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ニュートン世界と量子世界(3)

 -ニュートン世界は「この世」、量子世界は「あの世」という仮説について-

 冒頭お断りしておきます。前回「ニューロン」について触れませんでした。ニューロンとは、既に述べた「神経細胞」のことをいいます。神経細胞というよりニューロンといった方が一般的なので、今後はその表記に替えさせていただきます。

 そこで前回の要約をすればー。
 脳内に無数に張り巡らされたニューロンのネットワークによって、私たちの脳は想像以上の情報を得ることが可能となり、かつその情報を記憶するなどの大きな働きをして、日常生活をいっそう豊かなものにしています。
 このニューロンとニューロンの間にある間隙が「シナプス」なのでした。

 20nm(20ナノメートル) = 0.00000002m
 このような極微のサイズが、ニュートン世界と量子世界を分ける境目なのでした。
 神経が捉えた刺激はニューロンを通って伝わり、次のニューロンにたどりつくためには、この極微の間隙を飛び越えなければならないわけです。
 それはニューロンの距離を通り、ハードルを飛び越えて次のニューロンに移るリレー競争をしているようなものです。実際にハードルを飛び越えるのは、「神経伝達物質」と呼ばれる分子です。

 こうして無数の神経伝達物質が、常にシナプスのハードルを飛び越えているわけです。だから毎瞬が、約20nm未満の分子による「量子イベント」ということができます。神経伝達物質の中には、ジャンプに成功するものと失敗するものとがあります。ジャンプに成功した神経伝達物質のみが、次のニューロンで反応を起こすのです。

 五官(視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚)による感覚知覚のみならず、私たちの「思考」も常にこのステップを経ています。これらのハードルが脳内の思考を司る部分(大脳新皮質)にあると、私たちは思考を体験するということになるのです。
 このように私たちの思考の源は、量子的現実の不思議な“トワイライト・ゾーン”に存在しています。時として、奇抜で予測不能な思考が出てきたりするのはこのためです。

 ここからは、これまでの科学的知見から、思い切って「量子的飛躍」(クォンタム・リープ)してみましょう。
 今から20年以上前天外司朗(てんげ・しろう)という人が、『ここまで来た「あの世」の科学』という本を出しベストセラーになったことがありました。
 この本の中で同氏は、量子力学の育ての親といわれるニールス・ボーアが打ち出した「明在系」「暗在系」という用語を巧みに使っていました。明在系とは本考におけるニュートン世界で、暗在系とは量子世界ということになります。

 ところが天外氏は、明在系を「この世」暗在系を「あの世」と大胆な仮説を打ち出したのです。思い切ってこの仮説に乗っかってしまえば、私たちは脳内のシナプスによって、「この世とあの世が出会う場」を有していることになるわけです。
 思考を例に取れば分かりやすいかと思いますが、その結果私たちの思考の本源は「あの世」(量子世界、暗在系)だということになるのです。だから幾つものニューロンを通りシナプスというハードルを飛び越えながら、私たちに“思考の素”を届けてくれる“思考伝達物質”である分子は、あの世からの“メッセンジャー”のようなものといえるのです。

 既にみたとおり、分子、原子、電子、素粒子などは、「粒子」であるとともに「波」でもあるのでした。粒子は物質性、波は非物質性、エネルギーなのですから、分子以下の超ミクロ体は物質にして物質に非ず、という何とも摩訶不思議な性質を持っていることになります。分子以下の超ミクロ物質は、この世とあの世を行ったり来たりできるようなのです。  (以下次回につづく)

 (大場光太郎・記)

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