フォレスタの「冬の星座」
(「フォレスタ 冬の星座」YouTube動画)
https://www.youtube.com/watch?v=m-HmRmGX_dA
オリオン賛歌
真冬の張りつめた厳しい夜空に
高く輝かな オリオン星座よ
永久(とこしえ)に我と共に在れ
逞しき腕(かいな)に斧持ちて
全天を駆け巡る汝(なれ)が勇姿に
猛り狂う野牛も怖れをなして
疾々(とくとく)退きぬ
オリオン星座よ
汝こそは 全星座中の王者なり
嗚呼、我が願いこそ
汝が腕に抱かれて
高らかに凱歌を奏して
全天を経めぐりしことなりき
勇士オリオンよ
永久に我と共に在りて
汝が湧き出る 凛々たる勇気を
涯(はて)しなき高き星の国より
常に 我が身体にふり注げ
(昭和42年1月作の拙詩)
1月下旬から2月上旬にかけて春隣のポカポカ陽気が続き、さしもの強大な今年の冬帝の勢力も弱まり、さては時ぞと思うあやにく。立春の4日以降、何を思ったかにわかに勢力を盛り返し、まるで流行語の「倍返し」のように倍旧の寒兵軍団を遣わしたかのような寒い日が続いています。極めつけが8日の大雪でした。神奈川県県央地区の当市でも未明から深夜にかけて小止みなく降り続き、居住地一帯、近年記憶にないほど深々とした雪景色に変貌してしまいました。
『これは大変だぞ』と心配になってきました。いえ、通常の年なら、当地では雪は滅多に降らないのですから、むしろ雪国の北の郷里を思い出しこそすれ心配などしないのです。心配なのは昨秋から“一人ボランティア”で世話している市内の野良猫たちのことです。全部で5匹!皆去年生まれのようですから、1月終り頃「何とか冬を乗り越えられて良かったニャ~」と言ってやっていたところだったのです。なのに初めて体験するこの大雪、『どうすんだニャ~』とヤキモキしたのでした。
8日は終日家籠りを余儀なくされ、雪も止みウソのように晴れ上った翌9日の夕方と夜更に(野良猫たちはその時間帯に出没する)いつもの場所に行ってみました。夕方真っ先に現れたのがコクロシマ。この子はいつもは小さくしか鳴かないのに、この時ばかりは少し離れた雪のない薄暗がりで「ニャ~ニャ~、ニャ~ニャ~」、これまで聞いたこともないような大きな声で鳴くこと鳴くこと。そうして雪の所をよけながら私のところに駆け寄ってきました。
身をかがめていつもの好物を与えながら、初めての大雪、かわいそうに、それだけ大変な思いをしたんだね。でも無事で何より、よくガンバッタなァ。エライエライ、よしよしよしよし・・。その場所は実は幅広の植込みが連った遊歩道で、向こうから若いお父さんに連れられた小さな女の子が、「あっ、ねこちゃんだ、ねこちゃん」と寄って来て、コクロシマが夢中でエサを食べる姿をすぐ近くでじっと見ていました。
その夜はもう1匹ミケニャンニャンが、その名のとおりいつもの元気な声で現れました。以来11日まで他のアクニャンチャンとオオクロシマ、4匹グループ全員(?)の無事が確認されました。ただそことは離れた場所にいるはずの“一匹子猫”のシマチッチだけが見つからないのが気がかりです。ただ昨夏生まれで一番小っちゃいこの子の行動パターンは勝手気ままで、1月に13日間も姿を見せなかった“前科”がありますから、この風来坊め、またそのうちひょっこり現れるのだろうと思います。とにかく野良猫たちは逞しいです。その上皆粒ぞろいで、野良猫にしておくのがもったいないほど可愛いのです(笑)。
以上『フォレスタの「冬の星座」』とは何の関係もない事を長々と述べてしまい、大変申しわけございません。
*
晴れた夜更に空を仰ぎ見ると、今現在の寒々とした季節感どおり、中空いっぱいに冬の星々、冬の星座が広がっています。
星々を散りばめ冴え冴えと凍て切った夜空は、さながら“星の荒野”の趣き。その中に懸かるオリオン、おうし、おおいぬ、こいぬ・・・。下界の私たちにはうかがい知れぬ悠久の神話的ドラマが、今夜も繰り広げられていそうな気配です。
冬の星空の名物と言えば「冬の大三角形」。なるほど、シリウス(おおいぬ座)-プロキオン(こいぬ座)-ベテルギウス(オリオン座)の規矩正しい大きな正三角形が、天頂より少し西に寄った辺りにしっかり認められます。
『冬の星座』の歌詞の中にも出てくるスバル(プレアデス散開星団)は、おうし座に属し、「籠の中の蛍が寄り集って光っている」と形容されるように、全天で最も美しいと言われている星の塊りです。ただ惜しいことに、街灯や家々の灯りにかき消され、「麗わしのプレアデスの七人娘」の姿が確認できないのが残念です。
冬の星空は透明度が良く、星々がひときわ輝いて見られます。そればかりではなく、1等星の数が7個と四季を通して一番多いのです。
中でもシリウス(中国名:天狼星)は「マイナス1.4等星」と、全天中の最高輝度を誇っています。ただしシリウスは地球から8.6光年と、全恒星の中で最も近い星なのですからそれも当然と言るのかもしれません。
なおこれは余談ですが―。
シリウスは実は、シリウスAとシリウスBの2つからなる連星(実際はシリウスBはシリウスAの伴星)です。これが発見されたのは19世紀末のことでしたが、何とそれより遙か前にその事実を知っていた民族がいたのです。アフリカのドゴン族です。またシリウスAとシリウスB2星の軌道関係が解明されたのは20世紀になってからですが、ドゴン族の洞窟にそれとピッタリ一致する壁画まで残されているのです。
一体なぜなのか?ドゴン族の長老いわく、「ずっと大昔、空から乗り物に乗ってやって来た人たちに、我々の祖先たちが教えてもらった」。「空からやって来た人たち」とは、信じられないほど高度な初期エジプト文明を築き上げて去っていった“シリウス人”だったのでしょうか?
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『冬の星座』。元々はアメリカの曲です。1871年にウィリアム・ヘイス(1837~1907)が作詞・作曲したアメリカのポピュラーソング『愛しのモーリー』(Mollie Daring)のメロディが用いられています。このように原曲はラブソングだったものを、そのままの翻訳としてではなく『冬の星座』というまったく別の歌詞を作ったのは、堀内敬三(ほりうち・けいぞう-1897~1983)です。1947年(昭和22年)発行の国定教科書『中等音楽』に掲載されました。
もっとも堀内詞『冬の星座』以前にも、このメロディには中村秋香が作詞した唱歌『他郷の月』がありました。こういうプロセスは『とうだいもり』の成立過程と類似したところがありそうです。(参照:『フォレスタの「とうだいもり」』)
またシロウト考えでは、この唱歌は、詞・曲ともに『星の界(よ)』(明治43年作詞:杉谷代水、作曲:チャールズ・コンヴァース)に似ているように思われるのですが、いかがでしょうか?
それにしても堀内敬三の歌詞は素晴しいです!言葉の一つ一つが詩的言語に昇華されていて、それらの詩語が互いに響き合って、一個独立の優れた詩となっています。向こうのラブソングが、このように厳そかで深遠な感じのする歌に生まれ変ろうとは!驚きです。
著作権法により歌詞を掲載できないのが大変残念です。代わりにといっては何ですが、大いに気恥かしいながら、私が高校2年の冬に作った『オリオン賛歌』を掲げてみましたがいかがでしたでしょうか(大笑い)。
『冬の星座』は、外国の曲でありながら日本の愛唱歌として広く親しまれていることから、2007年(平成19年)に『日本の歌百選』の一曲に選ばれました。
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『フォレスタの「冬の星座」』。5人の男声フォレスタによるコーラスです。元々の詞・曲の良さをさらに引き立てるような、見事なコーラスです。
川村章仁さん、今井俊輔さんの両バリトン、横山慎吾さん、澤田薫さんの両テノールの4人によるバックコーラス、もちろん素晴しいです。でもやはり特筆すべきは、榛葉樹人さん(テノール)の独唱です。
この歌の動画を提供してくれているのは「umebosinb」さんですが、現在の「フォレスタ動画提供の雄(ゆう)」の「hskjik」さんがコメントを寄せていますのでご紹介します。
榛葉さんの澄んだテノールがこの曲にピッタリですね
まさにおっしゃるとおり。榛葉さんのソロを中心として、冬の夜空に繰り広げられる「冬の星座」のさまを、格調高く、叙情的に歌い上げています。
『ともしび』(旧バージョン)などとともに、男声フォレスタコーラスのべストテン、いやべストファィブにも入ろうか !?というほどの名唱だと思われます。
【付記】 なお安否不明だったシマチッチ、お陰様で、13日夜無事であることが確認されました。ただ今週末もまた大雪とのことです。同夜はアクニャンチャン以外の4匹がいましたので、その旨よく申し伝えておきましたが(笑)、野良猫たちは本当に大変です。
(大場光太郎・記)
参考・引用
『ウィキペディア』「冬の星座(文部省唱歌)」の項(『愛しのモーリー』、『他郷の月』の歌詞が掲載されています。)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%AC%E3%81%AE%E6%98%9F%E5%BA%A7_(%E6%96%87%E9%83%A8%E7%9C%81%E5%94%B1%E6%AD%8C)
関連記事
『フォレスタの「とうだいもり」』
http://be-here-now.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-1cab.html
『フォレスタの「ともしび」』
http://be-here-now.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-984b.html
『オリオン賛歌』
http://be-here-now.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-549f.html
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