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直ちに福島原発を廃炉にせよ !

 -『日刊ゲンダイ』(3・18付)4面コラム「春名幹男 国際情報を読む」より転載-

 政府と東電は決断せよ。
 まさに、戦争の時もそうだった。日本国内では真実は報道されない。「国際情報」の方が事態は正確に把握できる。
 欧米の報道やシンクタンクの情報から判断される結論は、福島第1原発の「廃炉」処分である。
 放射能漏出はいつまでも続く。もはや小手先の逐次的対応は限界に達した。1号機から4号機まで、廃炉にするしかない。つまり、チェルノブイリ原発のようにコンクリートをぶち込んで、固定化させる。「原発の墓場」にするということだ。
 そうしなれば、数ヵ月間あるいは1年にもわたって、原発内に閉じ込められた放射能物質がすべて放出される。広島・長崎以上の核汚染が起きる。太平洋は死の海になり、漁業は壊滅、偏西風でハワイや米国にまで放射能汚染が拡大する。
 チュー米エネルギー長官が急きょ30人もの専門家の日本への派遣を決めたのは、決断できない菅政権と東京電力に早急に措置を迫るためだ。
 15日付のインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙(ニューヨーク・タイムズ紙国際版)は、海水とホウ素を1号機に注入した12日の対策を「捨て鉢の行動」(desperation move)と表現。廃棄処分しかない、と判断したのは、その処置も失敗したからだ。
 同様のトラブルは2~4号機にも次々発生した。いずれも震災で発電機が故障、ポンプで冷却水を循環できない状況なのだ。
 さらに16日付の同紙は「大破局への瀬戸際」と伝えた。もはや小手先の措置では事態は打開できない。
 同紙にも、日本国内では報道されていない真実が多々暴かれている。
 第1に、米原子力専門家の調査チームは地震発生直後、日本に駆けつけ、調査に乗り出していた。13日には、複数の米軍ヘリが福島上空を100キロにわたって飛行、大気中のチリを採取し、セシウム137やヨウ素131などの放射性同位元素を検出したようだ。
 さらにこの専門家チームは関係者から聞き取り調査も行い、事故の明確な問題点を把握。その結果、米政府高官は「どう見ても、問題はすぐには片付かない」と事態の長期化を予測した。
 日本のテレビでは、原子力工学の専門家らが毎日、原子炉の構造などを詳しく話しているが、肝心な事実は全く分からない。いつどのようにして窮地を脱するのか、誰も説明しないのだ。だが、米軍専門家らは、炉内の水量を計測する機器が地震と津波で故障しているため、いくら水を注入しても炉内の正確な水量は不明という重大な疑いも指摘している。
 同原発がウランとプルトニュウムを混合したMОX燃料を使用しているため、漏出する放射能の毒性が高いことも米側は懸念している。
 建造から40年もたった原発にホウ素と海水を注入すれば、事実上原発は使えなくなる。
 菅政権は直ちに決断すべきだ。思い切った対策で炉心が全面的に溶融する惨事が長期化するのを回避しなければ、日本は世界の非難を浴びる。
 放射能レベルの上下に一喜一憂する枝野官房長官の姿が滑稽に見える。
 (以上全文転載終わり) 

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