フランク・ミルズ『詩人と私』
今回取り上げましたフランク・ミルズの『詩人と私』。中には『懐かしい !』と思われた方もおられるのではないでしょうか。
それもそのはずです。曲自体は今聴いても何ら新鮮さを失ってはいませんが、私がこの曲を初めて聴いたのは昭和57年(1982年)のこと。今からかれこれ30年近く前にもなるのです。
確か当時の職場で、ある日の午後ラジオから流れてきたのだったと記憶しています。私は聴きながら熱いものがこみ上げてきました。もし周りに人がいなければ、ボロボロ涙をこぼしていたかもしれません。当時の心境など思い出す由もありませんが、なぜかそれほど深く感動したのです。
その時「フランク・ミルズ」というピアニストの作品らしいと分かり、早速この曲を含む『フランク・ミルズ・ベストコレクション』というカセットテープを買いました。
その中には『街角のカフェ』『愛のオルゴール』といった、フランク・ミルズファンならご存知の代表曲がすべて網羅されていました。それでも私のお気に入りはやはりこの『詩人と私』、当時繰り返し聴きました。
それとそのカセットで掘り出したのですが、『リフレクションズ』という曲も“お気に入り”になりました。こちらはまた別の機会に取り上げたいと思います。
ついきのうの事のようですが、『もう30年も経ったとはねぇ…』という感懐にとらわれます。あの頃33歳と決して若くはなかったものの、30代前半は私の人生の最盛期だったように思います。
頭と体のバランスが一番良く取れていた年代だったと思うのです。もちろん体のどこかに不調感を感じることなどあまりなく、「天人が雲の上を遊行するように」はかなりオーバーとしても、時に自分に体があることすら忘れてしまうくらいでしたね。頭は今よりずっと明敏に働き、想い描いたイメージどおりの事を、間髪入れずに即行動出来てしまえたのです。
つい余計な事に脱線してしまいました。とにかく昔聴いた印象深い曲というものは、ずい分経ってから聴き直してみると、当時の事が次々に懐かしく思い出されてくるものです。
当時は、『午後の旅立ち』などの名曲のあるリチャード・クレイダーマンというピアニストも人気でした。どちらかというとクレイダーマンの方が圧倒的人気だったかもしれません。当時こちらもカセットで聴いていましたが、フランク・ミルズの方が私の感性にはよりフィットしたようです。
『詩人と私』に特別季節というテーマはないと思います。今回引用したYouTube動画の背景が「奥森吉の秋」で、ちょうど今の紅葉の季節にぴったりなのでこの時期の紹介となりました。それに「秋は誰をも“詩人”にする」と言いますし。
なお「奥森吉」(おくもりよし)は北秋田市の森吉山県立自然公園内にある、白神台地並みにブナなどの原生林が広がる景勝地のようです。画像中紅葉している木々は、きっとブナであることでしょう。
『詩人と私』。今改めて聴いても、さながら「天上の楽の音(がくのね)」という趣きがします。また(当時はそんな概念はありませんでしたが)優れた「ヒーリングミュージック」だと思います。
(大場光太郎・記)
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