい先の少し広い通りに面した所に、つい最近コンビニがオープンしました。確実に閉まっていると解りつつも、ついでに外のようすがどうなっているのか気になって、時間潰しも兼ねて一応行ってみることにしました。

 外に出てみますと、当然のことながら辺り一面真っ暗です。いつもは家々の灯り、店の照明や街灯などで明るいのに、この夜に限っては四囲を見渡しても、一点の灯りもありません。灯りのない心細さの中で、またぞろあらぬことを考えました。
 …例の原発は今、大変な事になっているんじゃないか。なのに外に出て大丈夫なのか?いや、誰かが言っていたとおり、12日の1号機爆発によって大量のプルトニウムが関東にまで飛散し、その時既に放射能に被爆していたのかもしれないぞ。

 今回は広島・長崎のように直接被爆ではないから、直ぐには現われないけど2、3年後じわじわと。今まで他人事と思っていた「ヒバクシャ」に、このオレも?
 そして終いには、原民喜の原爆詩ではないけれど、皮膚がドロドロにただれて「ドナタカ ミズヲクダサイ」とうめきながら、通りをさ迷い歩くのか?

 家並の上の夜空を見上げると、よく晴れた南東の中空に、月が輝いています。月齢は満月には及ばない十三夜ほどの月です。「十三夜」は秋十月の名月だから、あの月は「早春の十三夜」とでも言うべきか。盛春の豊かな感じではなく、冬月の名残りをとどめた白々としたお月様です。

 月を振り仰ぎ、下界に視線を戻しながら一つの発見をしました。人工の灯りがまったくなくても、青白い月の光だけで周りはけっこう明るいのです。普段見慣れた景色であることを割り引いても、家々の細かいようすや通りの先までもよく分かります。
 そういえば以前、『もしこの明るすぎる夜間照明がなかったらどんなだろう?』と思ったことがありました。今回図らずもこうして叶えられたわけです。
 西南の方向には、キリッと屹立したオリオン星座や、その南下のシリウスなどもくっきりと見られました。冬本番ならその時分オリオンは、ちょうどお月様の位置くらいの星の荒野に横たわっているはずです。

 案の定コンビニは真っ暗で閉店です。折角だから今歩いてきた道と直行する少し広い通りに出て、周りのようすを見てみました。中津川に至る東側一帯の家並は真っ暗です。しかし県道に至る西側方向に反転しますと、県道の少し手前くらいの街灯が点いているのです。
 『んっ?何だありゃ』。気になってどうせ閑なんだし、そちらの方向に歩いてみることにしました。すると県道手前のそれと平行して走る裏道から西側は、店々も家々も普段どおりに灯りがついているではありませんか。
 ということは今回の停電はやはり計画停電で、大規模停電ではなかったわけです。もちろん官邸の謀略でもなく、福島原発の緊急事態も起こっていないことでしょう。

 だとすると巷間言われているように、3時間ほどで復旧するのでしょう。『あヽよかった』。私はそちら側のコンビニに立ち寄り、タバコを手にして帰路につきました。
 9時過ぎ無事電気が点きました。

 (大場光太郎・記)

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