« 橋下市長は米国に潰される? | トップページ | 燎原の火となれ ! 反TPP「山形の乱」 »

フォレスタの「蛙の笛」

  夜の蛙(よのかわず)遠き故郷を曳(ひ)きて鳴く   (拙句)


    (『フォレスタ 蛙の笛-コンサート版』YouTube動画)
     http://www.youtube.com/watch?v=_xoU5gyJgZE


 当地では早や田んぼに水が張られ早苗植え渡されたからなのか、(普段とは別ルートで)現住居に向かう近くの小河川沿いの道を夜歩いていると、向こう岸の方から川のせせらぎに負けないほど賑やかな蛙の鳴き声が聞こえてきます。
 以前の記事で書いたことがありますが、急速な宅地化のあおりを受け居住地付近から夜蛙の声が年々遠のいていきつつある現状を思うと、しみじみ懐かしい夏の夜の風物詩の一つとの感を深くします。

 そこで、と言うことばかりではなく。フォレスタの『蛙の笛』、今まで言いませんでしたが、実は私の「隠れたお気に入り」の一曲なのです。お恥ずかしい話ながら、2年前フォレスタで聴いたのが初めてだったかと記憶しています。
 以来この歌自体の良さと3女声の歌声に魅了され、気分がふさぎがちな時など季節を問わずこの歌が聴きたくなり時折り聴いてきたのでした。

 そして4月のこの歌の動画の削除以来1ヵ月余経過したちょうどぴったりのこの時期、『誰か早くこの歌をアップしてくれないかなぁ』と思っていた矢先、takeharu ueharaさんが動画アップしてくださいました。少し長くなりましたが、『チャンス到来 !』とばかりにこうして今回取り上げることになった次第です。

 『フォレスタコーラス』でもたびたび述べましたが、私は山形県内陸部の旧・宮内町の出身です。山形県は別名「蛙王国」と言われるほど(注 言われていません。今私が勝手にそう命名しただけです・笑)、まあ「蛙の笛」の賑やかな土地柄です。他に何はなくても蛙の声と漬物だけはどこに行ってもついてきました。(そうそう、冬は雪もたっぷりありました。)

 そんな中ひときわ印象深い「蛙の笛」の思い出があります。
 私が高校1年の6月中旬頃のこと。当時私は某スポーツ部に所属していましたが、同学年のS君と親友になりました。そのS君の誘いで、ある土曜日部活が終わった夕方彼の家に遊びに行くことになったのです。
 何でもS君が言うには、「オレの家さ泊ってよ、あした一緒に“あやめ祭り”見に行くべ」ということなのです。
 私の高校のあった長井市には、「あやめ公園」というあやめばかり100万株も植えられた広大な公園があります。あした(日曜日)ちょうどそこのお祭りだというのです。滅多にない機会なので、私もそれに乗っかることにしました。

 S君の家は長井市郊外の集落の中にありました。周り中を田んぼが囲む一軒ぽつんとある農家でした。けっこう堂々たる家構えで中農クラスと見ました。
 そうして彼の家の薄暗い夕暮れ時の一部屋で彼と何事かたわいない話をしていました。すると突然隣の部屋の襖が開いたと思ったら、そこから女の子の白い顔がぬっと現われたのです。一瞬ビクッとしましたが、その子は私たちのいる部屋に入ってきて、私の方を向いて「お晩です(こんばんわ)」と言ってペコっと頭を下げて台所の方へ向かって去って行きました。

 「妹だ」とS君。確かにそうには違いないが、ちらっと素早くしっかり見るに(笑)なかなか可愛い子ではありませんか。2つ違いだそうですが、私のようなハンサムボーイ(もちろん冗談です)と違うS君に、こんな可愛いらしい妹さんがいたとは。

 食事もご馳走になって、S君の部屋で寝させてもらいました。すると俄然気になり出したのが、周り中から押し寄せてくるゴージャスな「蛙の笛」です。先ほど述べたとおり山形は蛙王国ですが、その時の合唱・合奏は度を越した、空前絶後、前代未聞なものでした。
 その凄まじい鳴き声と、枕が違ったこともあってかなかなか寝つけませんでした。寝つけない理由としてもう一つ。先ほどの妹さんの白い顔がちらついて・・・。

 しかしいくらうるさいほどけたたましく鳴いている蛙の声でも、自然界の「1/f ゆらぎ」を内蔵しているのに違いないのです。人間がガナリ立てる深夜のカラオケ騒音とはまるで違います。私はいつの間にかぐっすり寝込んでいたのでした。

                       *
 『蛙の笛』は戦後間もなくの昭和21年、作詞:斎藤信夫、作曲:海沼実によって作られた童謡です。当時の国民的歌手・川田正子が歌いました。
 この二人の作詞・作曲コンビの歌としては、他に『里の秋』『ばあや訪ねて』『夢のお馬車』が有名です(みな素晴らしい童謡ですよね !) 海沼実については、『みかんの花咲く丘』の作曲者でもあることを特記しておきます。

 歌詞もメロディもシンプルながら、メルヘンチックでとっても味わい深い名童謡です。聴くほどに、ある懐かしい情感が呼び起されます。

 ここでは、斎藤信夫がこの歌の作詞した経緯について簡単にご紹介しておきます。
 斎藤は戦時中小学校の教員をしながら童謡の作詞をしていました。当時のご多分に漏れず斎藤も子供たちに「お国のために尽くせ」式の皇国教育をしていたそうです。しかし戦後その過ちに気づき、教員を辞めました。しかし戦後すぐのこと、新たな就職先がおいそれと見つかるはすがありません。 

 昭和21年(1946年)4月12日の夜ふけ、明日はどこへ出かけようと、疲れ果てて横になった寝床へ―コロコロ コロコロコロと、冬眠から目がさめたばかりの蛙のかわいい声が聞こえてきました。それが、悶々としてやるせない胸には―ガンバレヨ ガンバレヨ―と聞き取れるではないか。そうだ、蛙の言う通りだ。万物の霊長たる人間が、これしきの事で、何たるざまだ、よし頑張ろう、ついては、優しく励ましてくれた蛙たちに、思い切り早春の夜の美しい歌をプレゼントしようとして書いたのが、この「蛙の笛」(作品番号 3561)です。
 (斎藤信夫『童謡詩集 子ども心を友として』(成東町教育委員会)より抜粋)
 
                       *
 この『蛙の笛』を歌っているのが、中安千晶さん、矢野聡子さん、白石佐和子さんの3人の女声フォレスタです。3番まであるうち、1番を中安さんが、2番を矢野さんが、3番を白石さんがそれぞれ独唱しています。

 皆さん互いの声の特質を生かした素晴らしいソロですが、今回は特に1番ソロの中安さんに注目してみたいと思います。
 今年4月に削除された以前のeverstone04さん提供のこの歌の動画に、ある人が「中安千晶さん。この歌あなたにピッタリ !」というようなコメントをしていました。これに私もまったく同感です。

 最近は熟女美が加わった感のある中安千晶さんですが、この歌頃まではどこか少女の名残りが感じられ、その声質も合いまって「童謡なら中安さん」という評価が定まっていたように思います。
 それを証明するように、さらに以前のloveforestaさん提供動画のある歌に、「中安さんは平成の童謡の女王だ」というようなコメントがありました。このコメントは、その前の吉田静さんへの「平成のブルースの女王」の称号に対抗した、熱烈な中安ファンと思しき人からと思われます。
 中安さんの1番独唱、本当に「この歌の心」が理屈なしで伝わってきます。

 この歌のピアニストは大池栄里奈さんですが、しなやかな指の動きとともに、体全体でゆったりとリズムを取りながら弾いています。
 これはおそらくこの人の持ち味なのでしょう。それが際立っていたのが『オー、シャンゼリゼ』です。男声・女声コーラス陣がグルッと囲む中、中央にデンとピアノが置かれ、大池さんはまるでジャズ演奏のように軽快に体をくねらせながら熱奏していきます。

 コーラス陣がすべて歌い終わりピアノで締めるにあたって、グイと体をのけぞらせ両手をポ~ンと高く持ち上げて、「どうだ。やったぜぃ !」と言わんばかりの終わり方。私はびっくりして『大池さん。いくら何でも目立ちすぎだよ』と思ってしまいました。
 が、くり返しますが、これが大池さんの持ち味の一つというべきなのでしょう。(ですから、今後ともどんどんやってくださいね・笑)
 
                       *
 ところでこの歌の蛙は、「コロロ コロコロ」と本当に美しい笛のように鳴くようです。しかし郷里でたっぷり聴いた私の実感では、いつ聴いても「ゴロゴロ グワッグワッ」としか聴こえませんでした。土地の人間がズーズー弁であるように、田舎蛙もやっぱり訛っていたものなのでしょうか?
 と気になって、今回当地(首都圏周縁部)の準シティ蛙の鳴き声をじっくり聴き直してみました。しかしおかしいなぁ。やっぱり「ゴロゴロ グワッグワッ」としか聴き取れないのです(笑)。

 末尾ながらー。この歌が今後とも長く歌い継がれていきますように。
 それとともに、蛙や木々の緑など自然万物と共生・融合した都市形態にこの文明が一刻も早く「進化」しますように。

参考・引用
『童謡 「蛙の笛」 - 輝きの時』
http://blogs.yahoo.co.jp/maskball2002/60677263.html
関連情報
『長井市観光ポータルサイト』(「あやめ公園」案内)
http://yamagata.kankou-nagai.jp/ayame/
関連記事
『フォレスタの「みかんの花咲く丘』
http://be-here-now.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-7a36.html

|

« 橋下市長は米国に潰される? | トップページ | 燎原の火となれ ! 反TPP「山形の乱」 »

フォレスタコーラス」カテゴリの記事

コメント

長井市の隣町の出身の団塊世代です。これも縁だと思って、「蛙の笛」のことについて一筆したためました。幼少のころから動植物に親しんできましたが、それからほとんど進化しないまま今日に至っています。古里の山河は変わり果ててしまいましたが、イワナを手づかみにした谷川やリスを追いかけた松林は、昨日のように覚えています。
 さて、本論ですが、「コロロ・コロロ・コロロコロコロ・・・」と鳴くカエルは本当にいます。名前はシュレーゲルアオガエル、外人さんの名前が付いていますが、れっきとした在来のカエルで、モリアオガエルの親戚です。林のそばの山里のカエルで、平野部や盆地ではほとんど聞くことができません。夏の夜に田んぼに囲まれたS君の家で聞こえてきたカエルの声は、たぶんアマガエルです。小さい体に似合わない大声の持ち主で、一斉に鳴かれると慣れない人は眠れないぐらいの大音響です。
 シュレーゲルアオガエルは、南陽市付近でしたら、吉野川をちょっとのぼった山間の田んぼ近くにいるはずです。ちょっと肌寒く、ほかのカエルたちが目覚めていない早春のころ、鈴を振ったような軽やかな声が聞こえてくるはずです。是非一度、山里の「月夜の田んぼ」を訪れてみて下さい。

投稿: INONO | 2015年4月21日 (火) 00時54分

INONO様

 貴重なコメントをいただき大変ありがとうございました。

 当ブログには時たま山形の方がコメントをお寄せになりますが、INONO様は長井市の隣町とのこと、いやぁ懐かしいですね。しかも同じ団塊の世代とのことで本当にご縁を感じます。

 ああそうだったんですか。「コロロ・コロロ・コロロコロコロ・・・」と鳴くカエルが、実際いるんですか。おっしゃるとおりアマガエルは一般的ですが、本文の中ではとんだ無知をさらしてしまったわけですが、「シュレーゲルアオガエル」のことしっかり学ばせていただきました。

 ブログ記事の中でも書くことがありますが、人間幾つになっても知らないことがたくさんあるものです。しかしそれが何かのきっかけで知ることが出来た時、「知るを楽しむ」でそれもまた一つの喜びになります。

 いつか帰省の折り吉野川上流まで足を伸ばして、「コロロコロコロ・・・」とこの歌どおりに綺麗な声で鳴く「蛙の笛」を間近で聴いてみたいものですね。ありがとうございました。

投稿: 時遊人 | 2015年4月21日 (火) 04時46分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 橋下市長は米国に潰される? | トップページ | 燎原の火となれ ! 反TPP「山形の乱」 »