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フォレスタの「影を慕いて」

  (「フォレスタ 影を慕いてHD」YouTube動画)
   http://www.youtube.com/watch?v=MYLqdP6wtiQ(旧バージョン)                     
   http://www.youtube.com/watch?v=A-YueRwgEcY(新ギターバージョン)

 今週の『BS日本・こころの歌』は「哀歌」がテーマでした。その中で『酒は涙か溜息か』『影を慕いて』『人生の並木道』などの古賀メロディが、男声フォレスタによって、ギター演奏による撮り直しとしてカバーされました。いずれ劣らぬ昭和前期の名曲と言うべきですが、今回はそのうちの『影を慕いて』を取り上げてみたいと思います。

 この歌については、実は当ブログ記事『古賀政男の失恋&名曲誕生秘話』として既に取り上げています。元々は「二木絋三のうた物語」中の『影を慕いて』にコメントしたものでしたが、2008年4月のブログ開設に当たり移させていただいたのです。
 同文を少し修正の上、以下に転載させていただきます。

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 昭和3年夏。宮城県青根温泉。古賀政男がその地で、自殺まで思いつめた理由は,謎とされているようです。生活苦?失恋?あるいはその前年「ただぼんやりした不安」 という言葉を遺して自殺した、芥川龍之介の影響?
 私は、一番大きな原因は、やはり「失恋」だったのではないかと思います。

 古賀政男の失恋の相手は、中島梅子という、年上でバツイチの、芸術的センスに溢れた八頭身美人だったようです。彼女は古賀の音楽上の教え子で、いつしか恋仲になったようです。

 結婚も考えたようですが、生活苦も重くのしかかっているし…。
 悩んだ末彼女との別れを決意した時の古賀青年の心中、察するに余りあります。
 真剣な恋だったがゆえに、苦悩は相当なものだったでしょう。
 それは古賀青年にとって、大きなイニシエーションでした。
 それを乗り越えて人間として大きく飛躍するか、自殺してしまうかの、ぎりぎりの。
  
 結局古賀は、自殺を思いとどまりました。
 大イニシエーションのクリアーです。新たに生まれ変わったわけです。
 その成果が、『影を慕いて』という一曲に結実しました。

 ひるがえって中島梅子は、古賀が再生を果たした翌年の、昭和4年の早くに亡くなりました。病死でした。ですから、何度かの手直しを経て今日私たちが聴くことができる、完成形としての『影を慕いて』は、「まぼろしの影」になってしまった彼女への哀切な挽歌だったわけです。(古賀政男は、当時のことをあまり語ろうとしなかったようです。人知れず、十字架を背負っていたのではないでしょうか?)

 そんないきさつを知るとなおのこと。聴くほどに、心の琴線に触れてくる昭和の名曲だと思います。

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 この昭和の名曲を、男声フォレスタが旧新バージョンとして2回歌ってくれています。大きく違うのは、旧バージョンの方はいつものピアノ伴奏、対して新バージョンの方はギター伴奏であることです。(ギター演奏:堀口のりゆきさん)
 それだけで、最初新バージョンを聴いた時は、旧バージョンと歌の印象がだいぶ違って感じられました。

 独唱を担当しているのは旧新ともにテノールで、旧バージョンでは榛葉樹人さんと澤田薫さん、そして新バージョンではこのご両人に3番独唱として横山慎吾さんが加わりました。独唱以外のメンバー構成は、旧新とも大野隆さん、川村章仁さん、今井俊輔さんの低音トリオです。

 たとえば『影を慕いて』とは(歌のモチーフからして)姉妹曲のような『酒は涙か溜息か』の新バージョンでは、独唱をテノールからバリトンの今井俊輔さんに替え、メンバー構成も低音トリオだけに編成替えするなど、思い切ったイメージチェンジをしていますから歌の印象が大いに違って当然です。

 少し(かなり)回りくどくなりましたが、にも関らず違った印象を受けたのは、やはりピアノとギターの楽器としての性質の違いによるものなのでしょう。

 まったくの素人考えであり適切ではないかもしれませんが、例えてみればピアノはどっしりした高級乗用車のようなもの、奏でられた一つ一つの音は重厚で、響きが余韻となって残り、途切れることなくその歌全体を包み込むような感じです。
 対してギターは、フットワークよく小回りが効くスポーツカータイプと言えばいいのでしょうか。一つ一つの音色の微妙な襞が自在に表現できる代わりに、奏でられた一つ一つの音の命は短く、歌全体を包み込むような感じにはならないようです。

 つまり何が言いたいかといいますと、ギター伴奏による場合はピアノ伴奏よりも歌うのが難しい、より歌い手としての力量が要求されるのではないだろうか?というたったそれだけのことなのです(やれやれ-苦笑)。

 古賀政男は、当時のギターの世界的巨匠の来日演奏を聴いて感動し、未完成だった『影を慕いて』を、イントロ部から現在のようなギター演奏に書き替えたと言われています。また続く『酒は涙か溜息か』もギター演奏による歌です。

 この難しいギター演奏による両曲にあって、“ギター負け”せず、堂々と完璧に歌い切っているのは『酒は涙か溜息か』独唱の今井俊輔さんでしょう。さすがです。そして『影を慕いて』にあっては、1番独唱の榛葉樹人さん。もちろん今のままで十分鑑賞に堪えるコーラス曲ですが、欲を言えば、榛葉さんには3番まで通して独唱していただきたかったな、と思います。

【注記】「イニシエーション」は、O真理教の教義上の用語だったことにより、すっかり負のイメージが定着してしまいました。しかし、本来の意味は、人生の節目で迎える「通過儀礼」です。例えば、入学式、入社式、結婚式など。
 またイニシエーションは、人が精神的な危機や試練を乗り越えて、成長する必要がある場合などにも用いられます。

 なお、この記事をまとめるにあたっては、『おもひでチューズデー』サイトを参考にさせていただきました。ここに感謝申し上げます。

 (大場光太郎・記)

参考・引用
『おもひでチューズデー』
http://www.kayou.org/blog/morichan/post_83.html
関連動画
『フォレスタ 酒は涙か溜息かHD』(旧バージョン)
http://www.youtube.com/watch?v=XzsMOpTOQT0
『フォレスタ 酒は涙か溜息かHD』(新ギターバージョン)
http://www.youtube.com/watch?v=h3QALx8SD-k
関連記事
『古賀政男の失恋&名曲誕生秘話』
http://be-here-now.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/post_238c.html

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