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スリランカ人ジャーナリストから見た大震災

 1年前のちょうど今頃『ウエサク祭とは?』記事を公開しました。
 「ウエサク祭」とは、ブッタの生誕、成道、入滅にまつわるとされる「5月(牡牛座)の満月」に特別の意義を見出し、この満月の晩にチベット、スリランカ、タイなどで代々厳粛な祭典を執り行ってきたものです。この満月の夜、天界からの最強のエネルギーが地上に降り注ぎ、祭典の地にブッタが臨席するというのです。

 そんなローカルな奇祭が、近年では世界的に注目され始めています。それを紹介した当ブログ記事も「アセンション」「2012年12月22日」などへの関心の高まりからか、意外なほどのアクセスがありました。
 同記事はかなり突っ込んだ情報も公開したつもりです。あらためて関心を抱かれた方は、『ウエサク祭とは?』『続・ウエサク祭とは?』をお読みください。
 ちなみに今年の「ウエサク月」は、今月17日(火)の満月(旧暦4月15日)にあたります。今年も本場インドをはじめ、カリフォルニア州の聖山・シャスタ山や京都の鞍馬山などでは、地球進化と地上の平和を祈願して、盛大にウエサク祭が執り行われることでしょう。

 さてこのたび、Т・Eという方がこの記事にコメントされました。ウエサク祭に関するものではなく、同記事中の「スリランカ」という語句を頼りにアクセスしてこられたようです。Т・Eさんは昨年3月、スリランカ系旅行代理店を通して同国を8日間旅行され、その紀行文を簡潔に紹介してくれています。
 かなり印象的な旅だったようで、「また何年かしたら、是非訪れたいです」と述べておられます。

 「スリランカ」という国。日本ではあまりなじみがないかもしれません。ご年配の方には、旧国名の「セイロン」あるいは「セイロン茶(紅茶)」の方が、ピンとくるかもしれません。インド亜大陸の南東、ポーク海峡を隔てた人口約2200万人の島国です。
 国号の意味は、現地語で「聖なる輝きの島」ということだそうです。

 にわかにスリランカに興味を覚えた2日、『日刊ゲンダイ』の「GW特別号」(6面)で、たまたまこの国に関する記事を目にしました。それは「スベンドリニ・カクチ」というスリランカ女性ジャーナリストによる一文です。
 カクチさんは、現在国際通信社IPS日本特派員。著書に『あなたにもできる災害ボランティア』(岩波ジュニア新書)があるといいます。

 そうなのです。カクチさんは、04年のスマトラ島沖大地震を母国で経験した人なのです。カクチさんの一文は、同大地震のことから、今回の東日本大震災について述べていきます。さすがは国際的なジャーナリスらしい鋭い分析です。
 というわけで、だいぶ回りくどい前置きとなりましたが、カウチさんの一文以下に転載します。(なお、読みやすいように適宜段替え、行空けをしています。)  (大場光太郎・記)
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スリランカと変わらなかった日本の防災対策

 04年に起きたインドネシア・スマトラ島沖大地震で、私の故郷、スリランカは津波の被害を受けました。スリランカの人は「TSUNAI」という言葉を聞いたことがなかった。当然、備えはなく多くの命が失われました。
 日本は地震国で予算も技術もありますから、きっと防災対策も周到なのだろうなと、うらやましく思ったものです。スリランカは日本から防災対策を学ばなければならない、とも思っていました。
 ところが、今度の東日本大震災では、とてつもない被害が出た。スリランカと変わらないじゃないかと驚きました。

 今回、被災地に行って感じたのは、地方と東京の格差です。日本は東京一極に投資を集中しすぎたのではないでしょうか。
 震災から1ヵ月経っても、避難所ではまだ風呂に入れないような大変な生活をしている。一方で東京に戻ると、ピカピカの高層ビルが林立している。この差は一体何なんでしょう。

 ボランティア制度も脆弱に感じます。ただ物を運ぶのではなくて、調査、情報収集にもボランティアの力をもっと有効に使うべきだし、地元のボランティアを育てる仕組みも必要です。
 過去に大きな地震が何度もあったのに、そういった仕組みができていないのは残念です。

 外国メディアは、今回の震災で日本がどう変わっていくのかを見ています。
 原子力については「安全」と「ダメ」という両極端の話ばかり。中間がありません。「安心」にしても地元の人にとっての安心と、東京の人にとっての安心、科学者にとっての安心はそれぞれ違う。
 いろいろな視点の人によるさまざまな議論の場が必要です。  (転載終わり)

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