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遠く険しい廃炉までの道程

 -『日刊ゲンダイ』(3月24日付3面)「福島原発 消えない不安-遠くて険しい「廃炉」までの道程」記事より転載-

「通電」でも安心できない
 福島第1原発の外部配電作業が進み、22日は3号機の中央制御室に電気が通り照明がついた。政府発表やマスコミ報道を見ていると、これで冷却機能が回復すれば万事OKと思ってしまうが、トンデモもない誤解だ。この先気が遠くなるような作業が待っている。

原子炉に近寄れるのは3年先
 元原子炉製造技術者で科学ジャーナリストの田中三彦氏が解説する。
 「配管やポンプが壊れている可能性があり、まずは点検と補修が必要です。中には放射線の値が高すぎて近寄れない場所もあるかもしれません。でも、とにかく今は水を入れて冷やすしかない。ベストのシナリオで進んで、うまく冷却装置が稼動したとしても、内部の放射線量が安定するまで冷却するのに3年から5年はかかるでしょう」
 それまで原子炉には近寄れない。この間、ひたすら水を循環させて管理していくしかないわけだが、1号機や3号機の建屋は爆発で骨組みだけになっているから、冷却期間中ずっと放射性物質は外に出っ放しである。

 政府関係者は「技術的にも政治的にも福島第1は廃炉にするしかないだろう」と言うが、廃炉の処理も簡単じゃない。
 まず、燃料棒を安全な場所に移さなければならない。原子炉のフタを開けて炉心の燃料棒を取り出すには、建屋を再築する必要がある。放射性物質が外部に拡散するのを防ぐためだ。
 
 遠隔操作できるクレーンで燃料棒を取り出したら、冷却プールへ。ここでさらに10年ほど冷やし、再処理工場か中間貯蔵施設に送る。
 「原発を10年ほど放置した後、解体作業に入ることになります。それでも被曝は避けられない。大量の放射能を浴びた原子炉自体が放射性物質の塊のようになっているからです。解体にはロボットを使うしかないという声もありますが、まだ研究段階です」(田中三彦氏=前出)

放射能を数万年出し続ける
 解体ロボットの実用化まで何年かかるのか。解体できても、放射能まみれの廃材をどう処分するかという問題がある。廃炉にするには、原発建設費の数倍のカネがかかる。やはり最後は、チェルノブイリの「石棺」のようにコンクリートで埋めてしまうしかなさそうだが、崩壊熱が高いうちは近寄れないから無理。数年先の話だ。コンクリートで封印し、原発の周囲は半永久的に立ち入り禁止区域になる。

 「使用済み核燃料の処理も大変です。青森県六ヶ所村の再処理工場で100年ほど保管して、どこか地中に埋めることになっていますが、埋める場所はまだ決まっていない。高レベル放射性廃棄物の中には、半減期が数万年というものもある。冷却しながら数十年、その後も数万年の管理が必要ということです」(事情通)
 放射能ゴミと化した廃炉も数万年、放射能を出し続けるということだ。いったい誰が責任を持って管理するのか。日本では福島第1クラスの原発の廃炉は経験がなく、未知の領域。今の混乱は序章でしかない。  (以上転載終わり)

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