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学生奨学金取り立て地獄の実態

 -ここのところ「奨学金づいて」いて、関心のない人には申し訳ありませんが-

 何というタイミングの良さか。10月8日号『日刊ゲンダイ』の「サラリーマン特集」コーナーで「学生奨学金」について取り上げたではありませんか !
 後に全文転載しますが、あまりいい話ではなく、「昔と違って」滞納したらアウトで厳しい「取り立て地獄」が待ち受けているというのです。

 「Oh ! My God !」それを日本では「クワバラ、クワバラ」と言うのか、私は昔を思い出して思わず首をすくめてしまいました(笑)。
 前回の『日本育英会奨学金の思い出』の後日談ということになりますが、「喉元過ぎれば奨学金の返済忘れる」、私自身「滞納」の覚えがあるのです。

 滞納の次第はざっと以下のとおりです。
 私の場合、高校生への特別奨学金で、月額3,000円の貸与額のうち、半分の1,500円について返済義務がありました。総額は、1,500円×12月×3年=54,000円。今の価値では、10倍として54万円。それを年何回か、10年か15年で払い切るというものだったように記憶しています。

 いくら薄給でも払えないということはありません。実際当初の3、4年はきちんきちんと払っていました。むしろ仕事を覚えて世間並みの給料がもらえ出した頃から、ズルをし始めたのです。
 1回払い忘れたことがありました。しかし日本育英会は何も言ってきません。それでつい気が緩んでズルズルと払わなくなっていったのです。

 以来2年間ほどまったく返済しませんでした。その間育英会からは依然音信なし。純朴だった田舍少年も多少世間ズレして変な知恵をつけ、
 『もう払わなくてもいいんじゃないの?』
と、思っ矢先。「天網恢々(てんもうかいかい)粗(そ)にして漏らさず」「育英会の督促は忘れた頃にやってくる」
 ある日育英会からの一通の文書を受け取りました。案の定それは督促状には違いありませんが、今日的な剣呑(けんのん)なものではなく穏やかな内容でした。

 ただその中に、ズシリと心に響く一節がありました。
 「貴殿が返済したお金を、貴殿と同じように就学困難な次世代の人たちの支援に振り向けることが出来ます。」
 これには参りました。私自身そうして、本来行けなかった高校に進学出来たのですから。それを読んで心を改め、返済が滞っていた分と将来払うべき残債を、一括か2、3回分割かで完済したのでした。
 
 昭和40年代の日本育英会はかくもおおらかなものでした。
 しかし今はとてもそんな悠長なことではなく、少しでも滞納すれば「鬼の取り立て」が待っているというのです。米国丸写しの冷酷非情社会の一つの縮図ですが、まさに隔世の感を深くします。  (大場光太郎・記)

                        *                   
昔と違って滞納したらアウト
学生奨学金取り立て地獄  (『日刊ゲンダイ』10月8日号)

 大学全入時代となって久しいが、長引く不況で親の支援を受けられない苦学生が多い。

 そこで頼りになるのが、日本学生支援機構(旧日本育英会)の奨学金だ。無利子の第1種と金利のかかる第2種の2つがあるが、第1種は成績や親の年収制限があり、昔のようには簡単に借りられない。実際、11年度は第1種が約10万人に対し、第2種が約30万人と第2種が圧倒的に多かった。

 第2種の金利は、固定と変動の2種類。9月現在の金利は、固定が0.99%、変動が0.3%だ。国から予算が出ているだけに銀行より良心的と言える。返済は、卒業した年の10月から始まり、基本的に15年間で完済する。もちろん、借りたものは返すのが当たり前。しかし、仕事が長続きしなかったり、会社の倒産や病気などで返済が滞る場合もある。11年度は268万人が返済中だが、うち滞納者は12%に当たる33万1000人に上った。

ダメ息子はヘタに大学に入れない方が身のため

 さて、ここからが本題だ。今の奨学金は、よほどの事情がない限り滞納したら最後、容赦ない取り立てが待っている。日本育英会時代のおおらかさは、もうない。情報関連会社に勤めるAさん(47)がこんな話を打ち明ける。
「実は、甥が就職に失敗して奨学金の返済を滞らせ、督促が保証人の私のところにも
きた。延滞金は年10%で、これでは国の奨学金どころか、単なる学生ローンです」

 甥は、第1種奨学金を月額6万4000円(私立・自宅外生の上限)で4年間、第2種も月額5万円を4年間借りていた。総額は約547万円。月々3万円ちょっとすら返済できないのに、その10%の3000円の延滞金は痛い。大学関係者がこう言う。

「1回、口座引き落としができないと督促が始まります。督促電話は平日、休日を問わず、夜9時まで続き、本人の勤務先にも来る。そして滞納が3カ月続くと、完全にアウト。機構は債権回収会社に債権を回す。その際、クレジットカードは停止し、個人信用情報機関のブラックリストにも登録される。ここで親が慌てて返済しても、ブラックリストの情報は5年間消えません」

裁判所の強制執行も

 債権回収会社の取り立ても容赦ない。
「裁判所の強制執行や一括返済を求めてくる。返済しない場合は、給料や財産が差し押さえられます」(前出の大学関係者)

 Aさんがこうため息をつく。
「そもそも甥は、学力的には大学に行くレベルになかった。高校の教師に進学を勧められ、入学したのが、ABCDEの学力模試の合否判定にも載らない誰でも入れる“Fランク大学”です。私の頃の先生は、頭の悪い生徒は地元企業を回って、〈野球部で3年間まじめに補欠をやった〉と必死に就職を頼み込んだもの。今の先生はそんな面倒くさいことを
せず、Fランク大学に放り込む。奨学金もあるから大丈夫でしょという感じです」

 「高校が悪い」――。そう嘆いてみても、奨学金の返済額は1円たりとも減るわけではない。  (転載終り)

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『日本育英会奨学金の思い出』
http://be-here-now.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post.html

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