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かなえの殺人レシピ(17)

 -木嶋佳苗は早く極刑を受けよ。しからば日本毒婦列伝中に永く名を残すべし-

 男性3人を殺害したとして殺人罪などに問われていた木嶋佳苗被告(37)に、13日さいたま地裁の裁判員裁判法廷において「死刑」判決が言い渡されました。

 長期化した“かなえ裁判”は、公判初日の2月17日から「今までした中で、あなたほど凄い女性はいなかった」「具体的には…。テクニックよりも本来持っている(女性器の)機能が高い、と(客に誉められた)」というような、ぶっ飛びの「名器自慢」からスタートしました。
 その他にも愛人契約など“名器”で稼いだ金が月額150万円などと、時折り飛び出すセックス談義で、さいたま地裁はとんだ“ピンク法廷”になってしまいました。

 それもあってか、かなえ裁判は話題沸騰、テレビのワイドショーでは連日のように木嶋佳苗を取り上げたようです。
 超肥満体、ブスな素顔に、マスコミはさすがに「美人詐欺師」とは最後まで銘うてなかったものの、法廷内での佳苗の“女子力”は相当のものだったようです。午前と午後の法廷では毎回のようにお色直しをして登場するは、推定Fカップの豊満な胸を強調したセレブファッション、長い黒髪は艶々肌はもち肌、動作のはしばしにまで意外にも女らしさに溢れていたというのです。

 何よりも圧巻だったのは、法廷での堂々たる立ち居振る舞いだったようです。被害者本人や遺族がどんな不利な発言をしても表情を崩すことなく、常に「上から目線」だったというのです。また傍聴席にいて被告席の佳苗と目があった人はその鋭い“目力”に圧倒されたといいます。証拠品として提出された被害者への佳苗からの手紙は、クセがなく達筆な文字だし…。
 そういうことがあいまって、ジワジワ女性ファンが増え、何十人もの“追っかけギャル”まで現れたというではありませんか。

 阿部定も真っ青の木嶋佳苗という稀代の毒婦に対して、6人の市民裁判員プラス3人のプロの裁判官によって「死刑」という極刑判決が下されたのです。
 目撃証言や自白といった確たる直接的証拠がなく、状況証拠の積み上げによって木嶋佳苗の3人殺害を立証するという、専門の裁判官でも悩むような極めて難しい裁判でした。今回裁判員を務めた男性(27)は記者会見で、「率直に言うと、難しいの一言に尽きる」と深く悩んだことを吐露しています。

 佳苗は寺田隆夫さん、大出嘉之さん、安藤健三さんの3人の被害者と死亡直前まで会っていること、いずれの場合も直後に佳苗が多額の現金を引き出していること、遺体発見現場には練炭とコンロがあったこと、などの共通点から木嶋佳苗の犯行以外あり得ないという検察側論告求刑に沿った判決となりました。
 確かに「かなえ略伝(?)」を綴ってきた私も『死刑以外ないよな』と思うところはあります。しかし裁判には「疑わしきは被告人の利益に」という一般則があります。まして佳苗のケースは、プロの判事でも「有罪か無罪か」で悩むケースなのです。
 なのに、素人裁判員が安直に極刑判決を下していいのかという疑問が残るのです。

 今回の判決で連想されるのは、現在進行中の小沢裁判です。
 小沢一郎民主党元代表は2度検察審査会にかけられ、2度とも「起訴相当議決」が出されたことによって「強制起訴」となり、現在の不毛な裁判となっています。性格は異なるとは言え、同審査会でも議決したのは11人の素人審査員なのです。
 しかも1回目の審査員選定にあたっては、最高裁事務総局の指示による「イカサマくじ引きソフト」が用いられたことが分かっています。予め“小沢嫌い”の市民を選定することが可能だったのです。

 また同審査会では検察の捏造調書が起訴相当議決の決め手になっていますし、素人審査員を誘導した疑いのある審査補助員の弁護士選定にも問題大有りです。その上2回目の審査員は規定に違反して1回目の人たちが全員そのまま居残ったか、まったく審査員が存在せず検察審査会事務局で勝手に起訴相当議決を作ってしまった疑惑すら浮上しています。
 その点裁判員制度は、暗黒検察審査会よりはずっと開かれた制度とはいえます。しかし素人の市民たちに「死刑」という極めて重い判決を委ねてもいいのか、という疑問が付きまとうのです。

 今回の極刑判決に一番喜んでいるのは警視庁、なかんずく同庁青梅署でしょう。青梅署は寺田隆夫さん死亡を自殺扱いにし、司法解剖することなく寺田さんを荼毘に付す許可を与えたのです。佳苗が寺田さんと直前まで付き合っていたことを知りながら、佳苗とは電話でお話しただけ。例によって佳苗の自在トークにコロッと騙され、直接尋問をしなかったのです。
 今回の判決は、警察組織の頂点に位置する警視庁を守る意図もあったのではないか?とつい勘ぐってしまいたくなります。

 いずれにしても裁判員制度が定着しつつある現状では、一審の裁判員裁判での判決が極めて大きな意味を持ちます。佳苗側は当然上告するのでしょうが、ここでの極刑判決を覆すには、佳苗側でよほど有力な「3人を殺していない証拠」を出すしかありません。
 それは事実上無理でしょうから、最高裁まで行くとして今後3年ないし5年のちには間違いなく「死刑確定」となるはずです。

 しかし状況証拠の積み上げだけで本当に死刑執行できるのでしょうか。それが今後の判例となり、一審の素人裁判員たちによって死刑判決された場合は、直接証拠なしでも、状況証拠の推論によってどんどん死刑になってしまうことになりかねないのです。これは考えてみれば恐ろしい事態といえます。

 当ブログでも初公判前から、2年以上前の『かなえの殺人レシピ(1)~(15)』シリーズへのアクセスが殺到し、かつてないほどのお祭状態でした。事件発覚の09年秋当初もそうでしたが、とにかく異常なほどの「かなえ人気」なのです。今や木嶋佳苗は一大「ブラックカリスマ」と言っていいようです。
 宗教的カリスマの麻原彰晃は、とうに死刑確定していながらいまだに執行されていません。仮に執行すれば“永遠の偶像”となり、熱烈な信奉者たちが尖鋭化し不測の事態が起きかねないことを恐れているのでしょう。

 麻原ほどではないとしても。木嶋佳苗の場合も、状況証拠だけに加えてそのブラックカリスマ的人気。それらを考慮して、死刑確定しても執行はせずに「務所飼い殺し」、つまり事実上終身刑扱いになることも考えられます。

 (大場光太郎・記)

参考
 本記事作成にあたっては、初公判以降の『日刊ゲンダイ』の幾つかの記事を参考にまとめました。
関連記事
『かなえの殺人レシピ(1)~(12)』
http://be-here-now.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/index.html
『かなえの殺人レシピ(13)~(15)』
http://be-here-now.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/index.html

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