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秋が兆せし街並み

  ふと見れば秋が兆せし街並みよ   (拙句)

 きのう19日は久しぶりで終日の雨。今月10日頃から続いていた、今夏最強の残暑を振り払うには格好の雨となりました。そしてきょう20日は終日曇り空。涼しくてしのぎやすい一日となりました。

 この季節、たった一日の雨によって、それが夏から秋への変わり目になることがあるものです。どうやらきのうの雨がそうだったようです。曇天に包まれたきょうの街のようす、西の遥かに望まれる大山(阿不利峯)の佇まい。
 どこがどう変わったというようなものではないけれど。何とはなしに、そこかとない秋の気配が感じられたのです。

  けふつくづくと眺むれば
  悲(かなしみ)の色口にあり、
  たれもつらくはあたらぬを、
  なぜに心の悲しめる。

  秋風(あきかぜ)わたる青木立(あをこだち)
  葉なみふるひて地にしきぬ。
  きみが心のわかき夢
  秋の葉となり落ちにけむ。

 これは3年前の同じ頃公開した、オイゲン・クロアサンの原詩で上田敏(訳詩集『海潮音』所収)の名訳による『秋』です。毎年7月の暑い盛り頃から、この詩へのアクセスがボチボチ増えてきます。
 この詩などは、ちょうど今頃の季節感を詠んだものなのでしょう。

 もちろんこれで秋色が一気に進むなどということはないわけです。じきに暑さがぶり返し、また涼しさがやってきてという風に、「暑さ寒さも彼岸まで」の秋彼岸頃までは一進一退を繰り返していくのでしょう。
 そうして季節は一足ごとに、過ごしやすい秋へと確実に向かっていくのです。

 そういえばきょう20日は、夏の締めくくりとも言える「夏の甲子園」の決勝戦が行われたのでした。高校野球もプロ野球も1年ごとに興味が薄れ、その上今年はしばらく“無テレビ生活”ですから、結果についてはネットニュースで知ったくらいなものです。
 決勝戦は西東京代表の日大三校対青森代表の光星学院。
 東日本大震災で被災した東北各県の見えない声援があってか、青森・光星は春夏連続の決勝戦進出。さらに光星には、いまだ一度も優勝したことのない東北すべての県の悲願も懸かっています。神奈川の名門・横浜高校が智弁学園にまさか魔坂の逆転負けを食らってしまった以上、東北出身の私は「光星、ガンバレ !」です。

 しかし終わってみれば11-0の大差で、日大三校の優勝。えてして決勝戦は大味な試合になりやすいと言われていますが、実際は両校にこんな実力差はないはずです。被災地への想い、東北勢初の優勝…。光星勢には、変な気負いとプレッシャーからか力を十分発揮できずに終わってしまったようです。

 ところで東北勢による決勝戦で思い出しました。今から42年前となる1969年(昭和44年)夏の同じ青森県の三沢高校対松山商業(愛媛)の決勝戦です。両校0-0のまま互いに譲らず延長18回までいくも決着つかず。後にも先にも前例のない翌日再試合となって、三沢高校は惜しくも松山商に敗れたのでした。
 その試合で一躍脚光を浴びたのが、三沢のエースで全試合を一人で投げ抜いた太田幸司投手(現プロ野球解説者-59)です。その甘いマスクも手伝って、女性ファンを中心に今日の斉藤祐樹に勝るとも劣らない大フィーバーとなったのでした。

 その頃は後に続々発覚した高校球児らによる不祥事などはなく、高校野球そのものが神聖視されていた時代でした。
 私は前年に当地にやってきて二年目の夏。その年は伊勢原で既に業務上の有資格者となっていたM先輩の補助者をしていました。M先輩は秋田県出身で中学時野球をやっていたとかで、大の高校野球ファン。私もその決勝戦は開始から翌日の再試合終了まで、息を呑んで見ていました。本当に高校野球史に残る屈指の名勝負だったと思います。
 その年の暑い7月の昼下がりにふいにテレビから流れてきた、
  ♪青い海原 群れ飛ぶカモメ
   心ひかれた 白いサンゴ礁 ……
 スーニーブーの『白いサンゴ礁』の鮮烈なメロディとともに忘れられない思い出です。

 秋の気配は夜に顕著です。お盆頃までは、木立のある所などでは真夜中でも夜蝉がジー、ジー、ジー、ジーうるさいほど鳴いていました。
 それが深夜タバコを切らして近くのコンビニに買いに行くため、その木立を通っても、最近は藪陰など方々でリンリンと鳴く虫の音がしきりです。蝉といえば木立のどこかで時たま羽ばたきとともにジーという一鳴きが聞かれるくらいなもの。
 夏から秋へ。季節の移ろいは、こんな何気ないことでも着実に進んでいるようです。

 (大場光太郎)

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