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フォレスタの「みかんの花咲く丘」

-折角の名曲、あっちこっち脱線しましたが最後までご一読く下されば幸甚です-

    (「フォレスタ - みかんの花咲く丘」動画)
     http://www.youtube.com/watch?v=9ffRwJ6TswQ

 戦後間もなくの昭和21年、当時人気絶頂の童謡歌手・川田正子(かわだ・まさこ)によって歌われたこの歌(作詞:加藤省吾、作曲:海沼実)は、今でも広く歌われ、国民的歌謡と言っても過言ではないと思います。
 小高いみかん丘から見はるかす叙情的な海の景観が目に浮かびます。歌詞もメロディも、全体が日本人の感性に訴えかける、ある懐かしい情感を呼び起こされます。
 当然のことながら、この歌は2007年「日本の歌百選」に選定されました。

 私は若い頃からついこの前まで、『みかんの花咲く丘』は、みかんが実っている季節つまり晩秋から初冬にかけての頃の歌とばかり思い込んでいました。しかしつい最近になって、タイトルが「みかんの花咲く」であることにハタッと思い当たりました。
 人によっては「そんなの幼稚園の時から知ってたわよ」「それがどうした?」「大勢に影響ないじゃん」というところでしょうが、単細胞な私にとっては驚きの発見だったのです(笑)。

 私は東北の山国出身で、他に自慢できるものは何もなくても、桜桃(「さくらんぼのこと)、リンゴ、洋梨、ぶどうなど果物だけは豊富にありました。しかしさすがに蜜柑など柑橘類は・・・。
 それで「みかんの花咲く」場面を見たことがないので何とも言えませんが、「♪りんごの花ほころび・・・」と同じく、盛春から晩春頃と見ていいのでしょうか?

 いずれにしても、今の早春の頃では有り得ないわけです。なのに今回この歌を取り上げたくなったのは、4年前のちょうど今頃の季節、この歌の一節を織り込んだ一文を公開したことがあったからです。
 場所は、「横浜三塔」のうちの「キング」と呼ばれている神奈川県庁本庁舎屋上です。ある夕方、真下(5階)の関係部署を訪問し予定より早めに用事が済んだので、昭和初期建築の時代がかった帝冠様式のこの建物の屋上に出て、間近い横浜港を眺めながら一服したくなったのです。

神奈川県庁 本庁舎
Kanagawa Prefectural Government
Kanagawa Prefectural Office.jpg

 屋上は同庁舎唯一の喫煙場所があり、職員数名がタバコを吸っていました。中に、若くて知的な感じの美人職員が一人、男性職員に混じって、海の方を見やりながら悠然とタバコを吸っている姿に驚いた、というようなことを書きました。
 今回は余談ばっかりの冗長な一文になりそうですが(苦笑)、屋上に誰もいなくなってからの同記述を途中から転載してみます。

                       *
 早春の淡い西日を浴びて、横浜港が大パノラマで一望できます。すぐ目に飛び込んでくるのが、何といっても左手の横浜赤レンガ倉庫、そして真ん中から右よりの大桟橋(横浜港大さん橋国際客船ターミナル)です。そのさらに右手は山下公園ですが、手前の大きなビルに阻まれて全体は確認できません。

 さらには向う岸の神奈川区や川崎市鶴見区などの途切れることなく建ち並ぶ建造物群が、夕霞に霞みがちに見えています。本夕さして風はなく、鶴見区の工場の高い煙突から白い煙がほぼ真上にもくもくと立ち上っているのが認められます。
 その間港内を中くらいの大きさの真っ白い客船が、ゆっくりこちらに向って来ます。少しすると、赤レンガ倉庫から張り出した停船所に着船しました。乗客を降ろすのでしょうか。

 横浜港に接する手前に、赤レンガ倉庫や大桟橋埠頭そして山下公園などに行くための、高架の遊歩道が見られます。老若男女さまざまな人がひっきりなしにそこを行き交っています。その道を中央部から視線を左に赤レンガ倉庫の方にたどってみると、なるほど名高い観光スポットの一つなわけです。その手前の道あるいは倉庫前広場に、小さな人影がいっぱい集まっているのが認められます。

 そうこうしているうちに、停船していた例の客船がまた出航していきました。新たな乗客を乗せ終わったのでしょうか。まるで亀の歩みのように、じれったいほどのろのろです。
 するうち、倉庫と大桟橋埠頭のちょうど中間くらいの海面でパタッと停まってしまいました。『んっ?』と思って見守ること何分か。そのうちゆっくりゆっくり時計回りに旋回し始めました。『そうか。あそこまで船尾方向から進んで、本来の向きに変えてるんだな』。そのとおりで、海面に丸いやや大きな波紋を広げてぐるっと180度向きを変えていきます。その時一瞬、見えている側の黒い船窓が西日にキラッと光りました。そしてまた何分かのじれったい停止。それから静かに動き出しました。

 後には小さな水脈(みお)を残しながら。一時大桟橋の陰に隠れ再び姿を現して、そのままゆっくり右手の港の外へと。
      ……  ……
    黒い煙をはきながら 
    お船はどこへ行くのでしょう
      ……  ……
 私は紫煙をくゆらしながら、『みかんの花咲く丘』を口ずさんでいました。お船は本当にどこへ行くのでしょう?早春の潮風に吹かれてどこまでも…。 (転載終わり)

                       *
 この『みかんの花咲く丘』を、中安千晶さん、白石佐和子さん、矢野聡子さん、吉田静さんの4人の女声フォレスタが歌ってくれています。
 前列の中安さん、白石さんの交互の独唱に、後ろの矢野さん、吉田さんのコーラス。いやあ、見事な「フォレスタのみかんの花咲く丘」です。

 まず初めは中安千晶さんの独唱。この歌唱の時の中安さんは、どこか少女らしさを残しており、その点彼女のこの歌の1番の独唱は納得できます。
 続いて1番後半、中安さんの独唱にかぶさるような白石さんのハモリあたりから、このコーラスが勢い盛り上がっていきます。

 既に削除された以前のフォレスタ動画のこの歌に、ある人が「『お船が遠く かすんでる』の部分の白石さんのコーラスには鳥肌が立ちました」というようなコメントをしていました。
 私は鳥肌こそ立ちませんでしたが、確かにそういう感想を持たれた人がいたとしてもおかしくないと思います。全員そうですが、特に白石さんの「お船が波に揺れているように」体を左右にゆったりと揺らしながらのハモリや2番の独唱、実にさまになっています。

 とにかくこの歌における白石さん、「白石佐和子 美人」の極みで最高のパフォーマンス、私個人的にはこの歌を「白石佐和子代表曲」としたいと思います。

 白石さんも中安さんも矢野さんも吉田さんも、とにかく心から楽しんでこの歌を歌っておられるようです。彼女たちにとって、おそらくこの歌は子供の頃から大好きな歌だったのではないでしょうか。
 心の底からの喜びの波動は伝わります。聴いていてストレートに感動が得られます。

 ピアノ演奏は南雲彩さんでしょうか?この歌の良さをうまく引き出している良い演奏です。近々フォレスタでは初の試みとなる「フォレスタピアノ発表会」があるとのこと。南雲彩さんをリーダーとして、吉野翠さん、山元香那子さん、大池栄里奈さん、4人のフォレスタピアノ陣名づけて「チームなでしこ」だそうです。大成功、陰ながらお祈り申し上げます。

 ところで、everstone04さんご提供のこの歌の動画の再生回数、とうとう『別れのブルース』(42,087回-2月25日未明時点)を抜いて、42,523回となっています。『別れのブルース』を女声フォレスタの代表曲と勝手に決め込んでいる私としては、少し複雑な気持ちですが、やはりフォレスタファンのこの歌唱への支持が多いということなのでしょう。

 (余談の余談)最近この両曲を抜いて、ある歌が遂に再生回数トップに躍り出ました。それは何でしょう?『恋のバカンス』です。42,526回。歌の良さもさることながら、「ゆうこりん&しぃちゃん」によるデュエットの、軽やかに踊りながらの、フォレスタでは前代未聞の歌唱スタイルが受けたのでしょうか?

【追記】
 今回は余談、脱線だらけの、やけに長ったらしい『フォレスタの「みかんの花咲く丘」』になってしまいました。どうせだから、余談ついでにつけ加えさせていただきます。

 つい先日の小雨がちの夕方、また神奈川県庁本庁舎を訪ねた折り屋上に上ってみました。当然赤レンガ倉庫も大桟橋も雨にけぶり、人影もほとんどありませんでした。右手の山下公園途中に突き出た氷川丸も、同公園と山下通りを挟んだ「手前の大きなビル」も雨にけぶって・・・。
 その時の私が特に注目したのが、そのビルのある街区のことです。同ビルの2つほど先に、私が所属しております神奈川県○○書士会事務局も入っている産業貿易センタービルがあり、さらに2つ先くらいに「ホテルニューグランド」があるはずです。

 このホテル名を聞いて、ある歌を思い浮かべた人は相当の「通」です。そうなのです。「平成のブルースの女王」吉田静さんが名唱した、昭和モダニズムの名曲『別れのブルース』が誕生した由緒あるホテルなのです。
 戦前の昭和12年頃のある晩、作詞家の藤浦洸(ふじうら・こう)がこのホテルの3階の一室に宿泊し、その部屋の窓越しから「メリケン波止場」(今の大桟橋の前身)など港夜景を眺めながら、この歌の歌詞を着想したのです。

関連記事
『神奈川県庁本庁舎にて(2)』
http://be-here-now.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-eaf9.html
『美しすぎるフォレスタ』(「別れのブルース」中心記事)
http://be-here-now.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-1920.html
『「別れのブルース」秘話』
http://be-here-now.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-aeeb.html
『フォレスタの「恋のバカンス」』
http://be-here-now.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-8a07.html

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フォレスタコーラス」カテゴリの記事

コメント

 しばらく前にネット内を歩いていて、フォレスタという言葉に気ずき貴サイトを覗かせて頂きました。
以降時折訪問させていただいておりますが、各曲の意味・背景などのご説明の造詣の深さに感嘆いたしております。私は、これまで音楽に無縁の生活を送ってきましたから、より一層であります。
 そう言うことですから、解説内容に関してはコメント不能ですが、数字に関してひとことだけ。「別れのブルース」が「みかんの花咲く丘」に抜かれたとありますが、「花の街」はもっと多いと思います。もちろん、youtubeにアップされた時期は早いのですが。
 以上、意味のないコメントで失礼しました。

投稿: 通行人 | 2013年2月26日 (火) 20時51分

通行人様
 コメントありがとうございます。また過分なるお褒めをいただき恐縮に存じます。
 私のフォレスタ記事を読んで、フォレスタファンの方々が、取り上げた歌をより一層好きになっていただければと、浅学非才をも顧みず記事作成させていただいております。
 通行人様は、昨年あたりからのファンなのでしょうか?私も実は昨年1月初旬まではフォレスタをまったく知らなかったのです。これは何度も述べたことですが、たまたま聴いた『フォレスタの別れのブルース』動画にしびれて以来の、同じく日の浅いファンの一人です。
 フォレスタは国内外の名歌曲を幅広く歌っていますから、「音楽」を知るには絶好のコーラスグループですね。
 ご指摘の『フォレスタの花の街』、YouTube動画でダントツの再生回数なのは私も把握していました。ただ(説明不十分だったかもしれませんが)今回は「everstone04さん」提供動画のみに限定しました。
 『花の街』、もちろん良い歌で、私の高校時代の特別の思い出の歌なので、昨年4月に記事にしています。
 今後とも当ブログお気軽にご訪問ください。また何か気がついたことがありましたら、いつでもコメントしてください。

投稿: 時遊人 | 2013年2月27日 (水) 00時41分

 時折、拝見いたしております。今回、追記のほうで教えられ、いうなればお礼のコメントです。藤浦洸の『別れのブルース』の作詞のいきさつですが、昭和12年にホテルニューグランドの3階で着想してできたという話に「へーそうだったの!」です。メリケン波止場は神戸に今もありますから、てっきり神戸港かと思ってました。ははは。(私は神戸の人間で、東京には数えるほどしか行ってませんし。横浜は未訪問です)。半世紀間、思い込んでいたことが粉砕されることは楽しい刺激です。今度、ぜひホテルニューイングランドを訪れてみたいです。

投稿: 秋山 小兵衛 | 2013年2月27日 (水) 12時53分

秋山 小兵衛 様
 コメントどうもありがとうございました。
 そうでしたか、神戸にお住まいですか。それなら「メリケン波止場」は神戸港の、となっても何らおかしくありませんね。私のように、この歌を、みかんの強いオレンジ色につい幻惑されて(笑)「蜜柑の実の実る丘」と思いこんでいた度し難いレベルとはまったく違います。
 だってそもそも「元祖メリケン波止場」は神戸港の方ですものね。それについては『「別れのブルース」秘話』でも触れましたが、すぐ近くにアメリカ領事館が置かれていたので、「アメリカン」が訛化して「メリケン波止場」となったようですね。
 異人館などがあり異国情緒たっぷりの神戸の港、『別れのブルース』を神戸のイメージとして聴いたり、歌ったりしても何ら違和感はないと思います。
 なお藤浦洸先生は昭和30年代前半、NHKのクイズ番組だかに出ておられましたよね。長身で、メガネをかけて、物腰の柔らかなダンディな人だったように記憶しています。今となっては懐かしい人ですね。

投稿: 時遊人 | 2013年2月27日 (水) 19時08分

時遊人さん  コンバンワ
 先日は、つまらないコメントをして大変申し訳ありませんでした。
おまけに、「花の街」についてもとっくに記事を書かれていらっしゃったとは。 早速、読ませて頂きました。
時遊人さんの特別の思い出、いいですね。また、女声三人の演奏についての解説・感想も同感です。この曲は、youtubeにあるフォレスタ曲のなかでは、コメントが多数寄せられていますよネ。賛否があり、人間の感性とは面白いモノですね。
所詮は、好きか嫌いかの問題でしょうが。
 >昨年くらいからですか?
もうちょっと前からです。TVのチャンネルを回していてBS4で偶然見つけました。youtubeもなかった時代だと思います。
 この次は、どんな曲を記事にしていただけるか楽しみにしております。
吉田静さんファンとお見受けしましたから、「別れの朝」などですかアー。
2012年バージョンから吉田さんの出番が増えましたから楽しみですね。

投稿: 通行人 | 2013年3月 1日 (金) 20時06分

 どうもありがとうございます。
 フォレスタファン歴が長い方々に向かって、新参者が好き勝手なことを述べさせていただき恐縮に存じます。昨年末の『蛍の光』でも触れましたが、各フォレスタ記事を通して、共々「有意義な共同創造」ができれば、と考えます。
 『花の街』は再生回数もさることながら、コメント数もダントツですよね。多分この方ご提供のフォレスタ動画は少なく、「削除される恐れがない」ということもあるかと思われます。それにしても、こういうのは削除した方がいいんじゃないの?と思うような荒れた「否」コメントが目立ちますね。まあこれも、確実にファンの裾野が広がったことの裏返しかもしれませんけど・・・。
 実は『吉田静曲』出し惜しみしてるんですよ、ついもったいなくて(笑)。

投稿: 時遊人 | 2013年3月 2日 (土) 00時38分

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