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フォレスタの「花かげ」

-日本人の情感に訴えるこの歌。女声フォレスタの名唱をじっくりお聴きあれ !- 

「フォレスタ 花かげ」YouTube動画

 先ずは『花かげ』そのものについて述べてみようと思います。

 この歌は昭和7年発表ながら、大正時代の「赤い鳥運動」から生まれた数々の名童謡の影響が強く感じられます。さらに言えば、大正浪漫的雰囲気を色濃く受け継いだ名叙情歌であるように思われます。

 姉が遠い里に嫁に行ったことによって、実家に一人残された妹の寂しさを歌った歌です。

 1番から3番までを通して、1行目で「十五夜お月さま」が、2行目で「桜吹雪 花かげ」が。王朝文化以来日本的風物として「雪月花」が有名です。この歌ではそのうち「月」と「花」が歌われています。
 「月」は秋を代表する風物であり、「花(桜)」は春を代表する風物です。この二大風物を歌の中に詠み込んだことが、発表以来『花かげ』が人々に広く愛唱されてきたゆえんの一つなのではないでしょうか。

 「十五夜お月」は、季語的文脈で言えば、旧暦八月十五夜の「中秋の名月」しかありません。

 だから『花かげ』は、花の盛りも過ぎた桜吹雪のただ中でお嫁入りしていった「お姉さま」を、一人残された妹が、中秋の十五夜月を仰ぎながらしみじみ偲んで、哀しんでいるという設定になるのではないかと考えられます。

 「十五夜お月さま」「桜吹雪」「花かげ」が3番まで繰り返されます。それによって、この歌を聴いた者は、桜吹雪のただ中での姉と妹の別れのシーン、冴え冴えと掛かる十五夜月を振り仰いでいる妹の姿がパーッと浮かんできます。
 これが、「月」「花」という一語の有する「日本的イメージの力」と言えそうです。「月」「花」という言葉だけで、日本人誰しもが共有するイメージが喚起されてくるのです。

 昭和7年(1932年)と現代では80年の隔たりがあります。百八十度と言っていいほど、世の中様変わりしてしまいました。それでも『花かげ』は今もなお、聴く者の心を揺さぶる訴求力を持ち続けています。

 『フォレスタの花かげ』。4人の女声コーラスが、この歌の情感をいやが上にも高めてくれています。私などは女声フォレスタコーラスの中でも名唱の一つに数えたくなります。しっとりした吉野翠さんのピアノ演奏も“聴きもの”です。

 多くの「矢野聡子ファン」の皆さん。歌の出だしが、矢野さんの大映しから始まりましたよ !
 既にご存知かと思いますが、矢野聡子さん最近結婚し、フォレスタ活動は一時休止という事のようです。「ご結婚おめでとうございます !」。でも、熱烈な“さとちゃんファン”にとってはこの歌の心境そのものではないでしょうか。矢野さんの一日も早い復帰が待たれますね。

 2番の白石佐和子さんの独唱はさすがです。人馬一体ならぬ「人歌一体」というのがあるのか、どうなのか。白石さんはこの歌の世界に入りきっておられるようで、聴き惚れてしまいます。
 “お姉さま”格の白石さんの美声を聴きながら、ふと思いました。この歌は直接的には残された妹の哀しみを歌っていながら、間接的には遠くに嫁に行った姉の哀しみの歌でもあるのではないだろうか、と。

 この歌全体にわたって、低音部でしっかり支えてくれているのが吉田静さんです。吉田さんの“低音の魅力”を見逃すことはできません。“吉田メゾソプラノ”が、このコーラスに奥行きと深みを与えています。

 3人のコーラスの真ん中のポジションにいるのが中安千晶さんです。中安さんの可憐な立ち姿から、私は密かに思ってしまいました。このコーラスはこれとして。中安さんは女声フォレスタの中で“妹分”なのだし、中安さんの独唱バージョンも是非聴いてみたいものだな、と。

 (大場光太郎・記)

参考
『フォレスタ通信』-「What‘s New?」(2012-03-17「メンバーのお知らせ」) (この中に矢野さんの結婚、活動休止のお知らせが出ています。)
http://foresta.music.coocan.jp/Whatsnew/WhatsNew.htm
関連記事
『「赤い鳥運動」について』
http://be-here-now.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-4908.html
『フォレスタの「花言葉の唄」』
http://be-here-now.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-5ca8.html

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フォレスタコーラス」カテゴリの記事

コメント

 神奈川県県央地区の当地では、早くも先週半ば頃に桜が満開となりました。だから見頃のピークは先週末、今週には桜吹雪となってしまうものと覚悟していました。ところが嬉しい誤算というもの、ここのところの花冷えを感じさせるやゝ寒のせいか、確かに散ってはいますが、いまだにほぼ満開のようすを保ってくれています。

 「桜の季節」にはこの名曲が聴きたくなります。それでちょうど1年ほど前にフォレスタ曲の4番目くらいでこの歌を取り上げたのでした。

 以来この歌は「フォレスタコーラス」の中でもアクセスの多い歌の一つです。取り分け「矢野聡子」「矢野聡子 結婚」などでのアクセスが多いのです。この歌を歌っている4女声の真っ先に矢野さんの結婚情報を紹介したためだろうと思われます。
 「♪遠いお国の聡子さま 私はさびしくなりました」
 海外在住という矢野さん、いまだに根強い人気がありますね !

 『花かげ』そのものについては、本文中で述べたことでほぼ言い尽くしています。
 ただ今回気がついたのは、1、3番冒頭の「十五夜お月さま ひとりぼち」というフレーズです。これはお里に一人残された妹の「ひとりぼち」と対応しているわけです。
 十五夜月と人とが「ひとりぼち」を共有しているという心象こそ、まさに日本的感性と言うべきで、冒頭のこのフレーズがこの歌の哀しい感じをいや増しているように思われます。

投稿: 時遊人 | 2013年3月29日 (金) 05時58分

大場さま
こんばんは
『花かげ』お好きなんですね。
私は童謡唱歌の中で1番好きな歌です。
子供の時から今に至るまでずーと聞いたり歌たりで、もう血と肉になっています。笑
鮫島有美子さんのブルーがかったソプラノのCDを毎日繰り返し聞いていても飽きないのです。
本当は吉田静さんの深いメッツォソプラノでソロを聞きたいのですが…。聞けなくて残念です。吉田さんの歌で癒されたいです。

投稿: りんどう | 2013年3月30日 (土) 01時35分

りんどう様
 またまたコメントたまわり、大変ありがとうございます。
 そうなのです、『花かげ』大好きで、この季節繰り返し聴いています。このたびの『フォレスタ・マイベストテン』にも挙げようかと悩みましたが、最終的に『夏は来ぬ』にしました。
 りんどう様はお小さい頃から聴いてこられたとのこと、それでは確かに血肉になりますね。
 鮫島有美子さんの『花かげ』いいでしょうね。今度動画探して聴いてみます。なおこの歌を島田祐子さんが歌っているYouTube動画があり、島田さんの独唱、やわらかくてこの歌の雰囲気が実によく出ておりお奨めです。
 確かにこの歌の吉田静さん独唱も聴いてみたいですね。やゝ低い憂いを帯びた『花かげ』になるかもしれませんね。願わくば吉田さんが、鮫島さんのような国民的歌手になりますように。

投稿: 時遊人 | 2013年3月30日 (土) 16時03分

 本文中でも記しましたが、この記事公開時点で矢野聡子さんがフォレスタ活動休止が決まっていました。そして昨年初めには、この歌で独唱を担当した白石佐和子さんが、そしてこのたび中安千晶さんと吉田静さんのまもなくの活動休止が発表されています。

 つまりこの旧バージョンをコーラスした4人の女声が誰一人いなくなってしまうのです。『えっ、本当ですか?』『ホントかよ~』と驚きの事態です。代わりに新メンバーが補充されるとはいえ、この4人の1人1人には10年以上の女声フォレスタにおける歩みと実績があったはず。お1人お1人余人に変えられませんよ。大変残念です。

投稿: 時遊人 | 2018年4月 9日 (月) 02時49分

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