「フェルミ推定」とは何ぞや(2)
前回の「フェルミ推定」宿題の、
「日本全国に電柱は何本あるか?」
どうだったでしょうか。答えが出ましたでしょうか。
ちなみに私がしぼり出した解答の次第は以下のとおりです。
まず最初に、「日本全国に電柱が立っていそうな道路の総延長はどれくらいか?」を考えました。総延長さえ分かれば、後は何十メートル間隔で電柱が立っているか見当をつけ、
総延長×2÷電柱設置間隔(m)
で答えが出るはずです。(「2」はたいがい道路両側に電柱が設置されているため、道路長の倍数)
ところが肝心の(電柱が設置されていそうな)道路総延長、これがさっぱり分からないのです。第一日本列島、北は北海道から南は鹿児島、沖縄までの距離が何千キロメートルだったか、それすらあやふやです。
そこでその解答ルートは早々と断念し別の手を考えました。(なお後で調べたところ、北海道東北端から西表島まで約3千キロメートル)
最初から日本全国などと漠然としたことを考えずに、ぐっと身近に「当市内に、電柱が設置してありそうな道路延長はどれくらいか?」を考えることにしたのです。
それでも駅周辺の繁華街の道路から、国道、県道、市道、住宅街の道路、住宅街から外れた田んぼ道など、該当する道路はいくらでもありそうです。しかし何せ制限時間がありますから、当市の縦距離の約10倍の「300キロメートル」とおおよそのあたりをつけました。
これには確たる根拠など何もありません。当市全体の地図を思い浮かべ、我が脳内で、縦横無尽に走っている当市道路のさまをイメージした結果、だいたいそのくらいだろうと結論づけたのです。
次に「当市を全国に拡大したらどのくらいの数になるか?」と考えました。
当厚木市は首都圏ぎりぎりの中堅地方都市ですが、全国の市町村に均した場合どのくらいの数にすればいいか?ということです。
これを私はざっと「3000」としました。各都道府県を約50として、それに掛けることの60ということです。少し過大なような気もしましたが、中には東京都、横浜市、名古屋市、大阪市のような区がいっぱいある大都市もけっこうあるわけなので、そういう数を導き出したのです。
また電柱設置間隔は、50メートルとしました。
こうしてようやく電柱総本数を算出する段階にたどり着きました。
300(km)×3000(都市)×2÷50(m) = 3千600万本
しかしこれを導き出してからふと、『これじゃあ、少なすぎないか?』と思ったのです。そういえば、オラが町の電柱はもっと立て混んでるぞ、確か10メートル間隔のところもあったはずだぞ。
そこで、3千600万本を10倍した「3億6000万本」を最終的な答えとしました。
残念ながら解答制限時間の3分はオーバーしてしまいました。しっかり確認しませんでしたが、確か5、6分くらいだったかと思います。
さて正解はどうなのでしょう。
「約3千300万本」が正解だそうです。何のことはない、最初に出した答えの方がより正解に近かったわけです。
「プロメテウス」ではあり得ない身として、「エピメテウス」的後知恵で考えてみれば。
日本の総人口は1億2千万人くらいです。いくら電柱がめったやたらと立っているとしても、まさか総人口を3倍も上回るほどではないわけです。
そこでなおもエピメテウス的後知恵で考えました。最初に日本総人口を思い浮かべていれば、その事に気づき、制限時間よりずっと早く、より正解に近い答えが導き出せたはずだ…。
前回の出題に挑戦し、いきなりそこにたどり着けた方がもしおられたなら、その非凡な着想に深く敬意を表させていただきます。
ただ細谷功氏いわく、「一桁ぐらいの誤差があっても問題ありません。重要なのは、正解に近い答えを出せたかどうかではなく、答えを出すまでの「思考プロセス」のほうですから」
ああ、よかった。でも私の場合、その思考プロセスも問われかねません。
次回は私の頓珍漢な思考プロセスではない、細谷氏の模範的思考プロセスをご紹介致します。 (以下次回につづく)
(大場光太郎・記)
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