レーダー照射事件-日中戦争にまた一歩近づいた?
-緊迫する難解な外交方程式、安倍政権で「平和解決」という解が出せるの?-
政権担当能力ゼロの民主党政権下で、尖閣沖中国漁船衝突事件や尖閣国有化問題、竹島問題などで、中国や韓国との関係がかつてないほど悪化しました。
その点かつての穏健保守路線の旧自民党とは違う極右安倍政権とは言え、半世紀も続いた自民党の外交上のノウハウは引き継いでいるはず。ならば諸外国との外交上の駆け引きなどお手の物と思いきや。
ラッキーにもちょうどグローバルな経済的上げ潮機運にも乗り、思惑通りの「円安、株高」で国内経済もここのところ順調気配です。その後押しもあって、1月に起きたアルジェリア人質事件では安倍首相以下、現政権幹部が民主党前政権とあまり変わらない外交無策ぶりを早くも露呈したのに、逆に内閣支持率は急上昇です。
しかし今月に入ってまたも厄介な外交・防衛問題が持ち上がりました。
1月30日、東シナ海において中国海軍所属のフリゲート艦「ジャンウェイ」が、海上自衛隊の護衛艦「ゆうだち」に向けて火器管制レーダーを照射したというのです。
この事実を2月5日に発表した小野寺五典防衛相は、その後の衆院予算委員会で「国連憲章上、武力の威嚇にあたるのではないか」と、中国側を強く牽制しました。
これに対してしたたかな中国政府は、「日本政府による捏造だ」と全面否定しています。結局「やった、やらない」で、中国お得意のうやむや幕引きを図りたいのでしょう。
これで引くに引けなくなったのが日本政府です。ならばとばかりに小野寺防衛相、「証拠はある。開示する」とヒートアップ。
不正選挙に乗っかって誕生したのかもしれない安倍政権でも、いくらなんでも国際社会に向かって起きもしなかったことを「起きた」とは言わないでしょう。中国艦船からのレーダー照射は間違いなくあったとみるべきです。
それでなくても中国軍の日本に対する挑発行為は過熱する一方です。
年明け早々から、中国戦闘機が日本の防空圏内に入り、軍幹部らは「軍事衝突」を示唆する発言を繰り返しています。例えば中国人民解放軍を指揮する総参謀長が全軍に対し、2013年の任務について「戦争の準備をせよ」との指示を出していたといいます。
つまり軍はこの方針に沿って動いているとみられ、今回のレーダー照射もその一環ととらえるべきです。
ますます経済大国化、軍事大国化していくお隣り中国に対して、日本にとっての頼みの綱は米国です。実際日本政府は今回の事件について、米国に事前通告してから公表したといいます。しかし米国の反応は期待していたほどではなく、米国内でさほど大きなニュースにもならなかったようです。
11日になってようやく、米国務省のヌランド報道官が、「レーダー照射があったことを確信している」とコメントし、中国側に懸念を伝えたことを明らかにしました。
しかし米国の善意もここまででしょう。なぜなら米国にとって中国は今や巨大な生産拠点であり、投資先であるからです。いたずらに中国を刺激すれば「財政の崖」状態の米経済が大打撃を受けかねないからです。
元外務省国際情報局長の孫崎享氏が言うように、「米国が東アジアで最も重要視している国は中国」なのです。だからこの事件のみならず今後の日中間のゴタゴタ解決に、米国が本気で乗り出すなど期待しない方がよさそうです。
中国軍首脳は「もし日中戦争になったら日本にミサイルを撃ち込む」と、物騒な発言をしているといいます。このように最近中国の日本への挑発はエスカレートする一方です。しかしなぜそうなっているのか、その背景を考えた方がよさそうです。
確かに胡錦濤体制から習近平体制へと移行しつつある中国国内事情が背景にあるのでしょう。しかし同時に、「親米反中」の安倍晋三が我が国の首相として登場してきたことも大きな要因なのではないでしょうか。
年初の『今年の年頭に思うこと』で、五木寛之氏の次の言葉を引用しました。
「もし世の中に、時代の潮目というものがあるとすれば、2013年こそはその分岐点かもしれないと思う。
時代の転換期は、雪崩のようなものだ。雪崩から身を守る智恵はあっても、雪崩を防ぐ方策はない。天災も、恐慌も、戦争も、「忘れた頃にやってくる」のである。」
近代史における日中戦争の発端がまさにそうだったではありませんか。昭和12年(1937年)7月7日、北京西北郊外の盧溝橋付近で日中両軍が対峙していました。深夜中国国民革命軍の方から一発の銃声が聞こえてきました。
それは単に偶発的に発砲されたものでしたが、中国進出の機会をうかがっていた日本軍にとってはまさに好機到来、以後大規模戦闘に発展し、日米戦争にも直結する泥沼の日中戦争の幕開けとなったのです。
以来75年余を経て、日中は攻守所を変えています。多くの側面において中国が優位に立っているのです。「日中もし戦わば」、いづぞやも見たとおり、国土面積、人口比、資源において十分の一に過ぎない我が国は長期化すればするほど不利になります。
日本全土が火の海になりかねないことを考えれば、外交による平和解決が最上策です。相手は確かに米国といい勝負かもしれない覇権国家ですが、決して挑発に乗らないことです。「逆・盧溝橋事件」にでもなったら塗炭の苦しみを味わうのは国民なのです。
本質が「戦争屋」の安倍首相に、果たして中国との平和外交という視点があるのかどうか。「(前政権で)靖国神社に参拝しなかったのは痛恨事」などと中韓を刺激するようなことは、思っていても言わないに限ります。
まずはあらゆるルートをたどって、中国首脳との会談の実現を目指し、東アジアの安定に向けた忌憚ない意見交換をするべきです。
(大場光太郎・記)
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