« 「野田で決まり」に深い失望感 | トップページ | ブログ背景替えました-11年9月篇 »

野田新首相、幹事長に輿石氏を起用

 -「党内融和」はウソではないらしい。民主党再生の第一歩となることを祈る-

 野田佳彦代表は30日、衆参両院本会議で新首相に指名された。それを受けて同日、政権運営の要である党三役人事に着手した。その結果幹事長には輿石東参院議員会長、政調会長には前原誠司前外相、国会対策委員長には平野博文元官房長官を充てることに内定した。

 野田政権の基本的姿勢をうかがい知り今後の政権運営を占う上で、党人事は注目された。決まった党三役の中でも最重要はやはり幹事長である。
 幹事長起用には、(1)親小沢派(2)中間派(3)反小沢派の3パターンが考えられた。事前には小沢グループに配慮して、中間派の川端達夫元文科相あたりの起用で落ち着くのではないかとの予測が多かった。
 しかしどうだろう。いざフタをあけてみると、小沢一郎元代表に近い輿石参院議員会長に決まった。「野田新首相、意外とやるじゃないか」と、一先ずは言っておこう。
 代表に選出された29日の夜に早くも野田から打診があったらしい。輿石は小沢に相談したところ「受けた方がいい」と勧められていたという。

 やっとこさ辞めさせることができた菅前首相は、枝野幸男、岡田克也と続けて反小沢派から幹事長を起用した。菅自身が当初から反小沢を鮮明にしたため当然の人事だったといえる。しかし幹事長職に見られる、党の半数近い勢力を有する親小沢派を無視しての政権運営は見るも無残な結果に終わった。
 野田佳彦は財務副大臣、財務大臣として、菅内閣の中枢で菅前首相を支える立場だった。しかし内心では党の半分を敵に回しての政権運営のあり方に疑問も抱いていたのだろう。今代表選期間中「党内融和」を言っていたのはウソではなかったようだ。

 野田首相は30日昼、国会内に輿石参院議員会長を訪ね「幹事長は党内融和の象徴」と就任を要請したそうである。輿石は「参院議員会長として支える」と固辞したものの、同日夕党本部に場所を移して輿石に「あなた以外考えていない。引き受けていただかないと他の人事も進まない」と説得。これに輿石は「親小沢だ、反小沢だと言っていたら挙党態勢なんかできない」と注文をつけた上で受諾したという。

 こういう行動から人間性が透けて見えるものである。
 野田新首相は「松下政経塾第一号総理」などと喧伝されている。前原誠司に典型的に見られるように、同政経塾出身者は今日では評判があまりよくない。だが○○大学出身といっても十人十色であるように、生まれ育った環境や個性によって、一くくりには出来ない側面もあるだろう。
 その面で野田は意外と苦労人のところもありそうだ。能力もないくせに、プライドばかりやたら高かった菅直人とは一味、二味違うようだ。最高権力者になっても、肝心な頼み事では身を低くしてお願いしなければならない。菅直人にはそれが出来なかったが、野田はしょっぱなからそれをやった。

 己の非力さ、能力を弁えているから、「もし政権を担当することになったら、反小沢を通すのはオレには無理だ」と早くから考えていたのかもしれない。
 菅を見れば分かるが、最高権力者が自ら腰を低くして人に頼み事をするのはなかなか出来ないことなのだろう。総理大臣としての力量は当然未知数ながら、野田は少なくとも菅よりは「人間的器量は上」と判断出来るようである。

 財務相時代はヌーボーとしてさしたる特徴もなかった野田ではあるが、首相になった途端早速「野田カラー」を出した幹事長人事である。これは野田本人の腹案で、菅直人、仙谷由人、岡田克也といった野田政権誕生の推進者に相談することなく一人で決めたことなのだろう。もし相談したら即座に潰されたはずだ。
  党内にくすぶる反小沢派はもとより、自公など野党にも歓迎されない輿石幹事長をよく決断したものである。持論の大連立など後回しにしても、「とにかく党内の結束を図り足場を固めることが先決だ」と考えたのだろう。
 政権運営にあたってこれが一番肝心なのに菅には最後まで出来なかった。この着眼点を押さえているだけでも野田は菅よりは賢そうだ。

 こうした経緯で幹事長を引き受けることになった輿石は記者団に、「ただ一つ、党内融和に全力を尽くす」と抱負を語っている。輿石幹事長は引き続き参院議員会長も兼務し、衆参両院の党運営・国会は対策を取り仕切る大きな権限を持つことになる。
 小沢元代表に近い輿石幹事長としては、ロクな仕事をしなった岡田前執行部らの悪しき置き土産である、小沢の党員資格停止処分を一日も早く解除したいところだろう。それについて輿石は記者団に、「(見直しを主張してきた)私の考えは変わっていない。民主主義のルールとして、時期をみて党内論議もされる」と見直しに前向きな考えを示した。
 幹事長権限で岡田体制と逆のことをやればいいのである。党倫理委や党役員会のメンバーを親小沢メンバーに必要数差し替えれば処分解除となるのだ。

 前原政調会長にはひっかかるが、これは致し方ないだろう。前原は野田首相誕生の殊勲者だから、党か閣僚かの重要ポストでの処遇は当然である。自民党シンパの前原政調会長に、自公は歓迎らしい。しかしいくら「オレがオレが」の前原でも、幹事長を飛び越えての野党との政策協議も出来ないだろう。
 「良いとこ取り」の前原よ。この際輿石幹事長の下でしっかり党務に専念して、難しい野党との折衝や裏方としての汚れ仕事をみっちりこなすことだ。それがきちんと出来なければ「首相」など百年早いぞ。

 9月2日閣僚人事を見てからでないと総合的な評価は下せない。しかし輿石幹事長によって、野田政権が「党内融和」を本気で考えていることが分かった。これは小沢元代表や同グループにとって、と言うよりも日本の政治にとって「より良き方向に向かう」第一歩である。
 バカを見るといけないから過大な期待はしないが、それでも新政権に少しは期待したい。

 (大場光太郎・記)

|

« 「野田で決まり」に深い失望感 | トップページ | ブログ背景替えました-11年9月篇 »

時事問題」カテゴリの記事

コメント

大場様
又お邪魔させて頂きます。

輿石幹事長の起用だけで、野田氏の『ノーサイドにしましょう!』
と云う党内融和への本気度は、判断しかねます。
小沢さん関連の裁判に大きな影響を持つであろう、
法務大臣の人選で、判断したいと思って居ります。
郷原信郎氏、森裕子氏、それと同等クラスなら、
本気だと判断したいと思います。
江田五月氏の留任、もしくは仙谷由人氏などの、
人非人と思われる人事だと信用出来ないと、
判断したいと思います。

投稿: 遠藤勝人 | 2011年8月31日 (水) 08時51分

遠藤勝人様
 そうですね。今回は党幹事長についてなので、閣僚人事については触れられませんでしたが、私も官房長官と法務大臣のポストに誰が就くのかは関心があります。
 おっしゃるとおり、法務相が郷原信郎氏や森ゆうこ氏だったらベストです。ただ完全な「親小沢政権」とは言えないし、代表選時の力学が働くでしょうから、この両氏はまずないのではないでしょうか。
 かと言って江田五月の留任、仙谷由人の就任では確かに最悪です。出来れば小沢グループからの起用、それが無理ならせめて中間派からの起用としてもらいたいものです。

投稿: 時遊人 | 2011年8月31日 (水) 13時31分

この記事へのコメントは終了しました。

« 「野田で決まり」に深い失望感 | トップページ | ブログ背景替えました-11年9月篇 »