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オルフェウスの冥府下り(1)

  オルフェウスの竪琴をふと星月夜  (俳句の国三重「音の一句」採用の拙句)

 この句は2008年9月公開の『星月夜』の冒頭にも掲げました。今から7、8年前三重県(が毎年「○○の一句」で募集している)の「音の一句」に応募し佳作となった句です。これは角川学芸出版から出されている『音の一句』にも収録され、私が作った句ではあっても、著作権法上はもう私の手を離れています(ので冒頭の但し書きをしました)。

 この句のようにオルフェウス(ギリシャ語読みではオルぺウス)は、ギリシャ神話中随一の竪琴の名手です。また『イリアス』『オデッセイア』などで名高いホメロスなど、後世の吟遊詩人の先駆的存在とされることもあります。
 歴史家のアポロドーロスによれば、ムーサイのひとりカリオペーとオイアグロスの子として、ただし名義上の父親は(太陽神)アポロン神として、オルフェウスは生まれたとされます。またオルフェウスの父はトラーキア王であったともされ、グレイヴズはオイアグロスをトラーキア王としています。彼の竪琴の技はアポロンより伝授されたともいわれます。

 オルフェウスが奏でる竪琴がどれほど素晴らしいものだったか。
 その技は非常に巧みで、彼が竪琴を弾くと、神々も妖精も聴き惚れ、森の動物たちも集まって耳を傾けたといわれています。それのみか、自然界の樹木や、果ては命なきはずの岩石までもが感動せずにいられなかったというのです。(注 実際は樹木や草花には感情があり、宝石など岩石にも意識がある。)

 『ギリシャ神話選』としていずれシリーズ化するかもしれませんが、オルフェウスは、イアソン率いる往路だけでも2千kmという「アルゴー船探検隊」にもヘラクレスらとともに加わっています。
 オルフェウスはその折り、人間を歌で誘惑し殺害する女魔物セイレーンに歌合戦を挑み一座を鼓舞し、無事に海峡を渡ることができたのです。

 さてここからが本シリーズのプロローグです。
 オルフェウスは森の妖精エウリュディケを深く愛し、結婚しました。しかし幸福はあまりにも儚く、婚礼の歌がまだ終わらないうちに死が花嫁を奪い去ってしまいました。エウリュディケは毒蛇に足を噛まれ、あっと言う間に死んでしまったのです。

 最愛の新妻を失ったオルフェウスの悲しみはたとえようもありませんでした。
 オルフェウスはまた歌の名手でもありましたが、彼の悲歌は四方に流れ、かつ溢れ、ために野も山も泣き叫ぶほどでした。鳥たちは声をからして泣き、花々は花弁から涙を落としました。

 「愛しいエウリュディケよ。お前はどこに言ってしまったのだ !」
 とうしても諦めきれないオルフェウスは、身の毛もよだつ黄泉(よみ)の国に行き、冥府の王ハデスに哀願してエウリュディケを返してもらう決心をしたのです。

 ギリシャ神話における冥府の入り口はどこにあったのでしょうか?
 それは、ペロポネソス半島の最南端・タイナロン岬にあったといわれています。
 


 ペロポネソス半島は上の地図のオリンピア、コリントス、スパルタなどがある半島です。確信があるわけではありませんが、タイナロン岬は、スパルタから真南(真下)に地中海に突き出た最先端部だと思われます。
 この辺りの岸壁は洞穴が多く、そこから地界(冥府)への道が通じていると考えられていたのです。事実古代ギリシャ時代、タイナロン岬付近一帯に広く、死者たちが冥府に向かう道しるべとして、ネクロマンテア(石像)が立っていたようです。  (以下次回につづく)

 (大場光太郎・記)

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『星月夜』
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