« ラビリントス&クノッソス宮殿 | トップページ | 奥山清行氏のこと »

日本は世界一著作権法に厳しい国?

 -この問題でも根っこにあるのは、日本型官僚支配システムの弊害なのだろう-

 過日の『こんな理由でブログ「全面削除」 !?』記事のURLがあるサイトで紹介されました。たまたま同記事へのある人のアクセス元をたどってそれを知ったのです。
 このサイトは<著作権と肖像権に関して多面的かつ体系的に問題点を掘り下げ、抉り出しています。

 ある人のブログが全面削除されたことを知り、私も『名曲-所感・所見』カテゴリーで多くの歌を取り上げてきましたから、今までさほど気にもしていなかった著作権問題について多少なりともアンテナが働くようになってきました。
 そこで、『日本が世界一著作権・肖像権に厳しい国であることの理由まとめ』という同サイトをプリントアウトし、読ませていただきました。

 といっても、奥行きの深いのが著作権法問題です。全部で1~16までの項目があるうちの、「まえがき」「1.歌詞の引用問題」の数ページのみです。本文の合間に当ブログ記事など20弱の関連サイトURLが紹介されています。
 それぞれに1行から数行くらいのコメントがついています。ちなみに当ブログ紹介コメントはー。
 「ブロガーが以前のブログで歌詞を引用しただけで契約違反として事前通告なしにブログが削除されたことについて、歌詞の引用をすることがいかに困難であることかが伝わってきます」
というものです。

 全体のほんの一部ということになりますが、何読かして大変参考になりました。その結果改めて思い知らされたのは、我が国著作権法の法外な厳しさです。
 中でも特に、同記事で問題となったJASRAC(財団法人日本音楽著作権協会)の厳しさは際立っています。この文を読むと、出版物はもとより、インターネット上での「歌詞の引用」は事実上不可能のようです。

 同記事(続)でも紹介しましたが、著作権法では「著作権を無断で利用できる例外」規定を設けています。前回はそのうち「私的使用のための複製」(同法30条)についてでしたが、
 「引用」(32条)
についても例外的に利用できることになっています。自分の著した文章なり論文なりが「主」であり、著作物相当の他人の文章、論文等の一部が「従」であり、かつ典拠が明示されている場合は無断引用が認められているのです。

 ところが音楽著作物の場合、例えばネットなどでの歌詞の引用は一切まかりならんというのです。そう断定しているのは、音楽著作権を一元的に管理しているJASRACです。「歌詞」だけが引用の例外中の例外扱いなのです。
 仮に引用した場合、JASRACから高額な使用料が要求されるそうです。
 歌詞はその歌の全歌詞ということではありません。著作権有効な歌の少しのフレーズでも書き込むだけでアウトなのです。その場合でも「窃盗以上の犯罪」とみなされ、仮に逮捕されれば高額の罰金ないしは10年以下の懲役刑に処せられることになるのです。

 確か著作権法のどこにも、「無断引用にあたって、音楽著作物の歌詞の引用は例外とする」という条文はなかったはずです。同法の関連法律の中にあるいは「歌詞の一節であろうとも引用してはならない」というような条文なり規定なりがあるのかどうなのか。
 もしこんな強権的なことを、国会の承認も経ずにJASRACが独断で発動させているのだとしたら、同協会は大変な独裁団体と言うべきです。
 「歌詞の引用禁止の根拠」は何なのか、JASRACは国会の場に出てきて、国民に根拠を明らかにすべき説明責任を負っています。

 我が国著作権法の厳しすぎる縛りは、すべて、著作者、著作権者(両者はケースによって同一者の場合もあり違う場合もある)、音楽の場合JASRAC、レコード製作・販売など音楽関係会社の権利擁護、もっと言えば利益確保のためです。そしてJASRACやレコード会社には官僚が天下っていて主要ポストを占めています。

 特に我が国の場合、世界各国の著作権法に比しても「ビジネス最優先」目的が顕著であるようです。そのため、世界各国の著作権法と異なり「使わせない権利」となっているのが現状なのです。
 アメリカは訴訟大国であり、確か著作権保護期間も70年と我が国の50年より長かったはずです。しかしアメリカには、日本にない優れた点として「フェアユース法」というのがあるそうです。このフェアユース法は、「非商業目的ならば文章でも歌詞でも画像でも引用可能とする」法律です。これが我が国に導入されれば、無料ブログの場合、存分に歌詞引用が可能となります。

 例のТPPによって日本にも米国式のフェアユース法が導入されることになるのか、というとどうもそうはならないようです。日本では音楽・映像・書籍など利益を独占したい著作権団体が多く存在しているため、同法導入は困難とみられているのです。
 それのみかТPPによって、今でも世界一厳しいのにさらに一段と厳しくなることが予想されるというのです。著作権保護期間はさらに伸びて70年、100年…。罰則がさらに厳しくなって、歌詞引用の場合はブログ削除などではなく即逮捕。歌詞だけではなく全てのテキストの引用禁止…。

 著作権法一つ取ってみても、「21世紀は諸規制が緩和されて暮らしやすい社会になる」などはとんだ幻想だったわけです。実態は「規制強化」「言論統制」「国民監視」が一段と進行中です。
 すべては「対米隷属」「官僚支配」のしからしむるところです。こういう旧勢力支配から脱却して、この国を「国民の生活が第一」というまっとうなあり方に戻すことが、09年政権交代時の国民との約束じゃなかったのかい?えっ、真逆民主党よ。真逆野田佳彦さんよ。

 (大場光太郎・記)

参考・引用
サイト『日本が世界一著作権・肖像権に厳しい国であることの理由まとめ-NEVER まとめ』
http://matome.naver.jp/odai/2131038376804734301l

|

« ラビリントス&クノッソス宮殿 | トップページ | 奥山清行氏のこと »

所感」カテゴリの記事

コメント

著作権に厳しいのは取り締まりそのものが利権化してしまってるから。

取り締まりが金を得る一つの機会になっているから

日本の著作権は権利者を守る法律では無く、取り締まる者に金を与える機会及び口実(もちろんこの金はエサ(違法者)から収奪した物)
取り締まりが一つのビジネスと化してるから
守る事よりも金集めが目的だから

消費税増税もそうだけど金集めが好きなんだよな日本は
金を生む事よりも金を取る事に特化してるんだよ

投稿: 名無し | 2017年10月 2日 (月) 00時53分

この記事へのコメントは終了しました。

« ラビリントス&クノッソス宮殿 | トップページ | 奥山清行氏のこと »