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フォレスタの「四季の雨」

 -美しい日本の季節の移ろいにふさわしい、四季折々の雨の名風物歌である-

  (この歌のYouTubeフォレスタ動画はURL表記のみ。)
   http://www.youtube.com/watch?v=WOAE3o6z5oM

一、
  降るとも見えじ、春の雨、
  水に輪をかく波なくば、
  けぶるとばかり思はせて。
  降るとも見えじ、春の雨。
二、
  にはかに過ぐる夏の雨、
  物ほし竿に、白露を
  なごりとしばし走らせて。
  にはかに過ぐる夏の雨。
三、
  をりをりそそぐ秋の雨、
  木の葉、木の實を野に、山に、
  色さまざまに染めなして。
  をりをりそそぐ秋の雨。
四、
  聞くだに寒き冬の雨、
  窓の小笹にさやさやと、
  ふけ行く夜半をおとづれて。
  聞くだに寒き冬の雨。

 『フォレスタの「若葉」』で触れましたが、『若葉』とともにこの『四季の雨』もフォレスタ女声コーラスで初めて聴いた歌です。1番から4番までの歌詞とメロディをじっくり味わってみるに、四季折々の雨の情趣が陰翳細やかに表現されている歌だと思います。

 この歌は、尋常小学校六年生用唱歌として大正3年(1914年)に発表されました。残念ながら作詞・作曲とも不詳です。ただ作曲の方は、「村の鎮守の 神様の~」で懐かしい『村祭』の作曲者の南能衛(みなみ・よしえ)ではないか、とも言われてます。
 なお「六年唱歌」には他に、『故郷』『おぼろ月夜』『我は海の子』『鎌倉』などのおなじみの唱歌があります。

 改めて言うまでもなく、「雨」は一年中通してみられます。梅雨に代表されるように、高温多湿な我が国の風土では、雨はそれこそ日常ごくありふれた気象現象といえます。
 そういう事情もあってか、一言で「雨」と言っても、実に多彩な雨を表す言葉が我が国の歴史の中で形成されてきました。例えば私が所蔵している『俳句吟行用語集』(杉本直猪編、博友社刊)では以下のように出ています。

 「雨」 雨。小雨。細雨。糸雨。糠雨。小糠雨。霧雨。煙雨。大雨。豪雨。驟雨。急雨。沛雨。村雨。快雨。朝雨。暮雨。夜雨。俄雨。狐雨。日照雨(そばえ)。疎雨。山雨。降雨。風雨。春雨。五月雨。暖雨。涼雨。秋雨。寒雨。氷雨。御降。祈雨。慈雨。喜雨。長雨。霖雨。秋霖。雨季。
 
 その他にも「梅雨」「夕立」「時雨]「雨催」「雨籠」「雨青し」という項目があり、それぞれに関連した“雨語”がずらっと並ぶのです。
 それを、例えば「にはかに過ぐる夏の雨」(夕立)について、「チョー、スゲエ雨 !」などと若者言葉で片付けてしまえば、かくも微妙な襞(ひだ)を有する“雨の叙情”が台無しになってしまいます。それらの言葉は、伝統的な美しい日本語や日本的感性と断絶しているからです。(と言って、私は何も若者言葉やギャル語を全否定するつもりはありません。)

 先日久しぶりで『フォレスタの「四季の雨」』を聴きました。小笠原優子さんの1番独唱を聴いただけで、思わずジ~ンときてしまいました(実際は涙がこぼれてしまった)。
 小笠原さん独唱曲として、これまで『花言葉の唄』『かなりや』『アカシヤの雨がやむとき』を取り上げてきました。小笠原さんの高く澄んだ声質に、この曲はぴったり合ってるのか、彼女自身伸び伸びと声を出しきって歌っているようです。私には、「小笠原優子独唱曲」としてはこの歌が最高であるように思われます。

 2番では、小笠原さんの歌唱に吉田静さんが加わります。そう言えばこの歌における、小笠原さん、吉田さん、矢野さんという3人の女声ユニットは極めて珍しいのではないでしょうか。「この一曲だけ」と思うのですがどうでしょうか?

 2番の吉田静さんの歌唱には、小笠原さんの歌声を生かすための配慮があるように見受けられます。普段より声量を絞っているようなのです。しかし吉田さんの声質は天下一品で、抑制した事によって、かえって小笠原さんとの絶妙かつ芸術的なハーモニーが醸し出されているようです。
 4番もそうですが、この歌において、吉田静さんの“メッツォ・ソプラノ”が実に良く利いています。

 3番独唱は矢野聡子さんです。いつ聴いても、矢野さんのハイソプラノは独特だと思うのです。お年は30代半ばくらいのようですが、かなり高音で、(中安千晶さんにも感じることですが)矢野さんは“童女の歌声”が連想されてしまいます。
 その高音は彼女の頭頂を突き抜けて、まるで天上にまで届きそうです。

 4番については、『フォレスタ - 四季の雨』へのお二人の方のコメントが秀逸です。該当箇所を以下にご紹介します。
                        *

女声フォレスタの歌では好きな一曲です、

特に4番のアカペラでの冬の雨は絶品です。

                        *

4番 全員での重唱は、もはや天使の歌声・・・・ 

                        *

 1番から3番まで見事だったピアノ演奏がピタッと止まり、3人女声の歌唱のみ。寒雨で寂寥の気を伴って降る、冬の夜の雨の雰囲気が余すところなく表現されています。まさに「絶品」であり、「エンジェル・クレア(天使の歌声)」です。
 このコーラス曲は、女声フォレスタの「隠れた名唱」だと思います。

 (大場光太郎・記)

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コメント

 素晴らしい表現、読ませていただきました。二つとも
2日のアップデートでしょうか。7月で退職して、書類手続挨拶をしています。見なければと思いつつ、フォレスタのメンバーのHPや白石さん、吉田さんのディナーコンサートのチケット到着の調べばかり。そして65歳になった今日、ここを開きました。感激しました。工学部、航空管制出身で作文が苦手でうまく表現できませが、大場さんに感動を戴き一気に書きました。
 包み込むような優しい小笠原さんの春雨、元気元気の私も夏男の夏の雨、熱くなった体を雨が冷やしてくれます。 矢野さんの透き通った秋の空。紅葉が澄み切った青空を背景にひらひら落ちるイメージです。
 ありがとうございました。何度も読み返します。
 白石さんHP表紙にハワイの写真10枚紹介されてます。又昼夜のディナーコンサート(ショウ)完売です。私は昼の部を買えました。吉田さんのも買えました。9月11日ー15日迄東京です。

投稿: 1947LEO | 2012年8月 2日 (木) 17時00分

1947LEO様
 過分なお言葉恐縮に存じます。
 以前のリクエストにお応えして『フォレスタの「四季の雨」』アップしてみました。本記事作成の“種明かし”を少しさせてただければー。その時から密かに構想(?)を練ってきましたが、業務等に時間を取られなかなかまとめ切れずにいました。でもふと気がつくと、最近「フォレスタ曲」を取り上げていなかったことに思い当たり、1日夜取り急ぎ原案をまとめ、2日未明記事作成に及んだ、という次第です。
 1947LEO様は「航空管制」を65歳でのご退職とのこと、長いこと本当にお疲れ様でした。今後は郷里に戻られて悠々自適、「フォレスタ三昧」ができますね。羨ましいです。(いつかまた、どの空港の管制かご披露ください)。
 私は、あと20年くらいは働きませんと、人生の帳尻が合いそうにありません。
 いえいえ、ご謙遜を。御文、ポイントはしっかり押さえておいでです。
 そういえば最近白石さんのブログ訪問していませんでした。近々訪問してハワイの写真拝見させていただきます。

投稿: 時遊人 | 2012年8月 2日 (木) 23時56分

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