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亡国的な陸山会事件判決

 -裁判の争点は政治資金収支報告書の「期ズレ」のはず。検察が総力戦で立件できなかった「裏金」を、東京地裁は何で事実認定できるのか?-

 それにしても非道(ひど)い判決ではないか。26日午後1時半東京地裁で言い渡された陸山会事件3被告への判決である。
 今回の裁判での争点は、政治資金規正法上の収支報告書への記載に期ズレがあったという、ただそれだけの問題なのである。これだけなら与野党問わず五万と存在するであろう微罪である。なのに東京地検は小沢一郎民主党元代表だけを狙い撃ちする形で、石川知裕衆院議員、大久保隆則元公設第1秘書、池田光智元私設秘書を逮捕、起訴したのだ。

 そのため大方の専門家の間でも、3被告はせいぜい罰金刑か無罪ではないかと言われていた。それがいざ言い渡された判決はどうだ。
 登石郁郎(といし・いくろう)裁判長は、石川被告に禁固2年、執行猶予3年、大久保被告に禁固3年、執行猶予5年、池田被告に禁固1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡したのだ。

 そもそも政治家の卵を養成する目的で寮建設のため購入した世田谷土地は、当初農地で登記できず仮登記とし、都知事へ農地転用許可申請し宅地になった後本登記、代金決済、収支報告書記載となったとみられている。これは世間一般ごく普通に行われている土地取引にすぎないのである。これのどこに事件性があるというのか。
 だからこの案件について当時官報は、政治資金規正法上適法な土地取引として掲載したのである。各マスコミもその事実を把握しており、その時は何も問題にしなかったのだ。

 しかし裁判所のすべての実権を握っている最高裁事務総局が放ったと思しき、登石裁判長にかかるとまるで違った判決となるのだ。小沢元代表から借り入れた土地購入代金4億円は表に出せない金、したがって石川ら3被告が共謀してその事実を隠蔽するためだったと指摘。「4億円の原資を隠すため故意に虚偽記載したのは明らか」と断じたのだ。
 それだけではない。検察の期ズレについての起訴事実から大きく逸脱し、「石川被告と大久保被告に5000万円ずつ渡した」という水谷建設の河村尚元社長の供述は信用できると別件判断を下したのだ。

 陸山会事件において、東京地検の本山はまさに水谷側から小沢側への裏金授受だった。大鶴基成、佐久間達哉、谷川恒太ら検察幹部(当時)の狙い通り、これが事実なら小沢元代表の政治生命を絶てるからだ。そのため東京地検は大手ゼネコンの鹿島など関係先を強制捜査し、押収した膨大な資料を優秀な特捜部員が総力で精査した。
 しかし結果としてそれを裏づける証拠資料は何も得られず、秘書との共謀も裏づけられず、小沢立件を断念せざるを得なかったのだ。(次の作戦として大鶴らは、2度の検察審査会を経て「強制起訴」に持ち込むことに方針転換した。)

 森ゆうこ参院議員らの精力的な調査により、「審査員は幽霊だったのでは?」と問題視されている、2回目の検察審査会の「強制起訴」もそうなら、今回の登石裁判長の「裏金授受認定」もそうである。日本一の捜査機関と謳われた東京地検特捜部の捜査というものは、かくも当てにならないずさんなものだったのか。
 だったらいっそのこと、不祥事続きで地に堕ちた検察組織など解体した方がいいのではないか。
 無論この国の司法一家はそんなことはしないのである。今回東京地裁は、敗色濃厚な検察を護ってやったのだ。それが証拠に、3被告への判決は検察の論告求刑通りではないか。
 石川被告への吉田検事の不当取調べの録音の採用、主な検察調書の証拠不採用など、すべてポーズに過ぎなかったということだ。

 これを「暗黒司法国家」と言わずして何と言うのか。戦争遂行に邪魔な者を片っ端から検挙していった戦時中の特高警察もかくやと思われるほどの、前近代的な司法ファッショが今日でもまかり通っているのだ。
 これは10月6日から始まる小沢氏本人の裁判にも、この国の今後の政局にも大きな悪影響を及ぼす由々しき判決である。
 
 これはひとり小沢一郎という政治家個人の問題だけではない。政治的、思想的に「米官業」に睨まれた人物は、警察、検察、検察審査会、裁判所など幾重にも張り巡らされた警察、司法の罠に嫌でも有罪にされ、社会的に抹殺されることを意味しているのだ。

 今回の判決に狂喜乱舞している「第4の権力」がある。新聞・テレビという「官報複合体」の一翼を担う大マスコミである。政権交代前夜の一昨年以来際立った小沢元代表への「CHARACTER ASSASSINATION」(人格破壊キャンペーン)の実態がカモフラージュできる上、またしても小沢の政治的復権が阻止できたからだ。
 小沢一郎さえ封じ込めておけば、霞ヶ関官僚ともども「我が世の春」が保証されるのだ。官と報こぞって野田“財務省傀儡”政権をたきつけて、消費税大増税、ТPP推進、原発再稼動などの亡国・売国政策をしゃかりきで進めさせていくつもりだろう。

 「米官業政電」によって“地獄の一丁目”に突き落とされるのが嫌なら、国民もいい加減目を覚ますべきである。

 (大場光太郎・記)

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