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閣僚決まり野田政権スタート

 -強いて命名するとすれば「泥臭いどじょうすくいになって仕事せよ」内閣?-

 2日閣僚人事が決定し野田新内閣がスタートした。初入閣組が10人という割には今ひとつ華がないように見える。蓮舫(行政刷新相)、小宮山洋子(厚労相)という女性2人の入閣はあったものの、2人とも菅前政権時から手垢がついている感じで特に新鮮味はない。
 野田首相がそうだからなのか、内閣全体としても地味なイメージなのだ。地味でも重厚な「仕事師内閣」というのならそれなりに評価もできるが、そういう印象はとても持てない。
 この大変な国情の中、この内閣で日本丸は果たしてどこに連れて行かれるのかという疑念を持たざるを得ないのだ。

 新首相の野田佳彦はその茫洋とした風貌からして、敵だ味方だ、良い悪いとはっきり言い切ることが難しいタイプのリーダーである。その辺が全共闘的DNAをむき出しにして小沢一郎に食ってかかり、「敵だ」と見定め批判することが容易かった菅直人とは違うところである。
 首相就任後直ちに輿石幹事長を決めるという裏技も使ってくるのだ。これによって先ず「党内融和」を広く印象づけた。閣僚人事でも山岡賢次(国家公安委員長)、一川保夫(防衛相)と小沢グループから2名入閣させた。これで小沢グループを黙らせてしまった。

 野田首相の売りは「どじょう」だそうであるが、まさにどじょうのように掴み所がないと言える。輿石氏らの人事は、真心なのか下心なのか。今後の推移を見なければ判断出来ないが、野田は案外したたかで、来年9月の代表選のその先までの布石も今から打っているのかもしれない。
 個々の政策なとでその都度是々非々で判定していくしかなさそうである。

 今回の閣僚人事の最大の注目は、内閣の要である官房長官に誰がなるかということだった。官房長官は閣内全体、各閣僚はおろか各官庁の官僚トップらを掌握し、内閣のスポークスマンとして国民向けに内閣のイメージアップも図らなければならない大変な重責である。
 そんな最重要ポストに抜擢されたのは、まったく無名の藤村修である。事前に名前が挙がっていた、野田派の「はすっぱ女」蓮舫でなくてよかったとは言うものの。野田の側近中の側近で野田と共に大ののん兵衛で、2人はウマが合い野田の信頼があついらしい。
 底なし酒豪だろうと今まで無名だろうと、官房長官の重責を十分果たしてくれれば何の問題もない。平野博文や枝野幸男は論外として、うるさ型の官僚たちから「有能」として評価の高かった、あの仙谷由人ですらしくじったのである。大化けしないとも限らないが心配な官房長官人事である。

 野田首相は、本当は岡田克也を官房長官にしたかったという。岡田なら外相経験もあり、野田の弱い安全保障や外交分野でのサポートも期待してのことらしい。かなり時間をかけて口説いたものの、岡田はどんなに懇請されても「今回は休みたい」ととうとうクビを縦に振らなかったという。そこで急遽自派の藤村に決めざるを得なかったのだ。
 岡田は次に財務相としての入閣を要請されたものの、結局入閣そのものを断わった。幹事長としての度重なる失敗を謙虚に反省してかというとさに非ず。来年9月の代表選を睨んで、岡田は野田と距離を起きたかっただけなのだという。
 いやはや。幹事長失格者がポスト野田狙いか。何ともふざけた話と言うべきである。

 「ふざけた話」が今回の人事にはある。安住淳前国対委員長の財務相就任である。これは外相に横滑りした玄葉光一郎にも言えることだが、彼らは党三役として岡田と共に菅前政権を支える立場にあった者たちである。
 岡田がそういう形になったように、菅直人と共に辞任ししばらくの期間役職に就くのは自粛すべきである。頼む方も頼む方なら、受ける方も受ける方だ。菅の時から「民主党B」は、とにかく物事のケジメがまるでついていない。ケジメのない人事がケジメのない政治を生み出す。菅前政権がまさにそうだったではないか。

 それに安住の場合はついたあだ名が「ちびっ子ギャング」。国対委員長の時も放言、失言を繰り返して物議を醸した。公明党の漆原良夫国対委員長からは、「アンタは与党の国対委員長として軽すぎるよ」と何度も叱られたという。
 そんな軽挙妄動男が、財務相という重要なポストに就くというのだ。震災復興予算の関係で、宮城県出身の安住が適任だというのである。震災復興予算はもちろん大事だ。しかしそれは財務相の仕事の一部にすぎない。
 米国、欧州など国際的な大金融不安のただ中、日本が沈没しないための舵取りもしなければならないのだ。トヨタなどですら音を上げている超円高をぎりぎりのところで食い止めなればならない。G8などの国際会議の場で、主要国のつわものたちと丁々発止やりあわなければならない。安住で務まるのか。

 そもそも安住淳に国家財政などの総合的な知識があるのか。とてもあるとは思えないのだ。野田の弟分として、まさに論功行賞人事の最たるものだろう。野田が「オレも出来たんだからお前さんも出来るよ」などと言って勧めたとしたら、「国と国民をなめるな」と言いたい。
 どうせ野田政権の性格上財務省の言いなりなのだろう。早くも野田政権は「勝政権」だと言われているのである。勝とは財務省事務次官の勝栄二郎のことである。それだったら、国家戦略相で初入閣した古川元久を抜擢した方がよかったのではないか。

 古川は45歳と若いものの、東大法卒で司法試験一発合格の切れ者である。しかも財務省出身だから同省のことには精通しているのだ。それだけに財務省べったりとも言えるが、「脱財務省」をして政界入りしたからには同省に見切りをつけた側面もあるのだろう。「政治主導」のケジメさえしっかりついていれば、むしろ財務官僚を動かすツボは誰よりも心得ているといえる。
 ただ司法試験一発合格まで同コースの仙谷に可愛がられているのが難点だ。「坊主憎けりゃ袈裟まで…」と言うものだ。

 切りがないのでそろそろ止めにするが、最後にもう一人事。法務大臣である。来月上旬に初公判を迎える小沢裁判を考えた場合重要なポストである。これには平岡秀夫が就任した。「平岡WHO?」と思って確かめたが、顔だけは見覚えがある。
 江田五月の留任や仙谷の就任だけは願い下げだったが、この平岡は数少ない菅直人の子分筋なのだそうである。支持してくれた菅前首相へのお礼人事なのだろうか。菅は例の外国人献金事件で刑事告発されているが、その訴追逃れのための人事かとつい勘ぐりたくもなる。併せて「小沢裁判はとことん長引かせろ」というシグナルか。もうじき分かることではあるが。

 自民党末期総選挙を経ずに安倍、福田、麻生と政権のたらい回しをした。それを厳しく批判していた民主党が、菅、野田と同じことをやっている。しかし野田の次は最早許されない。
 具体的に目に見える成果を挙げなければ、今度こそ国民の厳しい審判が待ち受けている。そのことを野田首相初め全閣僚が肝に銘じて閣務に精励すべきである。

 (大場光太郎・記)

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