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アルジェリア人質事件はなぜ起きたのか

 (『日刊ゲンダイ』記事-1月23日号3面-の転載です。)

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アルジェの人質事件 報道されない真相

この国のマスコミはすべて興味本位。肝心なことを書いていない

 アルジェリアの人質事件は日本人が多数、殺される最悪展開となった。錯綜する情報の中で、日本のメディアは死亡者の人数に振り回されていたが、肝心のことが抜け落ちている。そもそも、なぜ、テロが起こったのか、ということだ。そこに目をつぶるメディアは欧米先進国の「テロとの戦い」を盲目的に支持し、テロリストの非道ぶりを強調し、殺された人数の多さに騒ぐ。ワイドショー的な報道からは問題の本質は見えてこない。

報じるべきは日本人人質の生死安否か、資本主義大国の搾取か、貧困とゲリラと国家の関係か、アルカイダのテロと西洋軍事大国の問題か

 今度の事件でハッキリしたのは、アルカイダと米国の戦いが全世界に広まったことだ。そもそも事件は、アフリカ北部で勢力拡大しつつあったアルカイダを欧米が力でねじ伏せようとしたことに端を発する。

 「アルカイダ系の武装勢力がアルジェリアに隣接するマリで拠点を築いたのです。テキサス州ほどの広さのマリで、アルジェリアに暴れられたらたまらない。米国は何としても潰そうとした。仏軍がマリ中部の町、ディアバルを空爆したのは今月16日ですが、昨年11月初旬の段階で、国際社会はマリへの軍事介入を議論しているし、米クリントン国務長官や米高官が何度もアルジェリアに入っている。アルジェリア軍を動かすためです。アフリカの国が動けば、アルカイダにプレッシャーを与えることができますからね。こうした動きにアルカイダ系は反発、昨年12月、『恐ろしいことが起こるぞ』と警告を出していた。その矢先に事件が起こった。アルカイダ系と欧米の闘いは泥沼に突入したということです」(元外務省条約局長で作家の孫崎享氏)

 外務省は何をやっていたのか、と思うが、それはともかく、米国はアフガンでもテロリストを撲滅できず、イラクでも失敗した。この間、ビンラディンは殺されたが、アルカイダはリビアのカダフィ政権崩壊後、大量の武器を取得、人質誘拐事件などで、豊富な資金も蓄えた。
 武装勢力のリーダー、AQMIのベルモフタール元幹部は1980年代のアフガニスタンで旧ソ連と戦った筋金入りで、「サハラの海賊王」の異名を持つ伝説的な存在だ。フランス情報機関は「拘束不可能な人物」としていて、今回もまんまと逃げたという情報がある。

力の対決は負の連鎖を呼ぶ

 欧米が軍事力に任せて、力でねじ伏せようとしても、テロリストには通用しない。そんなことは明らかなのに、欧米はモグラたたきのごとく、軍事行動を繰り返す。それが新たなテロを呼ぶ。そこには大国のエゴや膨大な軍事力の維持、利権などさまざまな事情が見え隠れするが、要するに負の連鎖だ。

 「そこに格差の拡大や貧困問題も重なります。北アフリカのアクレブ地方は近年、欧米からの投資が盛んです。東欧よりも人件費が安いので、こちらに投資対象が移った。それが格差拡大と物価高を招き、貧困層を苦しめている。アラブの春でも指摘された社会問題が今度の事件の背景にも横たわっています」(孫崎享氏 = 前出)

 今回、テロリストは日本人も容赦なく、殺した。日本人も欧米の一員として敵視しているということだ。日本が米国ベッタリの外交姿勢を続ける限り、新たな犠牲者が出ることになる。そこをメディアはきちんと報じ、論じないと、安否情報に振り回された安倍政権と同じレベルになってしまう。  (転載終わり)

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