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超高学歴ギャル、町議選トップ当選

 ローカルなニュースながら、一躍全国的に有名になった女性がいます。「時の人」は、10月30日の新潟県津南町議会議員選挙でトップ当選を果たした桑原悠(くわばら・はるか)さんです。
 話題になった大きな要因は、桑原さんは現役の東大大学院生でありながら、25歳でぶっちぎりのトップ当選で新潟県内の町議として最年少議員となったことです。

  

 超高学歴であるため“タカピー女”かと思いきや。ごらんの通り何となく親しみの持てそうな女性です。どちらかというと「可愛い系」ギャルといってもいいでしょう。
 彼女はこの画像からも分かるとおり「農ギャル」でもあるのです。田んぼの用水路コンクリート上にドッコイショとあぐらをかいて坐りほほ笑んでいる姿は、健康ではちきれんばかりの農家の可愛いお嫁さん風で、実にさまになっています。

 それもそのはずです。桑原悠さんが生まれ育った津南町は、長野県との県境にあり、人口1万1000人の典型的なじいちゃん・ばあちゃん農家の多い過疎の町なのです。
 彼女の生家の詳細は不明ながら、農業の何たるかを体で感じながら育ったのではないでしょうか。「♪うさぎ追いしかの山 こぶな釣りしかの川」、自然には恵まれているものの、学習環境としてはかなり不利だったことでしょう。にも関わらず彼女は県立国際情報高校を卒業し、早稲田大学社会科学部に進みます。同大学卒業後さらに東大大学院(公共政策教育学部)に進んだという、かなりの才媛です。
 これだけでもおそらく、津南町始まって以来の秀才として後々までの語り草となることでしょう。

 これだけ華麗なエリートコースをたどれば、普通はそれこそ“お高く”なって故郷など見向きもせず、都内の有名企業なり官庁なりを目指しがちです。
 しかし桑原悠さんは違ったのです。故郷への想いが人一倍強い人らしく、先ず県内の魚市場を希望し、既にそこでの就職が内定していたといいます。そして今回25歳になったことにより、郷里の町の町議選に立候補したというわけです。
 そして2位の559票に2倍の差をつける1144票を獲得して、めでたくトップ当選を果たしたのです。

 以上高学歴はともかく、“可愛いギャル”には目がない私の好意的な紹介でした(笑)。続いて「公人」としてのバランス上、『日刊ゲンダイ』お得意の少し毒舌的な記事も紹介してみます。

 そもそも津南町議は定員16名に対して、今回は17名の立候補(有効投票数は7452票)。つまり(実にお気の毒ながら)落ちたのは一人だけ。16番目の当選者はたった270票で議員になれたのです。少し意地悪な見方をすれば、同町議選は一人の落選者を決めるための選挙だったともいえます。
 津南町議の待遇はどうでしょうか。議員報酬は月19万2000円、政務調査費が月額5000円。議員の活動は原則として本会議開催中に限られ、定例会が3月(予算)、6月、9月(決算)、12月の年4回。議員年収としては少々安いとはいえ、仕事量や地方で生活することを考えれば十分といえます。

 総務省による直近の地方選挙結果調べによれば、今回の町村議会議員選の平均競争率は「1.14倍」。市議会議員も似たようなもので「1.21倍」、統一地方選後半の一般市議選では、北海道赤平や滋賀県栗東、熊本県合志などで計116人が無投票当選しているといいます。

 地方選挙では大学院生の当選も珍しいことではなく、今年3月には名古屋市議選で桑原さんと同じ25歳の東大院生の山田まなさんが当選しています。同紙には山田市議(「減税日本」所属)の写真も載っていますが、こちらは「美しすぎる市議」として取り上げたいほどです。
 そこで『日刊ゲンダイ』は結びとして言うのです。「地方の選挙では若くてちょっとかわいければ簡単に当選できるのだ」「“オイシイ”なんて言われないように、議員になってから汗をかいて欲しいものだ」

 まさにそのとおり。桑原悠町議さん。あなたのその優秀な頭脳と燃える郷土愛で、限界集落が方々にありそうな津南町の活性化と、巨大津波のように襲いかかり、我が国農業を壊滅させようとしているТPP参加圧力に敢然と立ち向かってください。
 (元岩手県知事の増田寛也氏の弟子らしいのが少し気になるけど)ご健闘、ご活躍お祈りしています。

参考・引用
『日刊ゲンダイ』11月1日(3面)、2日(5面)

 (大場光太郎・記)

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