吉田静さんの「津軽のふるさと」
(2013.06.08吉田静-「津軽のふるさと」-YouTube動画)
http://www.youtube.com/watch?v=fFPl5B-nwws
地霊の氣(ちれいのき)吸いて津軽の林檎かな (拙句)
少し前のことになりますが、女声フォレスタメンバーの吉田静さん熱唱による『津軽のふるさと』が、YouTube動画にアップされました。
メゾ・ソプラノとして、アルトの低音域からソプラノの高音域までの広い音域を豊かな声量でカバー出来る吉田さんは、女声フォレスタに欠かすことの出来ない存在です。
しかし今回の『津軽のふるさと』は、フォレスタを離れて、吉田さん独自のソロコンサートとしてお歌いになったものです。
動画タイトルは『2013.06.08吉田静』となっています。今年の6月8日、都内某ホテルで、アジア留学生に対する奨学金授与式が執り行われ、その一環として「吉田静コンサート」が催されたもののようです。
主催したのは「公益財団法人 ヒロセ国際奨学財団」です。動画中のステージ背面幕上部に、同財団名に続いて下に「平成25年度 奨学金授与式・交流会」と横書きされたのが映し出されています。
まあ吉田静さん、顔がお広い ! いつの間にこんな凄い財団に当たりをつけられたんですか?(笑) 推察するに、理事長(中村達郎氏)またはある理事の方がフォレスタファンなかんずく熱烈な吉田静ファンで、その人の発案で実現したものなのでしょうか?
私はそれまで知りませんでしたが、これをお読みの皆さんもそうかもしれません。切角ですから、同奨学財団の概要を以下に紹介させていただきます。
「公益財団法人 ヒロセ国際奨学財団」は、アジア諸国からの留学生に対して奨学援助を行い、諸国間の友好親善と人材の育成に寄与することを目的として、1995年(平成7年)に発足しました。発足以来、財団の事業は年々着実に拡充されてきており、平成23年度の年間奨学生数は147名に達し、発足以来の累計は1,000名を超えました。
我が国では、現在約14万人の留学生が学んでおり、そのうち9割以上がアジア諸国からの留学生だといいます。ということは、12万6千人以上がアジア諸国からの留学生ということになり、ヒロセ国際奨学財団の果たしている役割は大変大きなものがあります。(以上、同奨学財団ホームページの「理事長の挨拶」を引用)
なお我が国にはもう一つ、奨学制度の老舗である日本育英会(私もお世話になりました)を前身とする日本学生支援機構(JASSO)があります。こちらは、国内、海外から留学の高校生、大学生に奨学金を支給・貸与する制度です。
私は天下り独立行政法人などの原則撤廃派です。しかしヒロセ国際奨学財団などの事業は大賛成です。むしろもっと規模を大きくし、もっともっと授与対象者数を増していただきたいくらいです。
洩れ聞くところ、諸外国の留学生たちの多くは来日費用に200万円ほどかかり、その上日本に来てからも学費、生活費の捻出に大変苦労しているといいます。
人物考査、学業成績、生活困窮度を精査の上、支給・授与対象を14万人全留学生に広げていただきたいと思います。そんなにまでして留学のため来日してきたということは、日本の教育レベルか日本という国かに憧れを感じたからに他なりません。
留学生たちが後で振り返って、「日本での4年間が我が人生で最高の思い出だった」と懐しむような、受入れ国日本のサポート体制であってほしいと思うのです。
*
このような形式のコンサートに出濱された吉田静さんは、人種的偏見や差別のない人なのでしょう。そのことがまず嬉しいですね。
それは、歌の前の「語り」(「MC」というのでしょうか?)にもよく表われています。
フォレスタ動画では歌声だけでしたが、今回初めて話し声も聴かせていただきました。歌声同様低めの艶(つや)のある落ち着いた声で、アジア諸国の留学生が座っている会場全体を包み込み、和めるようなやわらかな話し方です。
ソロコンサートはいざステージに上ってしまえば、頼るのは自分一人のみ。会場の人たちは歌だけではなく、その歌手がかもし出す雰囲気やMCなどトータルで注視しているわけです。そういう晴れの舞台に立ったことのない私などは、想像するだけで身震いする厳しい世界です。
吉田さんはブログで、「MCは大の苦手で、永遠の課題です」というようなことを述べておられますが、なかなかどうして。堂に入ってます。今後場数を踏み、さらに自信をつけていかれれば、「名MC間違いなし !」と思います。
それまで何曲かの「日本・こころの歌」を歌われ、ラストの歌が『津軽のふるさと』です。それまでの曲がどういう曲だったのか分らないのが残念ですが、いずれにせよ吉田さんにとってこの歌こそ同コンサートの棹尾(とうび)を飾るべき歌だったわけです。
「リンゴのふるさとは・・・」 歌い出しのこのフレーズを聴いただけで、ゾクッとしてしまいました。だって、さっきまでのソフトな語りとはまるで違うのですから。優れた歌手にはこういうギャップがまゝあるようです。スイッチ・オンというのか、いきなりトップギアというのか。
一言で言えば、美空ひばりその人が乗り移ったかのような凄みのある『津軽のふるさと』です。
フォレスタとしては既にこの歌をカバーしています(当ブログでも『フォレスタの「津軽のふるさと」』記事あり)。独唱は、「津軽」(青森県)がふるさとである小笠原優子さんでした。それだけに小笠原さんの歌唱も素晴しく、誰れがこの歌を歌ったとしても価値を減じない『小笠原優子の津軽のふるさと』と言えるものです。
以前の「loveforesta」さんご提供のこの歌の動画に、ある人が「吉田静さんの独唱も聞いてみたい」というようなコメントがあったかと思いますが、今回の試みはそのリクエストに応える形ともなりました。
吉田静さんは本来オペラ歌手ですから、オペラの発声法に基き声量豊かにこの歌を歌いきっておられます。驚くほどエモーショナルな歌い方で、フォレスタではコーラスとしての制約上出来ない歌い方なのだろうと思います。ソロコンサートだから可能となった、貴重な『吉田静の津軽のふるさと』と言えます。
「一唱入魂」。例えが適切かどうか分かりませんが、「恐山のイタコ」の□を借りた津軽の地霊の叫び、それを吉田静さんが歌として表現した、というようなある種鬼気迫るものすら感じられます。
冒頭の拙句はそんな感じを詠んでみたものです。聴き入ったアジア諸国の留学生も「日本・こころの歌」のエッセンスをしっかり感じ取ってくれたことでしょう。
(大場光太郎・記)
関連動画
『フォレスタ 津軽のふるさと』
http://www.youtube.com/watch?v=P_guTrq2Z44
参考・引用
『「公益財団法人 ヒロセ国際奨学財団」ホームページ』
http://www.hirose-isf.or.jp/
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『フォレスタの「津軽のふるさと」』
http://be-here-now.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-c23c.html
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