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普天間移設問題の正体見たり !

沖縄防衛局長を更迭=防衛相「弁解余地ない」地元は政府不信強める・女性侮辱発言 (『ウオール・ストリート・ジャーナル 日本版』より)

一川保夫防衛相は29日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設先の環境影響評価書の提出時期に絡んで女性を侮辱する発言をした田中聡沖縄防衛局長を同日付で更迭し、官房付にした。当面、及川博之沖縄防衛局次長が局長事務代理を務める。政府は普天間の名護市辺野古移設の前提となる環境影響評価書を年内に沖縄県に提出する方針だが、県外移設を唱える沖縄側は政府への不信を一段と強めており、評価書の手続きに影響を与える可能性もある。

 防衛相は29日夜、防衛省で記者会見し、更迭の理由について「弁解の余地はない。引き続き沖縄の業務を担当させるわけにいかないと判断した」と説明した。防衛相自身の監督責任に関しては「防衛省のいろんな懸案事項を責任を持って実行することが私に与えられた当面の仕事だ。それに全力投球したい」と述べ、辞任を否定した。

 防衛相は「沖縄県民の皆さまに心からおわび申し上げたい」と陳謝。その上で、普天間移設の評価書について「今年中に提出できる準備を進める方針は変わっていない」と強調した。

 これに対し、名護市の稲嶺進市長は記者団に「ごり押ししようとすると、(政府と県民の)信頼関係は地に落ちる」と述べ、評価書の提出断念を求めた。 

[時事通信社]  

『ウォール・ストリート・ジャーナル 日本版』(11月29日23:46)
http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_352280

                       *
【私のコメント】
 それにしても「ヒドイ発言」が飛び出したものである。一川防衛相が、発言主の田中聡沖縄防衛局長(50)を早々と更迭したのは当然である。いな「官房付」への降格処分は大甘だ。懲戒免職、公務員身分剥奪に相当するような許されざる暴言である。

 問題の暴言は28日夜、記者団と那覇市内の居酒屋でオフレコを前提に行われた懇談の席で飛び出したという。どうせ酒の席だからと気が緩んだのか、一川防衛相が米軍普天間飛行場移設先の環境影響評価書の年内提出を断言しないことに関して、「(女性を)犯すときに『これから犯しますよ』と言うか」と発言したというのだ。
 「あれはオフレコじゃないか」と、スッパ抜いた各記者を非難出来るようなレベルの問題ではない。

 この暴言は二重に問題だ。
 
 一つはこれは「女性侮辱」発言だということである。というより「強姦容認」発言だ。(もう少し穏やかな表現を用いれば、「婦女暴行容認」「レイプ容認」ということだが、意味は皆同じである)。この田中局長なる者は、多分に心の奥深くに「強姦願望」が潜んでいて、酩酊して心のタガが外れ本音がむき出しで出てしまったのだろう。
 巷の性犯罪予備者の話ではない。レッキとした防衛省のトップクラスに、それに類する変質者もどきが現存するのだ。
 上がこれだから、近年防衛省関係者や自衛隊員の性犯罪が多発するわけである。

 二つ目は「女性を犯す」ことを、普天間移設問題の比喩として用いたことである。
 事の本質としてはこちらがより深刻だ。同基地の県内移設を強姦(暴行)に例えたのだ。沖縄県民に対する侮辱以外の何物でもない。

 それでなくても「犯す」という言葉に、沖縄県民は今でも強い拒否反応を持っているのである。
 それはそうだろう。真っ先に思い出されるのは、1995年(平成7年)の米兵による少女暴行事件である。沖縄県の市民団体「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の桑江テル子幹事(73)は「沖縄を、人をバカにするにも程がある」と憤慨し、続けて「あのとき犯されたのは少女一人ではなく、沖縄全体なんです。だから事件以来、米軍基地撤廃が県民の総意になった」と語っている。

 事実この事件が発端となって、普天間基地の返還が動き出したのである。田中局長には、普天間移設問題には、そういうデリケートな背景が横たわっていることへの認識がまるでなかったのだろう。人間的にも職務上も欠陥者、更迭は遅きに失したというべきである。

 桑江さんはさらに続ける。
 「沖縄戦で犠牲になり、戦後は米国に差し出され、本土復帰後も基地や不平等な地位協定はそのまま。沖縄は何度も国に踏みつけられ、犯されてきた」「だから『犯す』という言葉はある意味、その通り。差別が繰り返されようとしていることがはっきりした。局長個人の問題ではない。これが国の姿勢だと思う」
 
 桑江さんの上の発言で本質がはっきり見えてきた。本当の意味で沖縄を犯し続けているのは、日本政府であり米国政府なのだ。この状態が続くかぎり、沖縄県民の国と米国へのレジスタンスが止むことはないだろう。

参考・引用
『毎日jp(毎日新聞)』(11月29日 21時50分)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20111130k0000m010087000c.html?toprank=onehour

 (大場光太郎・記)

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