フォレスタの「花言葉の唄」
-女声フォレスタによって現代に蘇った、暗い時局に咲いた『花言葉の唄』-
(「フォレスタ 花言葉の唄」YouTube動画)
(1曲目が「花言葉の唄」、2曲目は「花の街」)
http://www.youtube.com/watch?v=H3pmbz_wGOk
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それにしても。この歌が発表されたという昭和11年は、2・26事件が起きた年です。そして翌12年は、泥沼の日中戦争の発端となった盧溝橋事件が勃発。時局は戦時色一色に染まりつつあった世相の中で、よくもこんな明るい清新な歌が生まれたものです。詩人・西條八十。あえて、そんな時代へのアンチテーゼの意図を込めたのでしょうか。
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上の一文は、「二木紘三のうた物語」の『花言葉の唄』の私のコメント(2008年2月4日)の一部を引用したものです。その後思い出しましたが、昭和12年発表の『春の唄』もこれと同じことが言えそうです。共に、暗い時局に花咲いた「奇跡の歌」という感がします。
とエラそうに言っても、私自身『花言葉の唄』を知ったのはほんの数年前のことです。若い人は余計ご存知ないことでしょう。二木先生はこの歌の《蛇足》で、「歌謡曲っぽいフレーズが少しあるものの、歌詞・曲とも、現代なら小中学校の音楽教科書に掲載されていておかしくない、きれいなワルツです」と述べておられます。
若い人のみならず、多くの人に知って口ずさんでいただきたい歌の一つです。
この歌をなんと、フォレスタがちゃんと歌ってくれていたではありませんか !
3人による女声コーラスです。この歌は3番までありますが、3人がそれぞれを独唱するという構成になっています。独唱を他の2人が息の合ったコーラスでしっかり支えています。
1番独唱は小笠原優子さん、2番は白石佐和子さん、そして3番は中安千晶さんです。この3女性は共にソプラノですが、同じソプラノとは言っても各人の声の個性がよく表われています。2番の中の歌詞をもじって言えば「三花三色」といった趣きがします。
私が勝手に想像するに、独唱は“年の順”であるようです。つまり最年長の小笠原さん、次にお姉さんの白石さん、最年少の中安さんという順番です。
残念なことにネット上で探しても、フォレスタメンバーは男女とも「年齢不詳」です。それでこれまた勝手な推測をしてみるに(その根拠は、女声5人全員で歌っている歌を取り上げた時に“披露”します)、小笠原優子さんは推定年齢38歳前後、白石佐和子さんは同30歳前後、中安千晶さんは同28歳前後となるのではないでしょうか?(すべての「フォレスタ女声コーラスファン」のために、どなたか正確にご存知の方はお教えください。)
若い彼女たちは当然、この歌が発表された前後の情勢などあまり知らないことでしょう。しかしそれがかえって幸いしていると言っていいようです。つまり戦前のこの歌を彼女たち自身のまっさらな感性でとらえ直し、自由に解釈し、リニューアルされて現代に蘇った『フォレスタの花言葉の唄』になっていると思われるからです。
小笠原優子さん、白石佐和子さんの安定した歌唱力は他の歌で十分実証済みです。それは中安千晶さんとて同じですが、2人のお姉さんを引き継いだラストの中安さん、この歌に限って言えば少し割りを食ってしまったかな?という感じがしないでもありません。
この歌では前面中央に位置し、動画の最初と最後に大映しされているのが小笠原優子さんです。そのせいか圧倒的な存在感があります。小笠原さん、花に例えれば大輪の薔薇(バラ)といったところでしょうか。
ある人が他の歌で「(フォレスタの5人の女性陣は)皆さん女優さんのようだ」とコメントしていますが、中でも小笠原さんは本当に女優と見まごうほどにお綺麗です。さらに賛美して言えばこの歌の小笠原さん、気品ある女王様のようです。
「♪咲いたらあげましょ…」と、3人のうちのどなたかから花がもらえたら…。「いやあ、人生最高 !」ですね。
(大場光太郎・記)
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