奥山清行氏のこと
-今まで知らなかったが、山形県出身有名人にこの人を加えないわけにいかない-
昨年12月の『山形県内高校事情』の中で、山形県出身の有名人としてタレントのあき竹城、広島カープの前田健太内野手、京大カンニング騒動のaicezukiの3名を挙げました。その時の私にはそれくらいしか思い浮かばなかったからです。
直後、「遥」様より同記事にコメントをいただきました。私はまったく知りませんでしたが、山形県出身で須藤満という一流ベーシスト(ミュージシャン)がいるというのです。以下は遥様の同氏紹介の一文です。
ご存知ないようでございましたので、是非ともご紹介したい山形出身の素晴らしいミュージシャンがおられます。
ベーシスト須藤満(すとうみつる)さん。
元T-SQUAREのベース奏者で、フュージョン、ジャズ界では彼の上をいくベース弾きはおられません。
チョッパーベースという奏法では‘神技’で定評があります。 (転載終わり)
その後『ウィキペディア』などで少し調べてみましたが、遥様のご文は須藤満氏について簡潔に紹介してあり、現在のミュージック事情に疎い私はこれ以上述べることはできません。ただ一つだけ学歴について触れれば、同氏は(東北で1、2を争う進学校の)山形東高等学校卒業後、東京学芸大学に進学し、同大学の軽音楽部に所属したことが後のベーシストへの道につながったようです。
同氏がミュージシャンとしてさらに高みを目指しますよう、陰ながら声援を送っていきたいと思います。
さて今回取り上げるのは、別の同県出身有名人についてです。この人もつい最近までまったく存知上げなかった人物です。
奥山清行(おくやま・きよゆき)という人です。この人を知るきっかけとなったのは、今年2月『フェルミ推定とは何ぞや?』の元となった雑誌『「継続できる人」の習慣 「続ける」技術』です。
その中の第1章『続けるだけで人生が変わる!「1日30分」の成功習慣』に、奥山氏インタビュー記事があったのです。ちなみにこの章のトップにはワタミの渡邉美樹会長、奥山氏の前が、同記事で紹介した「フェルミ推定」「地頭力」の細谷功氏となっています。
奥山清行氏は、渡邉氏などと肩を並べるくらいですから相当際立った業績を上げている人物であるわけです。
奥山氏は工業デザイナーで、世界的にもカーデザイナーとして知られているというのです。海外では「ケン・オクヤマ Ken Okuyama」の名前で活動しているそうです。
フェラーリ創業55周年を記念して作られた「フェラーリ・エンツォ」という、創業者の名を冠した車をデザインしたのが奥山氏なのだそうです。
奥山氏の仕事はただ単に自動車のデザインに留まらないようです。
「KEN OKUYAMAレーベル」ではメガネを、地元の「山形工房」では木工家具や鋳物の製造販売を行うなど、「日本の地場産業の再生」を目指した活動にも積極的に取り組んでいるというのです。
さらには2007年~08年には、デザインから製造まで一貫して携わったスポーツカー「k.o7」「k.o8」を発表するなど、国内外を問わず、モノ作り全体を俯瞰したダイナミックな活動を展開しているということです。
まさに「世界を舞台に活躍する日本人」の一人といっていいようです。
こんなパワー溢れるマルチ人間が、東北の山国・雪国である山形県から出ようとは ! 折角ですから、そこに至るまでの同氏の経歴を簡単にご紹介します。
奥山清行氏は1959年山形市生まれ。須藤満氏(1964年山形市生まれ)と同じく山形東高校を経て、武蔵野美術大学卒業。
1985年、米国アートセンター・カレッジ・オブ・デザインを卒業後、ゼネラルモーターズ(米)、ポルシェ(独)のチーフデザイナー、母校のアート・カレッジの工業デザイン学部長を歴任。2004年、ビニンファリーナ(伊)のデザイン・ディレクターに就任。2006年に独立し、「KEN OKUYAMA DESIGN」のCEOに就任し、現在に至っています。
同氏はさらにその上、米国母校、中国中央美術学院、多摩美大、金沢美術工芸大などの国内外六大学の客員教授、グッドデザイン賞選考副委員長などの華麗な肩書きが加わります。
同じ県の出身なのに何でこうも違うのかと、私などはクラクラする頭を抱えたくなるようなまばゆいばかりの経歴です。氏は50代前半の働き盛りですから、今後さらに大きな業績を積み重ねることになるのでしょう。
そんな奥山氏の「成功習慣」は、
「言葉の力だけを頼りに コミュニケーションしてみよう」
です。ハイレベルな結論を導き出す力は、言葉を意識的に操ることで身につく、と氏は言うのです。
「勤勉さ」「他人への気配り」といった日本人としての美徳だけでは、世界を相手のビジネスでは通用しないということです。これは、長年米国人、ドイツ人、イタリア人などと互角以上の交渉事をこなして成功させてきた奥山氏の経験則から導かれたものだけに説得力があります。
それについての奥山哲学も紹介したいところですが割愛して。コミュニケーション能力アップのために今でも氏自身が実践しているのは、
「1日1回は見ず知らずの人と会話をする」
ことだそうです。見ず知らずの人と「中身があってなおかつ心地よい会話ができるように言葉をつないでいく。やってみるとわかりますが、慣れないと意外にむずかしいものです。」
確かに、確かに。奥山氏の場合、家庭環境の良さや山形一の都市育ちですから、小さい時からニミュニケーション能力の土台は培われていたのかもしれません。ただそれだけで一流の国際人になれるわけではもちろんなく、その上絶えざる継続的努力によって大輪の花を咲かせたわけです。
わたくしめは、せめて奥山清行氏の爪のあかでも煎じて飲ませていただきたい、と念願致すきょうこの頃です。
(大場光太郎・記)
参考・引用
『「継続できる人」の習慣 「続ける」技術』(「THE21」BOOKS、「THE21」編集部編、PHP研究所刊)
関連記事
『山形県内高校事情』
http://be-here-now.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/post-63bd.html
『〈フェルミ推定」とは何ぞや(1)』
http://be-here-now.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-5d7f.html
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