写真を発明した人
想像力は世界を制する (ナポレオン)
例によって18日のGoogleまた「変わりロゴ」でした。長方形の額縁のような黒っぽい図案の中に、19世紀西洋人家族と思しき肖像が描かれています。
『今度は誰の、どんな仕事をした人の生誕日なんだろう?』。最近ではグーグルさんの趣旨を心得て、真っ先にそんな疑問を持てるようになりました。
その変わりロゴのどこかにカーソルを移動させると、「ルイ ダゲール 生誕 224周年」というのが表示されます。『ルイ・ダゲール?聞いたことないぞ』。ルイというくらいですからフランス人らしいことは分かりましたが、初めて目にする名前です。もちろんこの人物がどんな業績を残したのかなど知る由もありません。
そこでロゴにもう一度カーソルを動かせ、そこをクリックしてみます。すると気が利いたことに、グーグル検索に飛び「ルイ ダゲール」の項のトップ面が表示される仕組みです。
検索総数「38,900件」。表示されているトップ面最上部はウィキペディアです。そこで「困った時のウィキペディア頼み」。これまでもずい分ウィキペディアさんにはお世話になりましたし、当ブログ記事作成でも実際急場を助けられてきました。
早速それをクリックすると、真っ先に飛び込んできたのは、
「ウィキペディア創設者ジミー・ウェールズから
の
お願いをお読みください」
の大きな文字。左サイドにはウェールズ氏の肖像もあります。
これもつい最近まではなかったと思います。ただ2年前くらいも確か同じような呼びかけがありましたから、趣旨は読まなくても分かります。多分「ウィキペディアの運営上資金が厳しくなりました。今度はあなたがウィキペディアを助ける番です。あなたのカンパをお待ちしています」ということでしょう。
前回はカンパしませんでしたが、今回は『そのうち何とか考えますね』と思いました。ウィキペディアさんには何がしかのカンパでもしないと、本当に罰が当たりそうですから。
さて肝心の「ルイ ダゲール」についてです。
「ルイ・ジャック・マンデ・ダゲール(1787年11月18日-1851年7月10日)は、フランスの画家、写真家。写真を発明した人物として知られる。写真の研究を行う前は、パリで舞台背景画家・パノラマ画家・ジオラマ作家として活躍していた。」と冒頭説明してあります。
ここまで簡潔に説明されれば、『そうだったのか。世界で最初に写真を発明した人だったんだ』とたちまち了解です。
そういえば今回のグーグルロゴ、よく見るとセピア色めいていて、当時の上流家庭の写真を模したものと思えなくもありません。
ルイ・ダゲールは同じ画家で、先に写真研究を開始していたニセフォール・ニエプスとともにカメラの研究を開始。ニエプスは1826年に最初の写真術であるヘリオトグラフィーを発明し、世界最初の写真を残しているものの、露光時間8時間と極端に長くとても実用化できるものではありませんでした。
ダゲールはニエプスの死後も研究を続け、1839年に銀板写真を発表しました。このカメラは発明者の名前を取って「ダゲレオタイプ」と呼ばれ、露光時間を最終的に1、2分にまで抑えることに成功し、肖像写真の撮影も容易なものになりました。
私はこれまで、写真術は19世紀半ば頃の西洋発くらいの認識は持っていました。しかし誰か特定の人物によるものではなく、必要上多くの人たちの参画と改良によって自然発生的に生み出されたものとばかり思っていました。
しかし実際はルイ・ダゲールが発明したものだったわけです。
ダゲールは本来「画家」だったというのも、発明家の概念からすれば意外に思われます。芸術家と発明家はあまりダイレクトに結びつくものではありません。
しかし考えてみれば、画家は本質的に外界の事物をカンパス(画布)に描く仕事。写真も外界の事物を乾板(当時)に写す技術。絵筆を使って描かないだけで、絵画と写真との間には基本的にそんな極端な違いはないわけです。
そう考えてみると、画家が写真を発明することになるのは必然だったのかもしれません。
写真技術はその後、カメラや撮影技術やハイテクの進化により今日のデジカメなどに見られるような驚異的進化を遂げてきました。また写真から派生した幻燈(スライド写真)、トーキーは遂に今日の映画・テレビ産業として独自の発達を遂げ、今日の3D映画や液晶テレビにまで進化してきました。
人類が自在に「映像」を操作できるようになったことが、文明にどれほどの進化をもたらしたことか。仮にもし「写真(映像)技術」なかりせば、人類の文化・文明レベルは今日のようなものではあり得なかったはずです。
そんなことを言えば、写真のみならず電気照明、電話、車、飛行機、コンピュータなど何でもそうです。これらはすべて、この時点での人類の進化のステージにどうしても必要不可欠なものだったように思います。
だから例えば写真をダゲールが発明していなくても、エジソンが電球などを発明していなくても、遅かれ早かれ他の誰かが必ず発明していたはずです。しかし結果的に写真はダゲール、電球はエジソン…が発明したのは紛れもない事実です。その偉業は大いに讃えなければなりません。
(大場光太郎・記)
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