鎖に繋がれたアンドロメダ姫
メドゥサの首を取り使命を果たしたペルセウスは、道案内を務めてくれたアテナ女神と別れて、一人帰路につきました。
ゴルゴン姉妹の居場所がどこだったかは不明ですが、どうやらギリシャとは地中海を挟んで反対側のアフリカ大陸のどこかだったようです。だとするとペルセウスは通常の航海ではなく、飛行靴を履いて地中海海上を飛んでアフリカに渡っていったことになります。
オリュンポスの神々の領するギリシャからすれば、かの地は蛮族の住む「海向う」の僻遠の地と観念されていたことでしょう。いわゆる魔界、異界です。
だからグライアイという老妖姉妹やゴルゴンという怪物姉妹など魔物・妖怪のたぐいは、神話的に海の彼方のアフリカに追いやったことが十分考えられます。
さてペルセウスは、帰路にエチオピアの辺りを通ります。すると何としたことか。海岸の岩場で鎖に繋がれた世にも美しい王女がいるではありませんか。訳あって囚われの身となっていたのはアンドロメダ姫です。
ところで『ギリシャ神話を知っていますか』の作者・阿刀田高の生家には、父親が揃えた「世界裸体美人全集」の数冊があって、それを阿刀田少年はこっそり盗み見していたそうです。分けてもインパクトが強かったのが、アンドロメダ姫が全裸で鎖に縛られている絵で、見るたびにエロティックな興奮を覚えたそうです。それは次の絵でしょうか。
なるほど、なるほど。肉感的な成熟した女体美です。「鎖につながれている…」、今で言うソフトSM?今のように性情報が氾濫していなかった昔の少年なら、阿刀田少年ならずとも、本当は神聖であるべき西洋のこういう絵画に、不純にも身も心も興奮した記憶がおありでしょう。
ちなみに私の場合一番興奮したのは、中学生の時たまたま目にした、アングルという画家の有名な『泉』ですかね。
今改めて見直しても、惚れ惚れするような完璧な女体美です。「興奮」が大分鎮まった今(苦笑)冷静に鑑賞してみますと、紛れもない優れた芸術だと思いますね。やはりこの絵も、ギリシャ神話の何かのシーンがモティーフになっているように思います。
この『ギリシャ神話選』では、話がついついエロティックな方向に脱線しがちで申し訳ございません。「エロスは神の戯れ」というような言葉があったかどうか。ギリシャ神話そのものがエロス満載なものですからつい…。
と言うわけで、今回はもう少し話を進めようと考えていましたが、アンドロメダ囚われの次第やペルセウスの美姫救出などは次回に持ち越しと致します。
(大場光太郎・記)
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