陛下、年頭所感で「平和の大切さ」を強調される
-陛下はご即位2年目から毎年年頭のご感想を述べておられます。決して多弁ではない短いメッセージですが、国の平和と国民を思う御心に溢れており、「天皇制云々」などと言う議論を抜きにして、今上陛下がおられることはつくづくありがたい、と思う年のはじめです。-
2日の一般参賀で手を振られる天皇・皇后両陛下(写真;産経新聞)
新年を迎え、天皇陛下が以下のとおりのご感想を述べられました。
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天皇陛下のご感想(新年に当たり)
平成27年
昨年は大雪や大雨,さらに御嶽山の噴火による災害で多くの人命が失われ,家族や住む家をなくした人々の気持ちを察しています。
また,東日本大震災からは4度目の冬になり,放射能汚染により,かつて住んだ土地に戻れずにいる人々や仮設住宅で厳しい冬を過ごす人々もいまだ多いことも案じられます。昨今の状況を思う時,それぞれの地域で人々が防災に関心を寄せ,地域を守っていくことが,いかに重要かということを感じています。
本年は終戦から70年という節目の年に当たります。多くの人々が亡くなった戦争でした。各戦場で亡くなった人々,広島,長崎の原爆,東京を始めとする各都市の爆撃などにより亡くなった人々の数は誠に多いものでした。この機会に,満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び,今後の日本のあり方を考えていくことが,今,極めて大切なことだと思っています。
この1年が,我が国の人々,そして世界の人々にとり,幸せな年となることを心より祈ります。
【私のコメント】
まず昨年の自然災害によりお亡くなりになった方々への哀悼のお気持ち、次いで東日本大震災及び福島第一原発事故による避難所生活を続けている多くの方々への労わりのお気持ちなどが述べられています。ここの2つの段落は、国民の安穏な生活に常に思いをいたされていることをしのばせるありがたいお言葉です。
そして注目すべきは「平和の大切さ」をお述べになった3段落目です。
結びの、日本と世界にとって「幸せな年であるように」というのは恒例の決まり文句だと思いますから、陛下が一番強調したかったのは、やはりこの3段落目のメッセージだと思われます。
そうなのです。「本年は終戦から70年という年に当た」る重要な節目の年なのです。陛下が「多くの人々が亡くなった戦争」とお述べになっておられるように、70年前の戦争では、戦闘員(軍人)、非戦闘員(一般国民)併せて推定310万人余が亡くなりました。
そのような多大な人的犠牲をこうむった戦争だったからこそ、「この機会に,満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び,今後の日本のあり方を考えていくことが,今,極めて大切なことだと思っています。」と、陛下は強調されているわけです。
特に「満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び」というセンテンスがポイントであるように思われます。
安倍政権は、第1次の7年前は「戦後レジームからの脱却」をスローガンに掲げ、現第2次政権では「(戦前の)日本を取り戻す」と唱えています(私は、安部の滑舌の悪さをオチョクッて、しばしば「戦前日本トリモロフ症候群」と言っていますが)。彼ら極右安倍一派は、「大東亜戦争は自尊自衛の戦争だった」と、かつての林房雄ばりの「大東亜戦争肯定論」をとくとくと語ります。
しかし陛下は、(直接的な政治的発言は避けなければならないお立場から)さりげなく「満州事変に始まるこの戦争の歴史」とお述べになり、
「あなたたちが賛美している大東亜戦争(私はこんな名称を一度も使ったことはないが)は、実は満州事変(昭和6年-1931年)から始まっていたんですよ。満州事変は自尊自衛の戦いだったんですか?違うでしょ。侵略行為だったのは明らかではありませんか」
と、安倍一派を暗に諭しておられるのです。
以前も記事にしましたが、今上陛下は「平和憲法」をこよなく愛しておられます。裏を返せば、陛下は安倍一派の改憲という名の「平和憲法改悪の動き」を深く憂慮しておられるのです。戦前回帰などまったくお望みではありません。
わが国に平和憲法あればこそ、戦後70年間ただの一度も世界各地の戦争、紛争に巻き込まれることなく、平和国家が保たれてきたのです。
陛下の「平和の大御心」に背く安倍一派は、日本を亡国に導く大逆臣、大逆賊と言うべきです。
(大場光太郎・記)
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