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エーゲ海、クレタ島、ミノア文明

 「ペルセウス英雄譚」から間が空きましたが、『ギリシャ神話選』また再開します。

 今回一連の物語の舞台となるのは、主神ゼウスなどギリシャの神々が鎮座ましますオリュンポスの山のあるギリシャ本土ではありません。そこからずっと南下して、エーゲ海の只中に浮かぶ島・クレタ島が舞台です。

エーゲ海

 上の図でもお分かりのとおり、エーゲ海(Aegean Sea)とその先に広がる地中海(Mediteranean Sea)との境目に、まるでエーゲ海を穏やかに囲い込むように横に細長く伸びている島がクレタ(Creta)島です。(注 ギリシャ半島上部の▲印が、オリュンポス山。)
 我が国の四国の半分ほどの大きさのこの島に、紀元前2千年以上前から古代文明が栄えていたのです。その名を「ミノア文明」といいます。物語に先立って、予備知識としてミノア文明の概略をみていきたいと思います。

 ギリシャ本土の古代ギリシャ文明に先行して、エーゲ海とその周辺で栄えていた文明を特に「エーゲ文明」と呼んでいます。つまり全盛期がBC2000年~BC1400年だったこの文明こそが、古代ギリシャにおける最古の文明だったのです。
 全盛期のエーゲ文明は通常三つの文明に分類されます。今回のミノア文明とトロイア文明、ミケーネ文明です。

 ミノア文明(クレタ島で栄えたため「クレタ文明」とも)は、歴史区分法上は青銅器文明と位置づけられます。ミノアという呼称は、本シリーズでも登場する伝説の王・ミノス王に因んで名づけられました。
 島嶼部に栄えた文明であるため、エーゲ文明全体がそうですが、基本的に大きな戦争もなく比較的平和な文明だったとみられています。人類史上ユニークな「開放的海洋文明」というイメージです。
 なおミノア文明は、後に大隆盛することになるギリシャ文明とは、本来民族も文化も異なります。

 中期ミノア文明期に、地中海交易によって発展し、クノッソス、マリア、ファイストスなどクレタ島各地に地域ごとの物資の貯蔵・再分配を行う宮殿が建てられました。ミノア文明は多神教でしたが、宮殿は信仰の中心地でもありました。
 また貿易を通じてエジプトやフェニキアの芸術も流入し、高度な工芸品を生み出しました。紀元前18世紀頃には「線文字A」(現在に至るも未解読)を使用する段階に至りました。

 紀元前1600年頃の後期ミノア期には、各都市国家の中央集権化、階層化が進み、クノッソス、ファイストスが島の中央部を、マリアが島の東部をそれぞれ支配することになります。
 当初は島全体を豊かな森林が覆っていましたが、時代が下るにつれて木材の大量伐採による自然破壊が進み、文明そのものの衰退を招くことになります。そして紀元前1400年頃にミュケナイのアカイア人がクレタ島に侵入し、略奪され、ミノア文明は崩壊しました。

 以上駆け足で見てきました。本シリーズは、そのうちの中期ミノア期の「ミノス王の時代」に展開される神話群です。
 「クノッソス宮殿」「ミノタウロス」「ラビリュントス」「アリアドネの糸」「イカロスの翼」などのキーワードをちりばめながら、一連のエーゲ海・クレタ島物語のスタートです。

 (注記)以前のシリーズがそうだったように、本シリーズもまただいぶ間隔を空けた飛び飛びの公開になると思います。予めご了承ください。

 (大場光太郎・記)

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