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70回目の終戦記念日に

   遺品あり岩波文庫『阿部一族』   鈴木六林男


 毎年述べることですが、私はブログ開設の2008年からこの日の回数を変えただけの同タイトル記事を毎年出して来ました。1年365日のうちでもこういう日は極めて稀です。以前からどうしても書かなければ気が済まない何かが私の中にあったようです。そこで今年も恒例のとおり自前の記事を出すことにします。

 というより、今年に限っては「出さないでどうする」という心持ちです。一つはこの終戦記念日が「70回目」という節目に当たること。そしてもう一つは、安倍政権が強引に成立させようとしている安保法制法案(以下「戦争法案」)により、国民の間でも「戦争か平和か」を問う機運がかつてないほど高まっていること、などが挙げられます。

 思えばわが国は、1945年(昭和20年)8月15日のこの日以来、「このような大惨禍をもたらす戦争はもう二度と起こしたくない」との固い決意のもとに、戦後日本の歩みをスタートさせたのでした。その国民共認の上に世界に類を見ない平和憲法である日本国憲法が制定され、戦後日本の骨格が明確に定められたのです。

 平和憲法の大きな柱は何と言っても「憲法9条」です。以前の終戦記念日記事でも掲げた記憶がありますが、何度掲げてももうこれで十分ということはありません。

日本国憲法

第2章 戦争の放棄

第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

(引用終わり)

 永久に戦争をしない国、戦争を起こさない国という担保が世界各国の信用を呼び、結果として驚異的経済発展を遂げ今日に至ったのです。事実戦後70年日本はただの一度も戦禍に巻き込まれることも、他国の戦争に加わることもありませんでした。中には「それは日米安保のおかげ」と主張する向きもありますが、違いますよ。

「憲法9条のおかげ」なのです。

 1990代初頭、戦争に加わわされそうになったことがありました。戦争屋一族ブッシュ家の父ブッシュが大統領時代の湾岸戦争です。時の海部俊樹総理大臣に「日米安保による軍事同盟に基づき、多国籍軍の一員として日本も中東に自衛隊を派遣してもらえないだろうか」と、父ブッシュ大統領から要請があったそうです。

 対して海部総理は、「何言っているんですか。憲法9条により、わが国が海外に自衛隊を出せないことくらい百も承知のはずでしょう。第一日本に平和憲法を授けてくれたのはアメリカさん、貴国ですよ」 海部内閣が短命だったのはおそらくこれが原因だったのでしょうが、過去には米国大統領にも言うべき事はしっかり主張した総理がいたことは記憶しておいた方がいいと思います。

 ところが近年、憲法9条を中心に憲法改悪を企てる勢力がとみに増殖中です。それは現安倍政権下で特に顕著です。それが端的に現われたのが今焦眉の急となっている戦争法案です。

 安倍一派は憲法96条に規定する正規の憲法改正手続きが困難とみるや、かつて図らずも麻生副総理がポロッと漏らした「(ワイマール憲法をいつの間にか骨抜きにしていった)ナチスの手口に学べ」方式に切り替え、昨年7月1日の集団的自衛権行使容認閣議決定という超邪道、そして今回その総仕上げである戦争法案国会提出となっているわけです。

 この戦争法案は、小林節慶大名誉教授を筆頭に99%の憲法学者が強調しているように「違憲」法案です。そもそもこんな世紀の大悪法を正規の手続きを経ずにゴリ押ししてくる安倍総理&安倍一派そのものが、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」とした憲法99条違反に該当するのです。

 安倍晋三ら戦前軍国日本回帰願望の強い極右国民会議系自民党議員及びそれに同調する公明党カルト一派の数の力によって、今や戦争法案は成立目前です。同法案によって、海外派兵、集団的自衛権、武力行使を禁じた憲法9条が形骸化してしまうことになるのです。

 いったんこんな悪しき前例を作ってしまえば、「すべての基本的人権の享有」(第11条)「思想及び良心の自由」(第19条)「信教の自由」(第20条)「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由」(第21条)など国民の権利を、時の政権の都合次第でいくらでも制限してくるに決まっているのです。

 息苦しい戦前・戦時中のような暗黒国家の到来です。今を、次の大戦争の「戦前」にしてはならないのです。

 それにしても安倍一派の策謀で明らかになったのは、現在の米国闇勢力がかつてないほど日本を従属支配したがっていることです。「彼ら」自身がほど追いつめられているということなのか、およそ理不尽な要求を次々にしてきています。戦争法案、TPP、原発再稼動はすべて「第3次アーミテージ・ナイレポート」に沿ったものなのです。

 そして許せないのは、外務省、防衛省官僚幹部らが米軍首脳らと組織する「日米合同委員会」で向こうの要求どおりに動き、同委員会指令どおりに安倍自公政権幹部らがその実現化に動いていることです。

 いっぱしの国士気取りの安倍晋三以下の国民会議自民党幹部連中は、こんな対米隷属売国政策を次々と推し進めて何の良心の呵責も感じないのでしょうか。

 いずれにせよ、仮に戦争法案が成立してしまえば、同法案は将来的にこの国にさまざまな災厄をもたらすことになるでことでしょう。いったん成立してしまえば、米国という相手国がある以上、そう簡単に「政権交代して主張を大転換しましたからこの戦争法は無効とします」とは言えないのではないでしょうか。

 その意味で、今国会における法案成立or廃案は日本にとってかつてない重大な岐路となりそうです。私たちはさらに心して臨まなければなりません。

 (大場光太郎・記)

参考
『日本国憲法(全文)』
http://www.houko.com/00/01/S21/000.HTM#s2
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『憲法第九条(戦争放棄)は日本人の発案だった!』
http://be-here-now.cocolog-nifty.com/blog/2015/05/post-1e95.html

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