かなえの殺人レシピ(16)
-プロ捜査員が「こんな手強い女初めてだ」と根をあげた“かなえ”の公判始まる-
09年11、12月以来久しぶりの「かなえの殺人レシピ」です。木嶋佳苗被告(37)の初公判が10日、埼玉地方裁判所で行われました。
この初公判によって、当ブログも“お祭り状態”です。10日から『かなえの殺人レシピ』シリーズにアクセスが殺到しているのです。もっとも兆候は数日前からありました。その頃から2年余前のこのシリーズへのアクセスが増え始めたのです。
事件発覚当初からそうでした。さすがのテレビ・週刊誌なども「美人詐欺師」とは銘打てなかった、肥満体30代女が起こした一連の事件に、世間は際立った関心を寄せたのです。それに目をつけ(?)私も同シリーズを思い立ったのでした。
『かなえの殺人レシピ』は(1)から(15)まで続きました。私の意図として、後々この事件に関心を持った人が、この事件の全容、木嶋佳苗の生い立ちや人間性などについてあらまし分かるような資料的なシリーズにしたい、というのがありました。
そのため当時は、夕刊紙、スポーツ紙、週刊誌、ネット情報など可能な限りの資料を集め、取捨選択してより確度の高い情報に組み立てなおしたつもりです。が、果たしてその任に堪えていますことやら。
今もって世間的関心が高いのは、結婚話を餌に分かっているだけでも十数人もの男性を手玉に取り、合計“億単位”もの金を巻き上げた天才詐欺師としての側面に対してなのでしょうか。あるいはそれに飽き足らず、証拠も残さぬ手際で数人の男性を殺害した、残忍な殺人鬼としての側面にでしょうか。本裁判員裁判が木嶋にどんな判決を下すのかに注目しているのでしょうか。
いずれにしても木嶋被告は、稀に見る天才詐欺師、殺人鬼で、まさに「平成の大毒婦」と呼ぶにふさわしいようです。
10年初頭から小沢一郎民主党元代表の陸山会事件が火を吹きました。こちらは木嶋事件などとは次元が異なります。検察・マスコミという官報複合体による、この国の根幹に関わる、政界のキーマン抹殺のための由々しき「冤罪」事件なのです。
そのため私の関心は勢いそちらに向かい、木嶋事件や押尾事件への関心が薄れていきました。以来今回の初公判まで、木嶋佳苗に関する情報は私もほとんど知りません。そこで今回は、『日刊ゲンダイ』の同初公判記事を転載することに致します。 (大場光太郎・記)
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「無罪主張」 有罪に持ち込むのは難しい
「私は殺していません」ー。“婚活殺人犯”こと木嶋佳苗被告(37)は10日の初公判殺人容疑をきっぱり否認した。検察にとって前途多難の雲行きだ。
木嶋が逮捕されたのは09年9月。このときは50代男性への詐欺容疑だったが、その後、大出義之さん(当時41)、寺田隆夫さん(当時53)、安藤健三さん(当時80)の3人を殺害した容疑で再逮捕された。大出さんと寺田さんは練炭による中毒死、安藤さんは焼死だった。
木嶋は金銭目的で男たちに近づいてカネを詐取し、関係を断ち切るために殺害したー。これが検察の見立てだが、なにしろ証拠がないのである。
「事件には練炭やコンロ、さらに睡眠導入剤という共通項があります。木嶋がこれらを購入していたことは立証できるし、大出さんと安藤さんの体内からは同じ睡眠導入剤が検出されている。だけど木嶋がクスリを飲ませ、練炭に火をつけたという証拠がないのです。寺田さんにいたっては司法解剖もしていないので睡眠導入剤を飲まされたかも不明です」(捜査事情通)
裁判で、検察は木嶋と男性の関係を追及した。木嶋が大出さんに「避妊しなくて構わない」というメールを送ったことを明かし、セックスをちらつかせて金銭を要求した点を浮き彫りにしようとした。ところが木嶋は「私は結婚することを真剣に考えていました」「お金を取っていません」と“純愛”をアピール。したたかだ。
さらに木嶋の弁護士は寺田さん、大出さんと別れた事情を「性交渉がうまくいかなかった」と説明。セックスの相性が悪いため木嶋のほうから愛想を尽かしたというのである。別れを切り出されるや、大出さんは木嶋の自宅にあった練炭とコンロを譲ってくれと頼んだとか。クルマに練炭を積んで2人で出かけ、木嶋は駐車場で降ろされた。そのあと大出さんが練炭自殺したという主張だ。
元東京地検検事の落合洋司弁護士はこう分析する。
「目撃者も指紋もゼロ。これまでの裁判員裁判で一番難しいケースです。検察は和歌山の毒入りカレー事件のように状況証拠を積み上げいく方針でしょうが、あちらはヒ素という特殊な物質を使っていたからこそ有罪に持ち込めた。この事件は練炭という誰もが入手できる道具を使っているため証拠としては弱い。裁判員が事実認定に臆病になることも考えられ、まさに予断を許さない裁判です」
当の木嶋はこの2年余り、支給食をペロリと平らげるうえに、自前でハンバーグやシャケ、幕の内などの弁当を取って食べている。この日もでっぷりと太っていて、健康そうだった。検察はどう考えても苦しい。 (転載終わり)
引用
『日刊ゲンダイ』1月12日7面
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