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日本政府に対米交渉力なし

 野田首相は11日夜、ТPP交渉に参加する方針を表明しました。
 正式参加ではなく、あくまで「交渉参加に向けて関係国と協議に入ることにした」とはいうものの。一度どんな形であれ「参加」の意志表示をしてしまえばもう後戻り出来ないことは、これまでの戦後の日米力学から明らかです。

 日本政府がこの問題で米国に対して強い姿勢で臨むつもりなら、野田首相は同「交渉参加」表明会見の中で、「今後の協議の過程でもし我が国として受け入れがたい条件等があれば、ТPP正式参加そのものを見送ることもあり得る」ということを予め言明しておくべきでした。

 今後の参加交渉プロセスで、我が国は米国相手にはっきりモノが言えるのか。そのことを鋭く分析した記事が阿修羅掲示板に掲載されています。「あっしら」さんという人の記事です。
http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/867.html

 BSフジ『プライムニュース』(6日)に元財務官の榊原英資青山学院大学教授と伊藤元重東京大学大学院教授が出演し、ТPP問題などについて議論を交わしたようすを再現したものです。
 ТPPに対しては、榊原氏は反対、伊藤氏は賛成の立場です。全文紹介したいところですがかなり長いので、後段のみ以下に転載させていただきます。
                        *

『TPP:榊原英資氏「日本政府に対米外交力なし」(理由)「マスコミが後ろから鉄砲を撃つ」「外務省は半分米側につく」』

  
(前略)

 伊藤氏が説明した抽象的な参加意義の多くは榊原氏によってほぼ否定され(榊原氏の主張を紹介する折りに触れる)、つまるところ、「既得権益の温存で沈滞し内向きにもなっている日本を、TPPという“外圧”を利用することで変革し、世界に攻めていける未来を切り拓く」というものに収れんした。

 榊原氏は、“外圧活用論”について、「私も15年前は外圧を利用してなんとか変えようとした。外圧の活用はかつて有効だったが、今の外圧は、維持すべき日本的制度を破壊するもの」と指摘した。

 伊藤氏やフジテレビの論説委員長若松氏が交渉に参加して日本の言い分を強く主張すればいいという見解を示すと、榊原氏は、内政はともかく、外交はまったくダメと反論し、その理由として:

● 対米交渉はシビアで、米国は勝手な国。対米保険交渉に実際に携わったが、後ろに控えているAIGなどの企業利益をむりやり求めてくる。TPPでも、国有化されたAIGが「混合診療」解禁を押すはず。

● 日本は米国のマスコミを使ってアメリカ国民の世論を動かすことはできないが、米国は日本のマスコミ対策に長けており、今回のTPP問題でも、反対が1、2社あってもいいのに、日本のマスコミすべてが参加に賛成しているのはそのせいだと思っている。

● そのような日本のマスコミは、対米交渉に臨んでいると後ろから鉄砲を撃つようなものなので、交渉力を発揮できない。

● 外務省は、対米交渉で、半分アメリカ側につく。

ということをあげた。

 榊原氏が番組内であげたTPP参加に反対する理由:

○ 伊藤氏などの「開国」論に対し、日本はすでに十分「開国」している。関税率も、コメを除けば、先進国で一番低い。

○ 米国の言うグローバリゼーションとはアメリカナイゼーションのことであり、「混合診療」の解禁に代表されるように多くの分野に関わるTPPへの参加は、“日本をアメリカにする”ということだ。
 TPP参加は、アメリカの制度やシステムでつくられた“EU”に加盟するようなものだ。
 米国とのFTAは必要だと思うが、危険なTPPの交渉に飛び乗る必要はない。

≪伊藤氏:TPPのルールが世界化する可能性もある。早く入って関与すべきで、遅れて入ると不利になる≫

○ TPPは関税撤廃を原則ではなく前提とする経済同盟であり、FTAと違ってコメなどが例外(永続的に)になることはない。日本がコメの関税をゼロにすることなんかできるはずもない。
「事前協議」で関税撤廃を承知して交渉に参加するわけだから、あとになって関税撤廃の例外品目化がダメだったのでやめるというわけにはいかない。

≪伊藤氏:農業はこの10年、20年なにをしてきたのか。このままでは農業は衰退する。(「外圧活用派」だから、)TPPを機会として、新しい農業経営の道を築くべき≫

○ 「混合診療」を認めるようになれば、公的保険の一部が崩れる。「政府調達」の開放でも、地方の建設業者10万社がばたばたと倒れていく。「金融」では、ゆうちょ、かんぽが問題になる。

≪伊藤氏:「混合診療」も解禁で問題はなく、保険診療とうまくバランスがとれればよい。医者不足など今の医療制度はひどい≫

○ 米国や豪州がTPPを進めているわけは、成長著しい東アジアに入りたいからである。
  日本にとってはASEAN+3のほうがより重要な経済連携である。国益をかけてそこに入りたい米国や豪州をいつまでもはねつける必要はないが、こっちから乗る必要もない。
 冗談めかして、TPPは、米国とオーストラリアが大きな国で、日本が参加して初めて実体的なものになる。米国が日本を必要としているのだから、待っていればいい。

≪伊藤氏:日中韓のFTAはこの10年間まったく進んでいない。TPPを進めれば、中国はわからないが、韓国は入ってくる≫

○ TPPで確固たる中国包囲を敷き、中国を誘いこんでTPPのルールで中国の内政を変えていくという考え方に対し、中国が入るようなことは絶対ないと笑い飛ばした。

○ TPP=「日米同盟」という考え方に対し、なんでも米国に従わなければならないという立場ならそう言えるが、もう米国のいいなりになっていればいいという時代は終わった。
 心は右、財布は左という話が通用するのかという問いに、安全保障は米国、経済はアジアということも可能で、日本も国益を追求すべきだと切り返した。

○ すっとTPP参加に乗ってしまった野田首相の資格(資質)を問いたい。  (以下省略)(転載終わり)

※ 榊原英資氏関連記事-『どうなる?「世界恐慌と日本沈没」』
http://be-here-now.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/post-cd1b.html

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