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ある外国人女性と間伐の必要性について

  料峭(りょうしょう)の遠き港の煙りかな   (拙句)

 ここのところずっと寒い日が続いています。冬帝が日本列島を隈なく領し各地に無数の寒兵を遣わして、ために連日のこの厳しい寒さか、といった按配です。
 今は暦の上でも「寒中」です。暦上と実際の季節感ではかなりのズレを生じがちですが、この「寒の季節」だけは毎年一致しています。

 30日当地では快晴の一日となりました。冬の日は中空(なかぞら)で燦々と輝いているのに、なにせ風は北風でピューピュー吹きつのり、そのため外を歩いていると寒さが余計厳しく体感されてきます。
 さて、この日の午後から横浜に行ってきました。今年二度目となります。これまで、横浜に着いてから見聞したことを小紀行文的に度々綴ってきました。しかし今回は横浜に着く手前の電車内での「二題」について述べてみようと思います。
                       *
 まず最初は、海老名駅から横浜駅間の相鉄の電車での事です。
 2時半過ぎ、海老名駅始発の横浜行き電車に乗りました。神奈川県庁担当部署への申請のためですが、一部に書類不備があります。そこで車中でその仕上げと総チェックを行って完璧な申請書類とするつもりです。
 それには乗客がズラッと並んで座る長座席では不都合です。それもあって私は、「行き」はたいがい電車中ほどの4人がけの対面座席に座ることにしています。

 この日その座席はどれも2、3人の人たちが既に座っていました。その中で日差しを浴びた側に外国人女性が一人だけで座っているのを認めました。彼女は進行方向に向かって窓際に座っていますから、私はその対面の彼女とは対角線になる席に座らせてもらいました。空いた窓側の席にバックを置きました。

 外国人女性は真っ赤なコートを着た、長い見事な金髪の若い白人女性です。私はすぐにバックから書類を取り出して“作業”にかかりましたし、失礼ですからあまり見ないようにしましたが、それでも視野には入ってきます。
 顔は本当に白く綺麗な女性です。スタイルが良くかなり長身のようです。顔立ちからしてこの国によくいがちなアメリカ人ではなさそうです。どちらかというとドイツ系、フランス系、北欧系といった感じです。

 松本清張の社会派推理小説『ゼロの焦点』の鍵を握るのが「赤いコートの女」。日本人女性は滅多に着ることのない赤いコートのこの外国人女性は、どうしてこの時間この電車に乗ることになったのか、そもそも彼女はどうして遠いこの国にやってくることになったのか。
 幾重にもミステリアスな雰囲気をまとった異国の女性と、こうして時間と空間をつかの間共有したのでした。
                       *
 次は相鉄に乗る手前、地元の本厚木駅から次の海老名駅に向かう小田急の電車内での事です。
 数分もすれば降りるのですから、この時は立ちながら窓上部の電車広告を眺めていました。するとある広告の一文に目が止まりました。それは次のような内容です。

 - 山崩れから守るためには森林の働きを活性化することが必要です。その方法として「間伐」によって木を間引くことが大切です。間伐がなぜ山崩れを防ぐことになるのか説明しなさい -

 どうやらそれは「問題」のようです。よく見ると広告主は中学受験塾として有名な「日○研」。さらに見ていくと、これは「2011中学入試 自●館中等教育学校」で実際に出題された問題のようです。
 全国的にかなり以前から「森林の荒廃」が深刻な社会問題の一つになっています。社会科の問題なのでしょうが、その事を踏まえれば、受験児童たちの関心を森林保護に向けるためにもなかなか良い出題といえます。

 それにしても『中学入試にしては少し難しすぎないか?』と思ってしまいます。中学入試というからには、これを解くのは小学校6年生であるわけです。ということは今の彼らは、こんな“高度な社会問題”について、既に社会科の授業で学習済みということになるのでしょうか。
 何十年も前私たちが小学生だった頃とは、えらい違いです。

 そう言えば、私は今から10余年前、“頭の体操”のつもりで文庫サイズのパズル本を買ったことがあります。それは主要各教科の、当時の有名私立中学校の入試問題を選りすぐったものでした。いざ一つひとつの問題に挑戦してみると、ドッコイ大人顔負けの難問ぞろいなのです。『小6でよくもこんな難しい問題が解けるなぁ』と舌を巻いてしまいました。
 こういう難問をスラスラ解いて有名私立中学に入れる子どもは、本当に「優秀な子」なのでしょう。そのような際立った学力をペースに、入学後はさらに高いレベルの学習へと進むわけです。

 下手すれば私らが高校で習ったようなことを、今は小学校高学年で習っているのかもしれません。それが時代の要請なのでしょう。
 それは反面、授業についていけず、学校嫌いや落ちこぼれや不登校の問題にも直結しているはずです。
 少数の「出来る子」と大勢の「ダメな子」。「階級社会化」しつつある今の世の中の縮図を見る思いがします。教育格差は卒業後の社会格差につながるのはほぼ確実ですから。

 ところで、「間伐が山崩れを防ぐことになるのはどうしてか?」。一つじっくり考えてみてください。

 (大場光太郎・記)
                       
                       

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