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高まりつつある「核保有論」

 -唯一の被爆国として核廃絶、恒久平和を謳った現憲法の精神は今いずこ-

 険悪化する一方の日中関係において、中国艦船による海上自衛隊艦へのレーダー照射事件だけでも、我が国にとっては重大問題なのに、その証拠の開示などどこかに吹っ飛ばす重大問題がまた、持ち上がってしまいました。
 今月12日の北朝鮮による3度目の核実験です。

 北朝鮮は11年12月の金正日前総書記死去後、金王朝3代目となる金正恩体制となっても、先軍主義なかんずく核開発の手を決して緩めようとはしません。
 それもそのはずで、世界の中でも有数の経済弱国である北朝鮮にとって、世界に伍して生き抜いていくために、「核保有」こそは初代の金日成以来の国是のようなものなのです。金前総書記も死去直前「核開発を続行すべし」と強く遺訓したそうです。

 米国が北朝鮮を攻撃でもしようものなら、同盟国の首都にミサイルを撃ち込み、「ソウル&東京を火の海にしてやる」と意気込まれるわ、韓国に駐留・滞在している3万人以上の米国人の命の保証は出来ないわ。
 その上北朝鮮の後ろには、米国が内心ライバル視している中国が控えているし。
 北朝鮮の核暴走に対して、同国を「ならず者国家」に指定している「元祖ならず者国家」の米国とて、ウカツには手出しできない状況です。

 今の東アジアにあって、韓国以上に微妙な立場に置かれているのが日本です。
 ご覧のとおり北の暴れん坊は核暴走するし、中国はしきりに挑発してくるし、ロシアとも難しい北方領土問題があり安倍政権の様子うかがいに領空侵犯はしてくるし。近隣では唯一のお仲間である韓国とも例の竹島問題でトラブっているし・・・。
 「前門の虎、後門の狼」がゾロゾロいるような危なっかしい状況です。

 我が国にとって、最大頼りになるのが日米安保の同盟国(盟主国)の米国ですが、二言目には「もっとカネよこせ」「ТPPに参加して丸裸になって我が国に市場開放しろ」などとの無理難題。尖閣問題でも、レーダー事件でもさほど頼りにはならないのです。
 そうしてみると米国こそが、日本の心臓部に食らいつく邪悪な「緑色の蛇」なのかもしれません。

 このように我が国は、外交・防衛・安保上関係諸国と幾重もの難解な問題を抱えています。これを一つ一つ解決していくのは、関係5カ国をもじって言えば連立5次方程式(式として成立するのかどうかは不明)の解を得るような至難さです。
 しかし今後とも東アジアの平和を維持し、我が国が栄えていくにはどんな難題でも解いて、一つ一つの外交問題を平和的に軟着陸させていく以外方途はありません。

 しかし今日、かかる正当な解決法によらない、やゝ、いなかなり異端な方法(禁じ手)で閉塞的な近隣関係を打開しようという論法が声高になりつつあります。

 ズバリ「核保有論」、つまり「日本も核保有すべし論」の広がりです。
 例えば最近の『日刊ゲンダイ』(2月19日号5面)の連載コラム『溝口敦の斬り込み時評』(月曜掲載)でこの問題を扱っています。
 溝口敦氏は暴力団情報に詳しいノンフィクション作家で、どらかというとリベラル派かな?と思っていただけに同氏の同コラムの内容は驚きです。

 私の前説がだいぶ長くなりましたが、以下に転載します。  (大場光太郎・記)

                       *
日本が「核を持つ」と言い出したらどうなるか?   溝口敦

 2月12日に北朝鮮が3度目の核実験を強行したことに対し、衆院本会議が14日、全会一致で抗議決議を採択した。
 「……一連の国連決議や6者会合共同声明、日朝平壌宣言に明確に違反し、……度重なる核実験は、国際的な核不拡散体制に対する重大な挑戦であるばかりでなく、唯一の被爆国のわが国として断じて容認できない暴挙であり、厳重に抗議し、断固として非難する……」
 こうした抗議を受けて、北朝鮮が核武装を断念するとは誰も思っていまい。

 ところで当コラムの読者である大物政治家の元秘書から、次のような提案を受けた。
 <北朝鮮が核武装するなら、わが国も自衛上核武装せざるを得ないと、安倍政権が言い出せば、一番日本の核保有を嫌がるのは中国だ。
 なぜなら日本が核を持てば、中国はロシア、パキスタン、インド、日本と四囲を核保有国で取り巻かれるからだ。それが嫌だから、中国は必死になって核開発を止めろと北を説得するだろう。北朝鮮が中国の制止を無視するなら、中国は金正恩を幽閉するぐらいのことは平気でやる。金正恩をさらわれたら、北は核開発どころでなくなる>

 日本は非核三原則を国是としている。核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませずだから、今、核武装を言い出せば、世論はたちまち紛糾しよう。だいいちアメリカが難色を示す可能性がある。
 元大物秘書は次のように反論する。

 <核はたとえ持ったところで、使えない兵器だってことは世界の常識だ。しかし、日本が非核三原則が国是だと胸を張っても、世界のどの国が日本を尊敬するというのか。脅せば弱いと侮られるだけ。
 1957年、当時の岸首相は「自衛権を裏付けるに必要最小限の実力であれば、私はたとえ核兵器であって持ち得るということを憲法解釈としては持っている」と述べている。岸の言う通り、日本でも持とうと思えば核は持てる。まして当時と状況が変わって、中国が持ち、北が持とうとしている。
 しかも核武装すると言い出すのと、実際に核武装するのとは違う。今、言い出せば、中国が真剣になって北を抑えにかかる。日本の政治家は、なぜこれぐらいの知恵が働かないのか、私は情けなく思う>

 産経新聞が2年前に行った世論調査では、政府や国会で核問題の論議を行うことに「賛成」と答えた人が86.7%を占めたという。北の核実験があったからには、核について国会で論議ぐらいはあってもいいのかと思う。  (転載終わり)

【最後に一言】
 産経新聞の「2年前の」世論調査は、文脈上当然福一原発事故以前なのでしょう。事故後国民の意識は相当変わっています。おびただしい原発の核燃料が核兵器に転用できることを、多くの国民が知り始めています。溝口敦氏ともあろうお人が、こんなデータを持ち出してはいけませんね。現時点で「不正」や「操作」のない世論調査を再度実施すべきです。
 問題は、「国会で十分論議しました。はい、お終い」とは100%ならないだろうことです。 

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