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大震災から1ヵ月

 -3・11大震災以来、国民の心の中の風景は大きく変わってしまった-

 なべて厳しい修羅闘諍のこの娑婆世界、時には思い出したくもない悪夢のような出来事を各人経験することがあるものです。しかしこの度は「国民丸ごとの悪夢」的出来事が起きてしまいました。
 今からちょうど1ヶ月前の3月11日の東日本大震災です。またその直後には、大震災と大津波によって引き起こされたとみられる福島第1原発の各号機事故が起きました。

 国民の多くが、こんな事態が起りえようとはおよそ想像もしていなかったと思います。かく言う私自身、同日午後2時46分の最初襲った揺れにまずびっくりしました。ニュースによって後で知ったことには、当地とは二百数十キロ以上離れた宮城県沖が震源でしたが、震源はすぐ近くでは?と思わせられるような、激しくかつ2、3分も続いた長い横揺れでした。大地そのものが大波のように揺れている、こんな長周期振動を初めて経験しました。
 地震後30分ほどして、当市の各所に設置されている防災無線スピーカーから、今回の地震は震度6弱であるとの放送があり、なるほどそうだったかと妙に納得させられた次第です。

 その後テレビ各局がぶっ通しで流し続ける直接の被災地のようすには、心底驚愕させられました。分けても身震いしたのは、地震によって引き起こされた巨大津波の惨状です。大津波によって車も大型船舶も次々に流され、あらぬ所に運ばれていくようすが、リアルタイムに映し出されていたのです。
 それはおよそ起りえない非現実的かつ衝撃的光景でした。

 しかし日を重ねるごとに、宮城県、岩手県を中心とした太平洋沿岸の被災地の大惨状が次第に明らかになっていきました。軒並み十数メートル、最も高い地域では三十メートル超もの巨大津波が襲い、一つの市や町が根こそぎ壊滅させられたというのです。
 それは杜甫の『春望』の「国破れて山河あり」を彷彿とさせる無残な光景です。さながら廃墟と化した町を一望できる小高い丘の上で、茫然と立ち尽くす中学生の兄と妹かの後姿の写真がありました。思い出がびっしり詰まっているであろう、かつてのわが町の変わり果てた姿を、この兄妹はどんな想いで見つめていたのだろうか。両親は無事だったのだろうか。

 そういうことが一町、一市ではないのです。死者、行方不明者の数がいったいどのくらいに上るのか、各市町村ともまだ十分には把握できていないのが実情です。
 辛くも命は助かったものの家を失い肉親を失い、1ヵ月間もの長い避難所生活を余儀なくされている方々は15万人にも上るということです。
 死者十数万人を出した大正12年9月1日の関東大震災では、時の内務大臣・後藤新平がいち早く帝都復興院を立ち上げ、周囲の猛反対にも関わらず超大型予算を組み、新都市計画などを次々に打ち出し着実に実行していったそうです。
 また平成7年1月17日の阪神大震災でも、時の村山富市内閣は対策の遅れを非難されたものの、それでも震災の3週間後には被災地救援プランが具体的に動き出していたといいます。

 この両震災に比して、今回の復興対策は決定的に遅れているのではないでしょうか?例えば仮設住宅一つ取ってみてもそのとおりです。寒冷だった東北の3月に暖房も満足に取れない、しかもプライバシーのない体育館のような所に、被災者たちは1ヵ月間投げ込まれているのです。私が当事者ならとっくに発狂しているかもしれません。事実お年寄りたちが次々に避難所で亡くなったり、肉親を失い将来を悲観した自殺者も出ているといいます。
 せめて仮設住宅への一日も早い移転が強く望まれます。が、およそ6万戸の必要数に対して、現在建ち上がったのはわずかに数百戸のみ。申し込み倍率が数十倍になるのも当然です。一事が万事このとおり。震災地復興が何年先になるのか、まったく見通しが立たない状態です。

 大震災の被災地はかくのごとく難問山積です。それに輪をかけて国民全体の心に重苦しく圧しかかっているのが、直後に起った福島第1原発事故です。震災直後から事故が起きることが懸念されていたのに、対策を講じていなかったという話もあります。菅総理のヘリによる上空視察パフォーマンスが、東電の初動作業を決定的に遅らせ、その後の水素爆発などを引き起こす一因となったという指摘もあります。

 こちらは震災地復興問題より遥かに深刻です。同原発の各号機が今後どうなるのか、東電幹部も菅政権も原子力専門家もおよそ予測がつかない状態です。とてもこれで収束に向かっているなどとは信じられない不気味さがあります。
 仮に収束方向だとしても、チェルノブイリがそうであるように、本当の解決までは数年、数十年の歳月を要します。いな極端な話、放射性物質の半減期がすべて消滅する数万年オーダーで取り組まなければならない超深刻な問題です。

 既に放射能汚染水の海への放出で国際的信用を落としたように、今後また緊急の事態に立ち至れば、それこそ小沢一郎元代表の言う「原発がこのままでは日本は沈むぞ」という状況に追い込まれるのは確実です。
 それやこれやの問題の根底にあるのが、菅政権もっとハッキリ言えば菅直人総理の無為無策、リーダーシップの欠如、復興ビジョンの欠落にあるのは明らかです。その菅総理は震災直後、「よし、これでオレの内閣は2年間は大丈夫だぞ」と側近に漏らしたのだとか。菅直人は人間性も最低です。

 10日そんな菅直人および菅政権に、国民の「レッドカード」が突きつけられました。統一地方選第一ラウンドで、民主対自民一騎打ちとなった東京都をはじめとした3つの知事選に敗北、与党でありながら41道府県で1つも第一党を取れないという歴史的大惨敗を喫したのです。
 通常「災害時政権」は圧倒的に有利なものです。しかしこの無残な結果。全国規模での今統一地方選で、国民はハッキリ「菅総理の下での震災復興、原発対策は無理だ」と見切ったということです。

 国民が菅総理の退陣を強く望んでいるのです。辞書に「辞任」という文字のない菅政権幹部が、いかに辞任をぐずっても早晩退陣に追い込まれるのは必至でしょう。
 真の震災復興はそこからしか始まりません。疫病神のような菅政権の一日も早い退陣が、この国にとって最も望ましい「幸福」です。

 (大場光太郎・記)

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