国民をダマしたのか、総務省とNHK
-7月27日付『日刊ゲンダイ』5面より転載-
ブラウン管でも地デジは見られた-2400万所帯テレビ買い替え「大損」
キツネにつままれたというより、これはもう詐欺じゃないか。地デジに完全移行した24日、アナログ放送最後の瞬間を見ようと、家族でテレビの前にかじりついていた所帯の多くは拍子抜けしたはずだ。画面は告知画面に切り替わるどころか、鮮明に映ったまま。12時間後も「砂嵐画面」にならない。「おいおい、どうなっているんだ」-。
実はこれ、ケーブルテレビ局の「デジアナ変換」によるもの。デジタル波を変換し、アナログテレビでも視聴できるようにしているのである。
総務省が地デジの受信環境を整備するため、昨年から、自治体や民間企業などのケーブルテレビ事業者に導入を求めてきた。このサービスで、2015年3月末まではブラウン管テレビでも普通に地デジを視聴できるという。
そんな措置があったことにビックリだが、さらに驚くのは、その恩恵を受けられる所帯の数だ。ケーブルテレビ局と有料の視聴契約を結んでいなくても、マンションなど集合住宅が最初から加入しているケースはゾロゾロある。結果、知らないうちに「2416万所帯にデジタル変換が導入済み」(総務省地域放送推進室)というのだ。日本の所帯総数は約5000万だから、半数近くの家庭は、慌てて高価なテレビに買い替える必要がなかったのである。
15年まで待てばもっと安く、さらに性能のいいテレビを買えたはずだ。あれだけNHKや民放、家電メーカーを巻き込んで、「アナログ停波だ」「地デジ元年だ」とあおっておいて、フザケルナ ! ではないか。
テレビ代と税金を二重取りされたようなもの
しかも、総務省はデジタル変換を導入させるために、ケーブルテレビ事業者に多額の補助金を出していた。その金額は、「昨年と今年の2年間で計11億円。それとは別に、デジタル波とアナログ波が干渉し合わないかを調べるための「混信障害調査費」が5500万円」(同)である。無理してテレビを買い替えた国民にとっては、テレビ代と税金を二重取りされたようなものだ。
デジアナ変換については大半の国民が寝耳に水だった。ちゃんと事前に告知していたのか。総務省の言い分はこうだ。
「デジアナ変換を導入していないケーブルテレビ事業者もあるため、『自分はケーブルテレビに加入しているから大丈夫』と誤解されると、混乱を招く恐れもあった。もちろん、事業者には周知するように伝えていたが、マンションではケーブルテレビで地上波を視聴しいる意識がない人も多く、周知には難しい問題がありました」(同)
その気になれば、方法はいくらでもあったはずだ。“国家的詐欺”と言われても仕方がない。
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