« 米国戦争屋のラスト・リゾートに堕した日本 | トップページ | 山本太郎氏の行為、そんなに非難されるべきことなのか? »

「第3次天安門事件」で習近平体制崩壊?

 -この事件が契起となって、共産党支配体制の終焉にまで行くのではないか-



 10月28日正午頃(現地時間)に起きた、中国の首都北京の天安門前の車両突入事件は、少数民族ウイグル族出身者による自爆テロだったようです。
 車内で死亡したのは、ウイグル族の男と妻(30)と男の母(70)の家族3人です。北京市公安当局は、この3人と共謀して逃走していた同じくウイグル族(新疆ウイグル自治区ホータン地区)出身の5人全員を拘束したもようです。

 それにしても、白昼堂々首都の天安門前でよくもこんな事件が起きたものです。
 天安門は、国家指導者が会議を行う人民大会堂もあり、また習近平主席が執務する中南海にも近い政治の中心です。それより何より、毛沢東が建国宣言をした「聖地」なのです。日本で言えば、国会議事堂いな皇居に車両を突っ込んでの自爆テロと同じくらいの衝撃的事件といえます。

 国内的にも国外的にも習近平体制のメンツ丸潰れです。

 死亡した家族3人も含めたウイグル族出身の8人の犯人たちは、テロの最大効果を挙げるためにあえて天安門前を選び、周到に計画を練った上で決行に及んだのに違いありません。
 裏を返せば、彼らの現指導体制への恨みがいかに根深いものであったかを示す事件でもあります。

 習近平主席は新疆ウイグル自治区に因縁がある、といいます。
 副主席時代に最も精力的に取り組んだのが、共産党統治に不満を持つウイグル族への強硬策だったのです。それだけに今回の事件は、習近平の権威失墜に直結すると見られているのです。

 自爆死した家族3人らの背景が分ってきました。公安当局は彼らの居住地から、ウイグル自治区の独立を目指す地下組織「東トルキスタン・イスラム運動」(ETIM)が使う「聖戦」の旗を発見したといいます。
「犯行後に“我々がやった”という証拠を残すのは、国際テロ組織の常套手段」と、某軍事ジャーナリスト氏は指摘しています。

 当局は、ウイグル族が信仰するイスラム教を背景とした犯行と見ていますが、国際テロ組織「アルカイダ」の影響も考えられそうです。
 ETIMは、国連安保理で「アルカイダと連携している」と認定されています。アルカイダも長年、中国政府のウイグル弾圧を非難し、「報復」を宣言していました。特にこの数年は、アルカイダなどイスラム系テロ組織はアジア全域で勢力を拡大してきました。

 そもそも習指導部の弾圧を受けてきた新疆ウイグル自治区には、石油、天然ガス、希少金属が豊富にあり、習指導部の経済拠点だったのです。ウイグル族からすれば、「富を強奪されている」という意識が強く、習指導部に反発を強めていたわけです。
 それがアルカイダと連携となると、今後は「中国政府vsアルカイダ」の対決構図になりかねず、事は厄介です。
 
 ところで「天安門」で思い出されるのは、1989年6月3日深夜から4日未明にかけて起きた天安門広場での大騒乱事件です。
 この時、民主化を求めて同広場に集った学生・市民に対して、時の中国政府は強権的に鎮圧を図り、人民解放軍が民衆に発砲し多数の死傷者を出した事件でした。学生・市民側の死者は約3700人ともいわれ、中国は人権抑圧国家として国際的な非難を浴びました。

 それ以降中国は「改革解放」路線を進め、今日では世界第2位の経済大国にのし上りました。しかしウイグル弾圧に端的に見られるように、自国民への強圧的な姿勢は一貫して変っていません。
 55部族にも上る少数民族問題のみならず。急速な中国版高度経済成長は、格差の増大、PM2・5という深刻な公害、汚職のはびこりなど、さまざまな問題をもたらし、民衆の不満は頂点に達しています。

 そんな時に今回の天安門前の車両突入事件です。スケールこそ違え、1989年の「第2次天安門事件」に次ぐようなインパクトを、習指導部と中国国民に与えたのではないでしょうか。
 これが契起となって、今後共産党政権を脅すような事件が頻発し、習指導部はおろか共産党支配体制の終焉にまで行くのではないか、そんな事まで考えさせられる今回の事件です。

【追記】
 1989年の「第2次天安門事件」以前に、1976年4月5日に起きた「天安門事件」があったのでした。これは周恩来の死をきっかけに、自由化を求めて民衆が天安門広場に集った騒乱事件です。「民主の実現」を目指す運動の原点とされ、「四・五運動」とも呼ばれています。
 よって本タイトルを、「第2次天安門事件」から「第3次天安門事件」に訂正しました。

 (大場光太郎・記)

|

« 米国戦争屋のラスト・リゾートに堕した日本 | トップページ | 山本太郎氏の行為、そんなに非難されるべきことなのか? »

時事問題」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。