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もう一つの「12月8日未明」

-「大本は日本と世界の型をするところ」というのは今でも有効なのだろうか?-
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 昭和14年初冬。日中戦争は泥沼化し、対米戦争ももはや避け難しと映り出した頃。一人の人物が伴の者を連れて、京都は綾部(あやべ)の大本教団跡地を訪れました。
 その人物とは出口日出麿(でぐち・ひでまる)。昭和10年12月8日未明に起きた「第二次大本事件」の首謀者の一人との嫌疑から、以来監獄に収監され、同年10月釈放されたばかりの身でした。

 「事件」とは言っても、大本教団が国に対して国家転覆などの重大な悪事を働いたというわけではありません。年々教勢を拡大し、前年の昭和9年には「昭和神聖会」という政治的活動組織を結成し全国に多くの賛同者を引き付けるなどなど。
 大本に対して当時の国家が脅威を感じていたための、周到に仕組まれた謀略であり、弾圧だったのです。時の内閣は岡田啓介内閣。昭和天皇自らが同弾圧に認可を与えたと伝えられています。

 それはおよそ近代宗教弾圧史上世界にも類を見ないと言われるほどの、凄まじい弾圧でした。治安維持法と不敬罪違反の疑い(前者は昭和17年に無罪確定。後者は戦後無罪確定)で、「地上から大本を抹殺せよ」との極秘指令のもとに行われたのです。
 綾部や亀岡の広大な教団施設は千数百発ものダイナマイトなどを使って徹底的に破壊されました。また全国の施設、歌碑の類いに至るまで悉く破壊し尽くされたのです。
 あろうことか教祖出口直(でぐち・なお)の墓まで暴かれました。

 この弾圧で全国の信徒3000人余が検挙されました。うち過酷な拷問によって16人が死亡。大本聖師と呼ばれた出口王仁三郎(でぐち・おにさぶろう)とその妻で二代目の出口すみら、多くの同志たちは依然収監中です。

  むちうたばわが身やぶれんやぶれなば
  やまとをのこの血の色をみよ   
      (62歳で獄死した岩田久太郎の獄中歌)

 官憲は本当は中心人物の出口王仁三郎を殺害したいのは山々でした。しかし出来なかったのです。なぜなら王仁三郎は、有栖川熾仁親王(明治維新の「♪宮さん、宮さん…」の歌で有名。明治天皇の皇位継承者の一人)のご落胤であることを把握していたからです。
 そこで官憲の追及は出口日出麿に集中しました。日出麿は三代目出口直日(でぐち・なおひ)の女婿であり、王仁三郎を補佐しその後継者と目されていたからです。

 出口日出麿への取調べは過酷を極めました。連日にわたり拷問が続いたのです。
 そのため歯は多く抜け落ち、鼻はひん曲がり、髪の毛は引きちぎられ、精神に変調をきたしたほどでした。京都帝国大学出身の美男子の面影は、どこにも残らないほどの変わりようでした。

 …綾部の神域は完膚なきまでに破壊され、今では一望に見渡せる赤茶けたグラウンドになっています。日出麿は、暴虐の爪跡凄まじい神苑を感慨深げに一巡し、さらに歩いて丘の上の開祖の墓に詣でます。
 官憲に暴かれましたが、信徒の手によって共同墓地の片隅にかろうじて土盛りされている、そこが「艮の金神」(地球国祖・国常立大神)のお筆先で、「世界中の教祖の中でも直ほど苦労した者はおらんぞよ」と示された、死してなお苦難の続く出口直の仮の墓なのでした。

 その一角に立ち、日出麿は実に淋しい調子である歌を口ずさみます。

  真白き富士の根 緑の江ノ島 仰ぎ見るも 今は涙
  帰らぬ十二の 雄々しきみたまに 捧げまつる 胸と心

  ボートは沈みぬ 千尋(ちひろ)の海原 風も浪も 小(ち)さき腕(かいな)に
  力はつきはて 呼ぶ名は父母 恨みは深し 七里が浜辺

  み雪は咽(むせ)びぬ 風さえ騒ぎて 月も星も 影をひそめ
  みたまよ何処(いずこ)に 迷いておわすか 帰れ早く 母の胸に

 『七里ヶ浜の哀歌』(『真白き富士の根』)です。それはまるで、一望の限りに破壊し尽くされた神苑、獄中で死んでいった多くの同志たちへの鎮魂歌のようで、伴の者は涙が止まらなかったといいます。(私は個人的にこの場面を、「戦前の隠れた名場面」の一つと考えています。)

 1番、2番、3番…と静かに歌い継ぎ歌い終わって、日出麿は呻くように呟きます。
 「何もかも、皆無くなっちまったなあ」

 それを聞いた伴の者は、『日本はやがて二度と立ち直れないようになるのではないのか』と、暗澹たる想いに囚われたといいます。
 大本の教えでは、「大本は日本と世界の型をするところ」とか「大本が潰れれば日本も潰れる」などと、かねてから聞かされていたからです。

 その「型」が最も先鋭的に現われたのが、まさに「第二次大本事件」でした。
 国家権力が大本弾圧に乗り出したのが昭和10年12月8日未明。そしてちょうど6年後の昭和16年12月8日未明、ハワイへの真珠湾攻撃により日米戦争の火蓋が切っておとされたのです。
 中心人物の出口王仁三郎は、12月5日早朝、笹目秀和に崑崙山の一峰に遷座してくれるよう「大本のご神体」を託し、その日のうちに綾部を発って島根県の松江別院に向かっています。王仁三郎は12月8日午前4時頃、そこで逮捕されたのです。松江別院は「宍道湖(“しんじ”こ)」湖畔にありました。

 第二次大本事件が拡大したのが「日本敗戦、占領」だとする解釈が一般的です。例えば12月8日の暗合に加えて、出口王仁三郎は、仮釈放により昭和17年8月7日に6年8ヶ月ぶりで出獄しています。これは、日本敗戦からサンフランシスコ講和条約までの期間と、ピタリ同年月数なのです。

 しかしこれとは別の解釈をする研究家もいます。と言うのも、それでは大正10年2月12日の「第一次大本事件」の型が現われていないことになるからです。そこで先の「日本敗戦、占領」は第一次大本事件が拡大したものであり、第二次の拡大版はこれからだとするのです。

 その一端をご紹介しましたように、昭和10年の第二次弾圧の方が、大正10年の第一次弾圧より遥かに激烈深刻でした。
 第一次弾圧で痛めつけられた大本は、その後中国の紅卍会(こうまんじかい)と提携し大陸に布教拡大したり、世界五大陸のすべてに支部を置き福音を宣べ伝えるなど、目覚しい発展を遂げました。
 方や戦後日本も敗戦から奇跡的な復興を遂げ、世界に冠たる経済大国にのし上がりました。

 こうしてみると、大本と日本はやはり大きくシンクロしているように思われます。
 「夜半に嵐がどっと吹く。どうすることも無く泣くに、この世(悪神・悪魔支配による現歴史)の終り近づきぬ」(日月神示)。
 政治、経済、教育、世相…。ありとあらゆる指標が、今この国は「夜半」に入っていることを示していそうです。

 ただし日本人全体の「愛と調和」を志向する意識レベルの向上により、「大本の型」は大きく変更される可能性もあります。いな是非そうであるよう、私たちは真剣に「身魂(みたま)磨き」を心がけていかなければなりません。

(注記)本記事は、「二木紘三のうた物語」の『真白き富士の根』コメント(08年8月)に、大幅に手を加えた一文です。また主に、『神仙の人 出口日出麿』(1989年、講談社刊)を参考にしました。

 (大場光太郎・記)

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関連動画
『フォレスタ 七里ヶ浜の哀歌』
https://www.youtube.com/watch?v=pl_2uVnnuvY

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コメント

(注記) 本記事は2011年12月8日既に公開済みでした。2年後のちょうどこの日、トップ面に再公開しようとして操作を間違え、新規投稿のような形になってしまいました。既にお読みの方は、どうぞ新たな気持ちでお読みください。

 2011年は311&福島原発(災害、事故ではなく、米国+イスラエル闇勢力によるテロ?)が起き、「日本大変」に突入した年でした。それからまる2年、安倍晋三というウルトラ右翼が再登場し、つい先日「平成の治安維持法」と言われる秘密保護法が成立しました。「12月8日(の型の)仕組」がいよいよ切実なものとして感じられてきます。

投稿: 時遊人 | 2013年12月 8日 (日) 13時43分

 本記事は2013年12月8日公開でしたが、今回トップ面に再掲載します。このたび真珠湾にお詫び行脚に出かけるどこぞのパープー首相は、こういう重要な歴史的暗合についてはゆめ知らないことでしょう。

安倍首相の真珠湾訪問 拭えない胡散臭さとしたたかな打算(日刊ゲンダイ)
http://www.asyura2.com/16/senkyo217/msg/224.html

投稿: 時遊人 | 2016年12月 9日 (金) 02時33分

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