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何で今?由紀さおり、欧米で大人気

 今年7月の『由紀・安田姉妹、福島避難所で「故郷」を熱唱』の続編ということになるのでしょうか。今何と歌手の由紀さおり(63)が、海外特に欧米で大人気になっているというのです。
 近年の由紀は同記事のように、国内では実姉の安田祥子とのデュエットによる「童謡歌手」としてのイメージが定着しています。

 しかし由紀さおりの歌手としてのデビューは、童謡歌手としてではありません。1969年シングルレコードとして発売された『夜明けのスキャット』が大ヒットし、一躍メジャーデビューとなったのです。

 それはそれは鮮烈なデビューであり、鮮烈な曲でした。その時のレコードジャケットを画像に用いているYouTube動画もあります。確か3日前まではオーケーでそちらを拝借するつもりが、本日では「著作権法上の問題でEMIさんよりブロック」されてしまって視聴できなくなりました。そこで画像だけでも、別のところからヨッコイショッと。

      

 そう、これですこれです。何といったってもう40年以上前ですからね、いやぁ懐かしい !
 白を基調としたシンプルで斬新なジャケット。由紀さおりは1948年11月13日生まれなら、私は半年ほど遅い1949年春の生まれ。当時20歳前後の私は、これを『何と綺麗な人なんだろう』と“雲の上の人”でも見るようにぼんやり眺めていました。
 それに何と言ってもこの歌です。「ルルルルルー、ルルルルルー」「ランララララー」「パッパパパパパー」…。『んっ?こんな歌ありかよ』。タイトルどおりスキャットが主体のこの歌、しかし不思議な透明感があり聴くほどに魅せられていったのです。

 もちろん私だけではなく、多くの人がこの歌に魅力を感じたらしく、『夜明けのスキャット』は1969年オリコンの年間ヒットチャートで1位の大ヒットになりました。
 なおこの歌がスキャットが主体なのは、当初深夜ラジオ番組のBGMとして流されていたことによるもののようです。なるほどBGMなら、歌が主体ではむしろ邪魔くさいわけです。

 さて由紀さおりは今年、世界的人気の米国のジャズ・オーケストラ「ピンク・マルティーニ」とのコラボレーションアルバム『1969』を世界20カ国で配信。これは収録曲の大半を日本語で歌っているにも関わらず、11月2日付のiTunesジャズ・チャートとカナダiTunesチャート・ワールドミュージックで1位を獲得。ギリシャのIFPI総合アルバム・チャートでも4位に食い込んだというのです。

 また10月17日には、ロンドンの音楽の殿堂「ロイヤル・アルバート・ホール」でライヴも行いました。『夜明けのスキャット』などを披露し、聴衆からスタンディングオベーションを受けたといいます。
 12月には米ツァーも予定されているそうです。

 この人気アルバム『1969』のタイトルは、由紀が『夜明けのスキャット』でメジャーデビューを果たした年のことです。由紀さおりの歌う全12曲のうち、1曲だけフランス語で残る11曲は日本語です。自身の大ヒット曲『夜明けのスキャット』、いしだあゆみの『ブルー・ライト・ヨコハマ』、佐良直美の『いいじゃないの幸せならば』などを歌っています。

 1969年(昭和44年)は当ブログでも何度か触れましたが、1月の東大安田講堂攻防戦、同年の東大入試中止、10月の新宿駅騒乱事件など、学生運動がピークの年でした。また海外に目を向ければ、アポロ11号が人類初の月面着陸を果たした年でもありました。
 しかし騒然・激動の世相と流行歌の世界はまた別物です。上の3曲のほかにも、『港町ブルース』(森進一)、『恋の季節』(ビンキーとキラーズ)、『長崎は今日も雨だった』(内山田洋とクール・ファイブ)など多くのヒット曲が生まれた、歌謡曲の当たり年だったのです。

 コラボを組んでいる「ピンク・マルティーニ」は、世界的に知られた米国オレゴン州ポートランドのジャズ・オーケストラ。このメンバーの一人が約40年前の由紀のLPレコードを「ジャケットの美しさ」で衝動買いし、その歌声に魅了されたのが、今回由紀とコラボするきっかけになったといいます。

 今回の海外での大人気ぶりに、今さらながら『由紀さおりは童謡だけの歌手ではなかったんだ』と再認識させられました。60歳を過ぎても大活躍の由紀さおりは、同世代の者として大いに励みになります。人間幾つになっても「新たなチャレンジ精神」が大切です。
 ただ国内の一ファンとして望みたいのは、海外の大人気に気を取られ過ぎて、(今では本業の感のある)童謡を忘れないようにしていただきたいということです。

 (大場光太郎・記) 

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